第60話 自慢のしたい歳頃です。
新年明けましておめでとう御座います
(*・д・ノノ゛☆パチパチ
前回の投稿から早2ヶ月が経ち、ようやく続話が書けました(ง •̀ω•́)งヨッシャッ
と言うか、実を言うと執筆自体をサボってまして、実際に執筆したのは、ここ二日程度の事なんですよ(´>ω∂`)てへぺろ☆
いやぁ、人ってその気になれば出来るもんですね
(((uдu*)ゥンゥン
それでは本編٩(・ω・)วlet's go!
まだ陽は昇っておらず、辺りが薄っすらと明るい早朝。既に昨夜、出発の準備は粗方済んでいた為、簡単に荷物を纏める。
「毎度毎度、済まんな村長」
「いえいえ、村の衆もこの宴を楽しみにしていますから、お互い様ですよ。それはそうと、今度は何時頃の予定ですかな?」
「そうだな……順調に行けば、秋の終わり頃になりそうだな。まぁ、雪が降る前には来れると思うぞ」
「そうですね。雪が降ってしまうと、行商も難しくなりますからね」
村長と行商人が軽く話をしている中、甲野とタリタス達は村を出て以降の打ち合わせ、と言うよりかは指示をしている。
「これからは、ザガン達の護衛も少し薄くするから、一定以下の魔物や盗賊は馬車に近付くようになるから、自分達で対処してみろよ」
「「「「はい!」」」
「……分かった」
「自分達で対処が出来無いと思ったら、俺が対処するから無理はする必要は無いぞ。それとこれ以上は危険と俺が判断した場合も同じく、俺が対処するからな」
「「「はい!」」」
「……うん」
「取り敢えず、言う事はこんなもんか。何か質問はあるか?」
すると、パーティのリーダー、タリタスがゆっくりと手を挙げた。
「一定以下の魔物って、具体的にはどれくらいの魔物なんですか……?」
「それは教えれんな。予め、魔物のレベルを知ってたら実践にならんだろ?」
「そ、それもそうですね……」
甲野の至極当然な説明にタリタスは恥ずかしそうに顔を赤らめ、手を下ろす。
「別に訊く事は恥ずかしい事でも何でもない。訊かずに知ったかをする方がよっぽど恥ずかしい事だからな」
「はい……」」
「他に質問はあるか?」
「ん……」」
今度は無口少女のロシックである。
「盗賊は……生け捕り?」
「そうだな……その状況にも依るが、基本的には生け捕りにはしなくて良い。盗賊討伐がメインならその方が良いが、今回は行商人の護衛が最重要だ。もし、手負いが逃げて、アジトに報告をされたら不味いが、それを深追いするよりも行商人の身の安全が重要だ」
「ん……分かった」
ロシックは真剣な面持ちで頷く。昨日とは打って違って、真面目な表情である。
「他には無いか?」
誰も手を挙げない。どうやらこれ以上の質問は無いようだ。
「まぁ、質問は何時しても良いからな。さて、準備も出来たみたいだし、行くぞ」
「「「はい!」」」
「……うん」
行商人達と甲野達は村を出発した。陽はまだ出きっては無いが、かなり辺りは明るくなっていた。遠くの方はまだ若干見にくいが、行商人達の荷馬車の速さを考えれば、護衛には然程問題の無い程度である。
タリタス達4人は、昨日とは違い、先頭の荷馬車にタリタスとロシック、最後列の荷馬車にセンボとコリーが別々で乗っている。因みに甲野の幌馬車は行商人達の荷馬車の間に挟まれる形になっている。そして、中には昨日同様にブエルが一緒に乗っている。
「ほっほっほっ。彼奴らは真面目にやっとるのう」
「あぁ、そうだな。ロシックも昨日はあんなんだったが、やれば出来るんだな」
「にゃ」
3人はタリタス達とは正反対で、のんびりと茶菓子を摘まみながら話をしている。ただ、甲野も一応《亜空間》で地図を表示し、魔物や盗賊がいないか様子を見ている。
