表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
主人公がチート過ぎてヤバイ件  作者: 冬影 蒼井
62/66

第58話 一つ目の村

 どうも、パソコンを買って執筆が進んでいる(?)作者です(*`ω´*)ドヤッ

 ただ、自宅にインターネット環境が無いので、スマホのデザリングで執筆してます

(๑>؂•̀๑)テヘペロ

 やっぱり、パソコンって良いですよね!

 そゆ事で、本編行ってら(˙꒳˙ )͟͟͞͞ =ごー

 甲野達に護衛を付けている行商人達の荷馬車は、一角獣(ユニコーン)のアムドとウシアスの姿のお陰か、盗賊や魔物に襲われる事無く、順調に第一の目的地である村まで近付いてきていた。

「それで、ブエルは今も訓練中なのか?」

「えぇ、ブエル様は現在も、ザガン様とキマリス様と共に訓練中です。もっとも、訓練と名の軍事演習になっていますが」

「うわぁ……ちょっと見てみたい」

 甲野は若干引きながらも、好奇心を口に出した。ブエルの代理に召喚されたカナルも、甲野の言葉に同意する様に頷いた。

「その気持ちは分かります。魔界でも上位の力がある三名が行う軍事演習など、中々見える物ではありませんから。まぁ、ただ、やられる方は堪ったものではありません」

「まぁ、それもそうだな」

 甲野もカナルの言葉に同意した。

「しかし、この緑茶と言う物は変わった味がしますね」

「そうか?そんな変わった味じゃあ無いと思うけど」

「苦味がありますが、その中に心地良い風味があって、とても不思議です。甘い物と合いそうですね」

「お、良く分かってるな。これと一緒に食べると美味いぞ」

「頂きます」

 カナルは甲野に進められるがまま、茶菓子を手に取り食べた。骨の身体の何処に入るのかという疑問はあるが、カナルは茶菓子を食べ、緑茶を口に含んだ。

「おぉ、茶菓子の甘さを、この緑茶が洗い流してくれますね。とても美味しいです」

「そうだろ。ブエルと舌が似てるなぁ」

「おや、そうですか?」

「あぁ、ブエルも緑茶が好きだからな」

「それは珍しい。ブエル様は他の魔族と比べて、食に余り興味を示しませんから」

 甲野はブエルが好んで緑茶を飲むのを見ている為、カナルの言葉に少し驚く。

「へぇ、そうなのか。まぁ、でも、魔族は食べなくても死にはしないんだから、それもそうか」

 すると甲野の言葉を聞いたカナルは、気まずそうに頬を掻いた。全身が骨なので、何処が頬なのかは勘だ。

「ん?違うのか?」

「それは、ブエル様達、上級魔族の話なので、アンデット種以外の中級以下の魔族には、食は必要です。人族同様に食べなければ流石に死にますよ」

「成程」

 甲野は納得した様に数回頷いた。

「しっかし、説明が上手いな」

「時々、キマリス様の魔界歴史研究所の手伝いに行かされますから。そこで職員の代わりに講義をする事もあるので、そのお陰でしょう」

「それって、大丈夫なのか……?」

「まぁ、講義を受ける側も、内容が分かればそれで良いらしく、今のところ苦情などは来てませんね」

「そうなのか……」

 まぁ、本人が良いなら別に良いか。魔族は魔族、人間は人間だもんな。


 ◇   ◆   ◇


「お、村が見えてきたな」

 甲野が誰もいない御者席から前方を見ると、遠くの方に微かに村が見えてきた。

「それでは私はここで戻ります。アンデットが居ては不味いですから」

「それもそうだな」

「では」

 カナルは自分の影の中に沈み、その場から消えた。甲野はそれを確認すると、隣で熟睡しているロシックを起こした。

「おーい、起きろー。もう着くぞ」

「……んん~」

 しかし、ロシックは甲野の手を弾き、起きようとはしない。するとそこにバステトが近付き、ロシックの頬に頬擦りをした。

「……バステトちゃん」

 バステトが頬擦りをすると、眠っていた筈のロシックが起きた。ロシックは頬擦りをしていたバステトを抱き締めている。

「にゃぁ」

 バステトは抱き締められながら、ドヤ顔で甲野を見ている。

「後で檸檬(レモン)食わすか」

「にゃ!?」

 バステトは「何で!?」と甲野の抗議をする。そんな事を分からないロシックは、バステトに起こされた最高の寝起きを堪能している。

「……バステトちゃん可愛い」

「にゃにゃ!!」

 バステトはロシックにギュウッと抱き締められながら、甲野の檸檬発言を咎めて貰おうと試みるが、猫語が分からないロシックには通じなく、この後、無情にも檸檬の刑にあったのである。


