あの人達と同じ side八坂理央
今回は少なめです。
次回更新は来週土曜日の17時予定。
不思議な青年に会った。
白髪赤目で整った顔立ちので、年は私と同じくらいの年齢に見えた。
恐ろしいまでに強力な治癒能力を持っていた。それこそ三葉さんにも勝るほどの。
私達召喚された者たちは皆強力な力を持っている。
モモハさんは剣、私なら魔力など様々だが、私達はその分野において確かに最上級の力を持っていると言える。
そんな私達に匹敵するほどの力を持った彼。
運命だと思った。
少し前の魔王城攻略で、私達は初めて負けを知った。
それもたった1人の敵に。奴はクラウンと名乗った。初めてみたときの印象はチグハグ。天狗のお面に黒い軍服、そしてローブなんて一貫性が無ければ共通性も無い。変なやつだった。
いつものように簡単に勝てると思っていた。それが当たり前だと思ってしまっていた。
そして私達は負けた。ただの一歩歩くことさえできなかった。
温情をかけられ逃げ出した。その後、ルチアの神殿で、モモハさん達と戦った時も私は何もできなかった。
彼は剣を抜いてさえいなかったというのに。
だから彼を見つけた時は運命だと思った。
神の力といっても差支えがないような技を使い怪我人を全て癒した彼ならばきっと私達の力になってくれるだろうと思った。
「はぁ」
本日何度目かわからない溜息を吐く。
「どうしたんですか〜」
のんびりとした声の方には千冬さんが立っていた。
ここ一応私の私室なはずなんだけど…、気にしたら負けな気がした。
「悩み事があるなら聞きますよー」
話してみてもいいだろうか?良いよね。1人で悩んでてもどうしようもないし。
「実はね…」
***
「という訳なんだけど」
「ふーむ、多分ですけど、そのユリアちゃんは自分が不幸だと言われたことを踊ってたんですよ〜。だから自分は今幸せだー‼︎ってそれを示したかったんじゃないですかねー」
確かにユリアちゃんはとても幸せそうに見えた。
「でも、ユリアちゃんはまだ子供だったわ」
「先輩、それは押し付けです。相手のことをもっとよく見るべきです。先輩はその2人のことを引き離したかったんですか?」
そんな事はない。とは言えなかった。私達はもう一度魔王城にいって次こそ魔王を倒さなくちゃならない。そのために彼を仲間にしようとした。
だったら私はユリアちゃんのことを考えていたのだろうか?
「先輩のこと私は好きですよー。だって先輩は私に優しくしてくれましたしー」
でも、と彼女は言葉を続けた。
「今の先輩はあの時のあの人達と同じです」
あの時、と言うのは千冬さんの過去の話だ。
千冬さんは中学生の時に家族を亡くした。それも父が起こそうとした一家心中で。千冬さんだけは運良く生き残った。
いや運が悪かったとも言えるのかもしれない。
残された彼女は良いネタにされ続けたのだから。
テレビ、新聞、雑誌、ありとあらゆるメディア媒体に取り上げられ、面白いおかしく取り上げられた。
それと共に学校でもイジメとも取れるような質問の嵐がおきた。
あの人達と言うのはきっとその時千冬さんの気持ちも考えずに掘り返した人たち全てのことだろう。
確かに私はあの人達と何も違わない。偏見と興味だけでユリアちゃんを巻き込んで彼を仲間にしようとした。
「謝りに行ってみるよ」
「そうしてみてくださいー」
今はまずユリアちゃんに謝ろう。
「許してくれるかな?」
「きっとダイジョーブですよー」
千冬さんがそう言ってくれて少しだけ救われた気がした。