「新人とは言え、冒険者じゃからのう。若いのに立派なもんじゃな」
ブエルは関心した様子で言う。変装前の素の姿で。
「ブエルが言うと、孫に言ってるみたいになるな」
「にゃ」
バステトは甲野の言葉に同意するように頷く。
「ほっほっほっ、儂は結婚なぞしとらんがの」
「そう言えば、魔族も結婚ってするのか?」
甲野はふとした疑問を投げかける。ブエルは一口、緑茶を口に含み、飲んでから答える。
「……そうじゃのう。一応、人族と同じような恋愛的な結婚もあるが、繁殖の為もものの方が多いのう」
「成程なぁ」
「魔族の場合、恋愛より繁殖重視じゃからなぁ。ただ、高位の魔族はどちらかと言えば、恋愛重視な面が多いのう」
「へぇ、そうなのか」
「魔界は基本、弱肉強食じゃが高位の魔族は色々と分を弁えとるからのう」
「あぁ、そう言えば前に、挑んでくるのは半端な力しか持ってない奴ばかりって言ってたな」
「そうじゃよ。魔族は他種族に比べて、力を求める欲求は強いが、無謀な事はせんからのう。高位になればそれに見合った知恵もある。逆に低級な魔族は欲望に忠実じゃからのう」
「魔族にも色々とあるんだな」
「色々とあるんじゃよ」
「にゃにゃにゃ、にゃにゃにゃにゃ」
2人と1匹はそうぼやきながら、茶菓子を摘まぬ。バアルは口に茶菓子を咥えたまま、甲野の胡坐の中
に包まり、一緒に《亜空間》の地図を見ている。ブエルはブエルで、自分で茶を入れている。見た目さえ除けば、完全に行動がただの隠居生活を送るおじいちゃんである。
「お、早速通したか」
すると、地図を見ていた甲野がボソッと言った。
「そうじゃのう。4体じゃな」
「あぁ、オーガだな。これは……無理か?」
甲野は《異世界知識》でオーガを検索した。
項目:魔物
名称:オーガ
詳細:体長2m~4m程の人型魔物で二本の角が生えている。大変凶暴で肉食。木々を拳一つで薙ぎ倒す個体もいる。基本的に魔法は使えないが、その代わりに知能はそれなりにある。推奨討伐ランクD3名以上。群れの場合ランクC2名以上。
お、なんかいつの間にか見易くなってるな。説明も分かり易いし。レベルは変わらなくても、仕様は変わったりするんだな。使い易くなって良いな。
そんな事より、オーガはどう考えても無理だな。1体ならいけるかとも思ったが、一体でもランクDが3人以上だろ。これは無理だな。まぁ、引き際を考えれるかどうかには使えるな。
「どうするんじゃ?タリタス達には無理じゃろ」
ブエルは自分で淹れた緑茶を飲みながら訊く。
「ちゃんと相手の戦力の判断が出来るかどうかに使うからな。まぁ、危なくなったらこっちでどうにでもするしな」
「ほっほっほっ、確かにのう。距離的には後、10分かそこらじゃろ」
「あぁ、10分で見つけれたら上等なくらいだな」
そして、凡そ8分後。先頭の荷馬車に乗っていたロシックが異変に気が付いた。
「ん……何か来る」
「!それは魔物かい?」
「ん。多分、3匹……いや、4匹。結構大きい。西の方から来る。あと5分くらい」
「結構大きい……それなら、オークか……ロシックはこのまま辺りを警戒して!」
ロシックは無言で頷く。タリタスは荷馬車から身を乗り出し、最後尾のセンボとコリーに魔物の存在をしらせる。
「センボ!コリー!西の森から4体!馬車から降りて辺りを警戒!!」
「分かった!」「分かったわ!」
タリタスの短く簡潔な指示に2人は素早く荷馬車から降り、周辺の警戒を行う。タリタスも荷馬車から降り同様に周辺の警戒を行う。
ロシックは荷馬車の中で辺りの警戒に全集中を注いでいる。
甲野も遠目から4人の戦闘を見ている。
