表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
主人公がチート過ぎてヤバイ件  作者: 冬影 蒼井
61/66

第57話 休憩がてらの戦闘です

どうも、寒い冬が終わり、春に近付いてゆくのを日に日に感じている気がする作者です(٭°̧̧̧ω°̧̧̧٭)サビシイ

ポカポカ陽気の春も良いですけど、布団が恋しい冬が良いですね(´-ω-)ウム


 ブエル連れ去り事件の後、行商人達は小休憩を取った。街道の傍に馬車を止め、各々が休憩を取っている。タリタスとセンボとコリーは行商人と護衛に関する情報交換を行っている。

 行商人からすれば護衛は甲野に任せたら大丈夫だと思っているが、新人冒険者の教育の一環でもあるので、形だけは情報交換をしている。

「頑張ってるな」

「……頑張ってる」

「いや、お前の事じゃあ無いからな?」

 甲野はバステトを撫でる事を頑張っているロシックを見る。バステトは相変わらず、気持ち良さそうにゴロゴロの喉を鳴らしている。

「……頑張ってる」

 ロシックはグイッと顔を甲野に近付けた。

「はいはい」

 甲野はそれをグッと手で押し退けた。ロシックはその行為に頬を膨らまし、無言の抗議を示した。

「むぅ……」

 端から見ると、親子のようにも見える光景ではある。甲野は幌馬車内の畳に寝転んだ。ポカポカ陽気が眠気を誘う。

「昼寝でもしようかな」

「……したい」

「にゃ!」

 ロシックとバステトも乗っかかった。甲野は《亜空間》から廃教会にある毛布を取り出した。

 この毛布はゴリアテお手製の物である。エルヴィン国やクルス国にも寝具の専門店はあったが、中々気に入る物が無かったので試しにゴリアテに頼んでみると、ものの十分程で用意してくれた。やはりゴリアテは有能執事だった。

 そんなモコモコ毛布を被ると、甲野は寝転びながら行商人と話す三人の姿を眺めている。

 ロシックとバステトもその毛布に入る。左から甲野、バステト、ロシックという順で寝転んでいる。何とも微笑ましい様子ではあるのだが、休息中とは言え今は護衛中なのだが……。これで良いのだろうか?

「……気持ち良い」

「にゃ〜……」

「だな……」

 護衛中なのに、のんびりまったりしている二人と一匹の元に、草を食べていたアムドとウシアスが近付いて来た。

「コーノ様。オークの集団がこっちに近付いてるぜ」

「ふぁ……数は幾らだ?」

「七体だな。あのスピードだと、十分くらいで着くな。どうする?殺っとく?」

「ん〜、新人教育の教材にでもするか……眠いな」

「……オーク倒すの?」

「出来るか?」

 ロシックは少し悩んだ後、答えた。

「……二体が限界。それ以上は無理」

「よし。なら、五体減らすか。あ、アムド、三人を呼んでくれ」

「うーい」

「さて、ロシック、毛布から出なさい」

「……分かった」

 ロシックはゴソゴソと毛布から出てきた。

「毛布、気持ち良かった……」

「戦闘が終わったら、また寝て良いから」

「よっしゃ……」

「にゃ〜にゃにゃ」

 バステトは『良かったね』と甲野の頭に乗り、ロシックの頭を撫でている。

「……肉球、気持ち良い」

「肉球が気持ち良いのは分かったけど、オークが七体も来てるって本当!?」

 アムドの話を聞いた三人が甲野の元へとやって来た。

「本当だぞ。ほれ」

 甲野は《亜空間》で空中に周辺の地図を投影した。《亜空間》と統合されたお陰か、航空写真のような地図に変化している。投影された地図には、甲野達を示す複数の白い点と、オーク達を示す七つの赤い点が映っていた。突然、空中に地図が現れ驚く三人だったが、 甲野が適当に説明すると納得した様子で、地図を見ていた。