 ◇   ◆   ◇


 行商人が村へやって来たのを目視した村人達がわらわらと荷馬車の周りに集まってきた。護衛の冒険者組も荷物を運んだりと手伝いを行っている。ロシックもバステトに触りたい欲を抑えながら手伝っている。

 甲野も甲野も《亜空間》から商品を取り出し、見易いように並べている。昔、家電量販店でアルバイトをしていた頃の実力を発揮している。

 周りの従業員や行商人も関心した様子でその作業を眺めていた。勿論、自分の仕事をしながらである。

「こんなもんで良いか!」

「おう!十二分だぁ!」

 行商人の言葉を聞き、もう手伝う事は無いだろうと思い、その場を離れようとする甲野の元に、小さな子供が声を掛けてきた。

「ねぇ、おじちゃん。これと同じ物ってなぁい?」

 どうやら甲野の事を従業員の一人と間違えたようだ。行商人の方を見ると、かなり忙しそうだったので、声を掛けるのを留まった。

「どれだ?」

「これ」

 甲野が子供と目線を合わせ訊ねると、子供は持っていた木の器を見せてきた。甲野はその木の器に見覚えが無かった。

「ちょっと待っててな」

 甲野は《鑑定》を駆使し、陳列されている商品を全て確認した。すると、幾つか子供が持っている木の器に酷似した物を見つけた。

「お金は幾らあるんだ?」

「えっとね……これくらい」

 子供は手の平に少ない硬貨を見せた。甲野はその硬貨で買える物を《亜空間》を使い、取り出した。

「これはどうだ?」

「おかねはどれくらい?」

「これくらいだぞ」

 甲野は子供の手の平の硬貨を三分の一のほどに分け、それを指差した。

「なら、それでいい」

「はい、毎度あり」

 甲野は子供から代金を受け取ると、木の器を渡した。

「ありがと」

 子供はそう言い立ち去ろうとする。それを甲野が声を掛け、止めた。

「ほれ、オマケだ」

 甲野はそう言うと、以前エルヴィスで買った”大蝙蝠の羽の黒蜜和え”を渡した。実は甲野、買ったは良いが、その存在をすっかりと忘れていたのだ。この村に来るまでに、《亜空間》の倉庫整理をしている時に見つけたのだ。

「なにこれ?」

「まぁ、食べてみろ」

 子供は甲野に進められるがまま、それを食べた。すると、パァッと笑顔を見せた。村では余り食べれない甘味に嬉しさを隠せない。

「ありがと!」

「どういたしまして」

 まぁ《亜空間》の肥しになってたんだけどな。一枚なら良いけど、そんな何枚も食べる奴じゃなかった……。こういう事、偶にあるんだよな。これ、欲しいなぁって思ったけど、買ってから後悔するやつ。

 そんな事を考えているなど、露ほども知らない子供は、ルンルン気分で買った器とオマケのおやつを食べながら自分の家へと戻った。

 その後ろ姿を見送った甲野は、少し遠くの広場の様な所で子供達に可愛がられているバステトを見つけた。

「人気だなぁ、バステトは」

 甲野は微笑ましそうに、その光景を眺める。子供達は三尾の仔猫が珍しいのか、とてもはしゃぎながら、わちゃわちゃとバステトを撫でている。バステトも嫌がる様子も無く、気持ち良さそうに撫でられている。そのお返しだろうか、バステトが魔法で光の球体を作り、子供達と遊んでいる。

「わー!すっごい!」

「ネコちゃんってこんなこと、できるんだ!」

「そういえば、ネコちゃんってなんてなまえなの?」

 バステトは甲野の方を向き、前足を向ける。子供達はバステトが前足を向けた方を向いた。甲野は子供達に名前を教えて、と言うバステトの意を汲み、クスリッと笑いながら教える。