「あんなもんかな?対処としては間違ってないだろうな。まぁ、俺も詳しくは無いんだけどな」
「にゃ~」
「ん?どうした?」
甲野は足元で鳴いていたバステトを抱き抱える。
「にゃにゃにゃ!」
「ん?バステトが討伐したいのか?」
「にゃ!」
バステトは、その通り、と頷く。
「別に良いぞ。あ、さては自慢したいんだろ」
「にゃ、にゃ~にゃにゃ~」
バステトは出来もしない口笛をしながら、甲野と顔を逸らす。甲野はバステトを下ろす。
「ま、別に良いけどな。ほどほどにな」
「にゃ!」
そう言い残しと、バステトはのんびりトコトコとタリタス達の方へと歩いてゆく。
甲野が《亜空間》の地図を見ると、後1,2分程度にタリタス達に姿が見える程の距離まで来ていた。タリタス達はまだ相手がオーガだとは知らない。
しかし、直ぐにロシックが魔物の力量を知る。
「!……無理」
「ロシック!魔物が分かったの!?」
「ん。オーガ」
「「「!?」」」
へぇ、ロシックって探知系のスキル持ってんだな。まぁ、別に視る必要も無いから視ないけど。
「……それは無理だね。足止めも出来るかどうか……」
「オーガが4体……四人がかりなら、一体の足止めなら出来るな」
「えぇ、そうね。せめてそれくらいはしないと、次から何も出来ないわね」
「……よし。それじゃあ、センボと僕は近接でオーガの攻撃を避けつつ囮になって、その間にコリーが魔法で援護。僕達がオーガの体勢を崩したら、魔法で眼を潰して。ロシックは隙が出来たら、毒ナイフでオーガを攻撃。無理と思ったら直ぐに後退して!」
「おう!」「えぇ!」「ん。わかった」
3人がタリタスの指示に返事をしていると、森の中から4体のオーガが姿を現した。オーガ達はタリタス達を目視すると、身体の芯に響く程の咆哮を上げる。
「「「「グルァァアアアア!!!」」」」
オーガの咆哮で辺りの木々はザワザワと揺れる。甲野は魔法で行商人達に咆哮が聞こえないようにする。アムドやウシアス、行商人達は問題無いだろうが、荷馬車の馬達がオーガの咆哮でパニックになってしまう可能性があるのだ。
「大体、3mちょいか。すっげぇ体格良いな。その所為かめっさ大きく見えるな。迫力もあるし」
甲野の呑気な独り言を他所に、タリタス達はオーガの迫力に屈する事無く、行動を始めた。
タリタスとセンボは先頭のオーガに向かって二手に分かれた。先頭のオーガは勿論、他の3体のオーガも2人目掛けて拳を振り上げる。
「《火球》!」
その腕目掛けてコリーが《火球》一度に5発放った。先頭のオーガに2発、残りのオーガに1発ずつ見事命中する。命中した《火球》はダメージこそ無かったが、オーガの狙いは狂い、センボには当たらなかった。しかし、オーガの拳が当たった地面は大きく凹む。もし命中していれば、最低でも重症、下手をすれば死んでも可笑しくは無い程の威力である。
センボは冷や汗をかきながらも、強化魔法を掛け、タリタスと共に左足の腱目掛けて剣を横一線に振り下ろす。しかし、オーガの皮膚に軽く傷を付けただけで、腱を切断する事は出来なった。センボは思わぬオーガの硬さに驚く。
「!」
「後退!コリー目潰し!」
しかしタリタスは斬った痕を見るや否やセンボに後退を、コリーに魔法での援護を指示した。タリタスとセンボはオーガ達と向き合う形で後退をし、コリーは魔法で強烈な光を生み出し、オーガの眼を眩ます。突如の光にオーガ達は眼を押さえ、兎に角辺りをしっちゃかめっちゃかに攻撃をしているが、既に後退している二人には当たらない。
