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そして彼は【悪】になる  作者: 徹夜明け午後3時半の憂鬱
序章 【悪】が生まれた時
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その頃の勇者さん《モモハ視点》

「式見先輩、もう少しで全部終わって元の世界に帰れますね」


 感慨深く声を上げるのは、現役アイドルの美少女、中村千冬だ。

 天真爛漫に見えて恐ろしいまで深く物事を考える思慮深い子だ。


「そうね。ここまでもう一年、本当に長かった」


 あの日イツキからの忠告を無視して総司くん達と出かけた私は、女神ルチアを名乗る人によってこの世界に召喚された。

 そして唐突に「この世界に蔓延る魔王とその眷属を討伐してください」と言われた。

 そして、人が困っていたらすぐさま助ける総司くんが、それを二つ返事で了承してしまい、今の状態になった。


「やっとイツキに謝れる」


 イツキに総司といると百羽に不幸が訪れる。だから今回は行かないでほしいと言われて、思わずカッとなりイツキに酷い言葉をぶつけてしまったのだ。

 だが、結果だけ見るとイツキは正しかった。私は異世界に連れて来られ、剣をとることになってしまった。結局、何時もイツキは正しいのだ。。頼れる兄貴分だった。だからこそ彼が総司くんを悪くいうのが嫌だった。


「あー、モモハ先輩ずっと後悔してましたもんね、『イツキ謝りたい』って。確かイツキ先輩ってモモハ先輩の彼氏でしたっけ?」


 総司くんと一緒に異世界に来た人はみんな総司くんのことが好きな人達だ。そうでなかったらそもそも一緒に旅行なんて行ってない。そこまで考えた上でこの発言。

 本当によく考えてる。


「そうだったのかい?気がついてあげられなくてごめん。俺が必ず皆んなを元の世界に戻して見せるから」

「も、もう‼︎違うから!イツキとはそんな仲じゃないから‼︎」


 前にも何回かからかわれたことがあるが、イツキとはそんな仲じゃない。私は彼を兄の様にしか見てないし、多分イツキも同じだろう。


「もぉ〜、照れちゃって〜」

「それよりも、最終確認をするわよ。さっきミツハちゃんと偵察に行ったんだけど、魔王城の警備があまりにもザルだったのよ」


 私にとっては結構重要な問題だったのだが、今はそれは置いておこう。

 後がない魔族が、魔王城の警備を強化してないってことはまさか、


「まさか罠?」

「それが罠の気配もなかったのです。それで一旦戻ってどうするかを考えようという結論をリオさんと出して帰って来たのです」

「2人ともご苦労様です。本当は本国にいるメンバー達も一緒に戦えればよかったけど…」


 労いの言葉をかけたチーちゃんが本国、もとい拠点に残っているメンバーのことを思い浮かべて少し悲しそうな顔をしている。

 本国に残っている、楯山水樹タテヤマ・ミズキちゃんと、渡良瀬千鶴ワタラセ・チズルちゃん2人は前回の戦いで怪我をしてしまったため今回はお休みだ。


「彼らには無理させられないよ。大丈夫‼︎何があっても俺が皆んなを守るから」

 こんなことをさらっと言えてしまうのが総司くんの魅力の一つだと思う。

「はいはい。では魔王城攻略作戦の概要を説明します」


 リオちゃんが作戦の発表を始めた。

 必ず元の世界に帰ってみせる。


 ***


「それじゃ、始めよう。顕れよ聖剣、汝は勝利の鍵、必勝の証、我が言霊を持ちて真の姿を解放せよ‼︎《魔を滅せし勝利の剣(カラドボルグ)》」


 総司くんが聖剣を掲げ、言葉を紡ぐ。1小節ごとに聖剣が光を増し、光の柱となる。

 《魔を滅せし勝利の剣》1日に2回しか使えない総司くんの必殺技だ。


「いっけぇぇぇぇ‼︎‼︎」


 カラドボルグが城門を切り裂き、道を作る。

 総司くんは聖剣の勇者とも呼ばれていて、その実力は私たち全員で戦っても彼には届かないほどになっている。


「皆んな走って‼︎」


 これで罠かどうかも関係ない。だって罠は全て聖剣が斬り伏せてしまったのだから。

 しばらく走り続けていると道の先に人の姿が見てた。黒い軍服の上に灰色のローブを羽織り、(からす)のお面をつけた人だった。


「そこから動くな」


 静かな、だけどとっても重い声に私達は歩みを止めた。恐らくは恐怖から。


「そこから一歩でも前に進んだら四肢を切り裂いてやる」


 どうやら魔王城最初の敵はかつてないほどの強敵らしい。

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