「バステトって言うんだ」

「バステトちゃん!」

「カッチョイイ!」

「ちがうわよ!かわいいのよ!」

「かわいいはせいぎ!」

『バステト、カッコいいかカワイイか議論』が始まったのを他所に、議論の対象は甲野の元に擦り寄った。そして、何かを話している。『バステト、カッコいいかカワイイか議論』をしていた子供達は、本題のバステトが居ない事に気が付き、甲野の膝の上にいるバステトを見付け、駆け寄る。

「おじちゃんずるい!」

「ひとりじめはよくないんだよ!」

「ぼくにもかして!」

 この発言がどこぞの貴族なら即ブチギレ案件決定だが、流石に子供の言葉にキレるような小さい技量の持ち主では無い。

「悪い悪い」

 甲野は子供達の抗議を躱しながら、場所を開ける様に言う。子供達は素直に甲野に言われた通りに場所を開ける。すると、甲野は魔法で大きな木皿を作り、目の前に置く。子供が数人寝転べるくらいの大きな皿である。

「うわっ!」

「すっげぇ!」

 子供達の驚く声を聞きながら、甲野はゴリアテ経由で隠れ家に生っている果物を大量に並べる。ゴリアテ経由なので、既に食べ易い様に切られている。流石です。ゴリアテさん。

「いっぱいだぁ!」

「うまそうぉ!」

「ねぇ!たべていいの!?」

 突然現れた大量の果物に目を奪われながら、期待の眼で甲野を見る。

「勿論、食べていいぞ」

「「「「「わーい!!!」」」」」

 子供達は甲野の言葉を聞くなり、自分が美味しそうと思った果物に飛び付く。誰もが美味しそうに果物を食べている。これはバステトの提案なのだが、そのバステトも果物に噛り付いているので、多分、自分が食べたいだけである。

 甲野も一つ摘み、食べる。瑞々しくて程好く甘く、大変美味しい。

 チョコとか餡子も好きだけど、果物の自然な甘味(あまみ)の方が好きなんだよな。この幾らでも食べれる感が癖になる。あぁ、そう言えば金柑(キンカン)とか食べたいなぁ。昔、お爺ちゃん家になってた金柑、良く食べたよなぁ。