へぇ、判断が早いな。確かにあれじゃあ幾らやっても大して変わらんから、良い判断だな。センボも攻撃が効いてないのを驚いてたが、直ぐに頭を切り替えてたな。これって、新人にしちゃあ十二分じゃねぇか?まぁ、俺は他の冒険者の事、殆ど知らないんだけどな。
「すみませんコーノさん!お願い出来ますか!」
タリタスはオーガ達の挙動を警戒しながら、遠巻きに見ている甲野に頼む。
「よし。全員荷馬車まで退避!」
甲野の指示に四人は、オーガから眼を離さず、直ぐに荷馬車まで下がる。それを確認した甲野はバステトに大きな声で言う。
「良いぞー!バステト!」
すると、何時もの間に居たのか、バステトは4体のオーガの目の前に居た。距離にして僅か10m程である。タリタス達はバステトがオーガの直ぐ眼の前に居る事に驚く。
「ちょ!コーノさん!バステトちゃんが居ますよ!?」
「大丈夫だから、見てろ」
甲野がそう促すと、オーガの目の前に居るバステトが「にゃあ」と可愛く一鳴きする。すると、4体のオーガを覆う、大きな、高さは目測で5m程だろう四角いの半透明な結界が現れた。突然現れた結界にオーガ達は驚きながらも、どうにか破壊しようと結界を殴っている。地面を陥没させる程の威力のパンチだが、結界はビクともしていない。当たり前である。これは、クルス国で見せた絶対障壁だったのだ。
当然、そんな事を知らないオーガ達は鬼の形相で障壁を殴っているが、障壁に変化は無く、オーガの拳の皮が剥がれ、血塗れになるだけだった。絶対障壁の特性だろうか、障壁内のオーガの殴る音や咆哮は一切聞こえない。
「す、凄い……!」
「けど、幾ら丈夫な結界だからって、あのままじゃ何も出来な」
「にゃぁ!」
コリーの言葉を遮るように、もう一鳴きをする。すると、大きな四角の障壁がゆっくりと収縮を始めた。障壁の収縮に気が付いたオーガは、それはもう必死に、なりふり構わず障壁を殴っているが、やはり変化は無い。
そして徐々に障壁は収縮をする。ついには4体オーガがもう身動きが取れない程に縮んだ障壁。
「にゃ!」
そして、短く一鳴きすると、一瞬で小さくなる。パンッ、と少し大きな破裂音と共に、凶暴な筈の4体のオーガが神獣バステトの手に依って、50cm四方の肉のブロックへと変貌し絶命した。オーガだった四角い肉塊を魔法でプカプカと浮かせ、バステトはタリタス達の元に近付く。
「にゃ!」
そして、凄いでしょ!とばかりにドヤ顔をかます。ロシックはそのバステトの大変可愛らしいドヤ顔に、魅了され抱き抱える。流石、バステトに完璧に魅了された者は度胸が違う。ただ単に、ロシックがバステトに対して、盲目的だとも言えるが。
その証拠に他3名は何も反応出来ずに、ポカーンと口を開けている。因みに、此方が正しい反応である。バステトは3人の反応の満足したのか、したり顔をしている。兎に角可愛い。
結局、3人が反応出来るようになったのは、更に3分後の事であった。
そう言えば、バステトって神獣でしたね
(´-`).。oO(思い出した)
そらぁ、オーガなんて余裕でけちょんけちょんに出来ますわな:(´◦ω◦`):ガクブル
ていうか、聖域に使われてる《絶対障壁》をあんな事に使って良いんでしょうかね(-ω-?)アレ?
まぁ、そこは本人次第って事にしましょうかc(・ω・`c⌒っヨッコイショ
それはさておき、2021年も作者こと、冬影蒼井をどうぞ宜しく御願い致します。そして、引き続き『主人公がチート過ぎてヤバイ件』と、もう一つの小説、『老紳士は魔王になっても紳士です』もどうぞ御楽しみ下さい。
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どうぞ宜しく御願い致します。