「おじちゃん、これおいしい!」

「これもおいしい!」

「おじちゃん、この赤いのってなんていうの?」

「うわっ、この黄色いのスッパイっ!」

「シャァァ!」

 そして、今、子供におじちゃんと言われる歳になったのか……。まぁ、別に良いけど。そして、バステトの檸檬警戒度合いのレベルアップは無視するか。

「はっはっは、これは凄いな!」

 するとそこへ、一仕事を終えた行商人が近寄って来た。荷馬車の方を見ると、最初に比べ、大分客足が落ち着き、従業員だけで対応している。

「バステト考案のおやつタイムだ。食べるか?」

「お、一つだけ貰うか」

 行商人が果物を摘まもうとすると、周りの達が自分の気に入った果物を勧めて来た。

「行商人のオッちゃん!これおいしいぜ!」

「これもおいしいよ!行商人のオッちゃん!」

「こっちのほうがおいしいわよ!」

「オッちゃん!この黄色のほうがおいしいぞ!」

 行商人のオッちゃんは村の子供達に人気があるようだ。凄いぞ。オッちゃん。

「おい、この黄色の果物、すっぱいやつだろ」

「ちぇっ!ばれたか」

「そんな悪い奴にはこうだ!!」

 行商人は悪戯をしようとした子供の頭を、両拳でグリグリと捻った。子供は猛烈に痛がっている。

「いだだだだぁ!!」

「こらぁ!参ったか!このこの!」

「ごめんなさぁいぃ!!」

 周りの子供達はそれを見て、ゲラゲラと大笑いをしている。大変微笑ましい光景だろう。グリグリされている本人以外には。甲野はそれを少し離れた所から見ている。

「ほのぼのしてて、良いな」

「にゃあ~」

 バステトも甲野の言葉に同意する。甲野は果物を摘まみながら、元気の良い子供達を眺める。バステトは甲野の膝の上に乗り、撫でられる。

 思ったより子供が多いな。それだけ住みやすいって事か。良いなぁ。将来はこんなのんびりとした所に住みたいな。

 甲野がぼんやりとそんな事を考えていると、突如、甲野の隣の空間が捻じ曲がる。

「ん?」

 甲野が捻じ曲がった空間を見ると、そこから酷く薄汚れたローブを着たブエルが現れた。変装姿では無く、不死王(ノーライフキング)の姿である。甲野は一瞬、魔法で姿を隠そうかと考えたが、子供達は行商人や果物に夢中である。それにもし見つかっても、大した問題では無いと考え、そのままにしておく事にした。

「軍事演習は終わったのか?」

「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……やっと終わったわい……」

 ブエルは死にかけであった。不死王(ノーライフキング)である筈のブエルが死にかけであった。

「全く、ブエルは少々弛み過ぎだ」

「えぇ、確かに」

 すると、捻じ曲がった空間から、今度は変装姿のエルダースカルジャックであるザガンと、エルダーリッチであるキマリスだった。ブエルに比べ、二人はピンピンしている。

「儂は……肉体派じゃ……無いんじゃよ……」

「ところで、コーノ様。ブエルの姿を変えなくでも良いので?」

 キマリスの疑問に甲野は果実を摘まみながら答える。

「村なら大丈夫だろ。街とかだったら色々と五月蠅(うるさ)いだろうけどな。二人も変装は解いて良いぞ?」

「それならば解きましょうか」

「そうだな。私も解こう」

 二人は変化の魔法を解いた。そして、甲野の周りには、(しかばね)の様な不死王(ノーライフキング)と酷く痩せこけた見た目のエルダーリッチ、全身を大きな鎧で覆ったエルダースカルジャックという、非常に奇妙で危険極まり無い三人が居た。

「わぁ!すげぇ!あれなに!」

「でっけぇ!」

「カッチョイイ!!」

 すると、子供達は一切、恐れる事無く、使い魔三銃士の元に駆け寄ってきた。甲野が子供達の背後を見ると、バステト大好きのロシックも駆け寄って来ていた。

「よろいかっけぇぇ!!」

「このほね、うごいてる!」

「ねぇ、なんでそんなにやせてるの?」

「……バステトちゃん、可愛い」

 甲野は子供達の様子を見て、呟く。

「本当に元気だなぁ」

 甲野の独り言に、ザガン達が反応した。

「えぇ、本当に」

「私達に恐れ無くこの様に近寄るなんて、人族の子供くらいですよ。ところでキマリス」

「はい、何でしょう?」

「あれを見てみろ」

 キマリスはザガンが指差す方を見た。そこには、先程まで死にかけだったブエルが、子供達と楽しく遊んでいる姿だった。甲野は、ブエルってやっぱり子供が好きなんだなぁ、と思いながら見ていると、ザガンとキマリスが中々、恐ろしい事を話し始める。

「あれだけ元気ならば、もう少し訓練を厳しくしても良いのでは無いか?」

「確かにそうですね。あれなら、3つ、4つ、訓練内容を増やしても良さそうですね。問題はどうやって捕まえるかですね」

「そうだな」

 二人は子供の相手をしながら、内々(うちうち)に話している。

 ……ブエル、死ぬなよ。

 やっぱり、ブエルは子供好きでした(๑ ิټ ิ)ヘヘッ

 そして、ザガンとキマリスは肉体派でした。

 ザガンとブエルはアスレチックみたいに子供に登られてました(*・ω・)ウラヤマシィ…

 キマリスは魔法で子供を浮かせてました。何だかんだで3人とも、子供の扱いが上手です。


 是非、『チート主人公』のブックマーク、レビュー、感想、評価、誤字報告をお願いします(唐突)

 もう一つの小説、『老紳士魔王』の方もお願いします。


 あ、ちなみに次回の投稿は未定です(ノ≧ڡ≦)☆テヘッ

それじゃあ'∀'o)ノ))またネ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 毎回楽しく読ませて頂いてます! これからも投稿頑張ってください!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