「大体、700メートルくらいか。鼻が利くんだな」

「まぁ、風下にオークが居るからな。それがあると思うぞ」

「そうね。オーク程度の鼻でも風向きが合えば、馬鹿には出来ないわね」

「ちなみにお二人の鼻はどれくらいですか?」

 甲野さんのノリの敬語である。

「「無風でも十キロは余裕です」」

 アムドさん&ウシアスさんもノリの敬語である。

「凄いわね……」

「十キロって……」

「最早、凄いのかも分からん」

 三人は同じような反応を見せる。

「ほれ、関心しなくて良いからさっさと武器用意してけよ」

「あの……コーノさんも手伝ってくれますよね……?」

「あぁ。オーク七体は無理だろうから五体は減らしてやるぞ。二体なら行けるだろ」

「まぁ……二体なら」

「それでもギリギリだけどな」

「動きはそんなに速くないから、気を付ければ大丈夫とは思うわ」

「……うん」


 ◇   ◆   ◇


 タリタス達は各々の武器を構え、オークの襲来を待っていた。行商人達は念の為、甲野の傍で観戦する事にした。

「コーノは戦わねぇのか?」

「あぁ。減らしはするけど、余程じゃないと戦わないぞ。()()、この護衛も新人教育の一環だろ?」

「あぁ。()()な」

「親方ぁ!コーノさんに貰った果実水飲みますか?」

「誰が親方だぁ!俺も飲むから置いとけ!」

「わっかりましたぁ!あ、コーノさん!この果実水、めっちゃ冷えてて美味いです!」

 甲野達とは少し離れた場所で作業をしている従業員は、大きく張った声でそう言う。

「何だコーノ。氷でも持ってたのか?」

「いや、魔法で冷やしたんだ。冷えてた方が美味いだろ?」

「それもそうか!」

 行商人は自分の分の果実水を「美味い美味い」と飲んでいる。これから戦闘が始まろうと言うのに、一切の緊張感は無い。少なくとも戦う本人以外は。

 甲野は四人の構えている武器を遠くから眺める。

 タリタスとセンボが剣で、ロシックが短剣、コリーが杖か。まぁ、パーティーのバランスとかは良く分からんけどな。そう言えば、俺、魔法使う時に杖なんて使った事無かったな。後で調べるか。

 そんなこんなで五分程が経った頃、森の奥から少し大きな地鳴りが聞こえた。オークの足音らしい、その地鳴りは複数聞こえている。四人に緊張が走る。

 そんな四人とは対称的に、甲野は胡座(あぐら)の中で丸まっているバステトを撫でていた。フカフカな毛並みは、触っていて気持ちが良い。

「……にゃ〜」

「可愛いな……」

 孫を溺愛するおじいちゃんの如く、甲野はバステトを溺愛している。

「おっ、来たぞ」

「思ったよりデカイな」

 森から現れたオークの群れを見た甲野は呟いた。以前倒したオークは精々、人より一、二回り程体格が勝っているだけだったが、このオークは目測だが三メートル近くあった。鑑定をしても変異種の類では無いので、個体差だろう。

 予想以上の大きさのオークに四人は驚きながらも、気合いを入れ直し対峙する。

「よし。減らすか」

 甲野はオークの足元に《亜空間》を発動させた。地面に黒い穴が現れ、オークはその穴に落ちてしまった。

 突然、他の仲間が消えた事に驚いているオーク達の隙を付き、タリタスとセンボは一体のオークのアキレス腱を斬った。アキレス腱を斬られたオークはバランスを崩し、大きな音を立てながら地面に倒れる。それを見たもう一体のオークが持っていた歪な棍棒を振りかぶった。

「センボ!来るぞっ!」

 タリタスとセンボはオークの攻撃を躱す。躱された棍棒は、地面に小さな凹みを作った。二人がオークの攻撃を躱している隙に、倒れているオークの両眼に、コリーが《火球(ファイアーボール)》を放ち、眼を潰す。倒れているオークは動きが鈍く、当てるのは容易であった。

「ロシックっ!」

「分かってる……!」

 ロシックは眼が見えないオークの単調な攻撃を避けながら、短剣で首筋を深く突く。オークの首からは血が噴き出し、必死に血を止めようと首を抑えるが、突然苦しみだし絶命した。

 毒か。結構強い毒だな。

 仲間を殺され激昂(げっこう)したオークは唸り声を上げながら、棍棒を振り回す。

「ガァァァア!」

 しかし、頭に血が上り荒くなる攻撃は、二人には当たらない。それでも当たれば致命的なダメージになるので、二人は慎重に攻撃を避けてゆく。その間に、ロシックはオークの後ろに回り込み、コリーは魔法で目くらまし等の支援をする。

 そして、ロシックは両太腿を深く斬ると、すぐにオークから離れた。オークは攻撃された事に気が付き、自分の後ろに棍棒をぶんっと音を鳴らしながら振る。

 既に離れていたロシックには攻撃が当たる筈も無く、棍棒には何の抵抗も無かった。

「コリー!」

「目を瞑ってよ!《閃光(フラッシュ)》!」

 コリーは魔法でオークの眼を潰した。オークは突然の強烈な光に両手で眼を抑える。手に持っていた棍棒が地面に落ち、四人はその場から素早く離れる。

 オークは光で目が眩み、ふらついていると、落とした棍棒で転んでしまった。そしてオークは地面で眼を抑え、ドタバタと暴れている内に、全身に毒が回り絶命した。

 四人は二体のオークが完全に絶命したのを確認すると、大きく息を吐きその場に座った。

「つ、疲れたぁー……」

「何なのよ、このオーク!デカ過ぎよっ!」

「普通の倍あるじゃねぇかよ……」

「……バステトちゃん」

 各々がその場で休憩するなか、一人だけ己の欲を満たす為、バステトの元へと駆け寄っていた。バステトはロシックに抱き締められながら「頑張った頑張った」と、肉球で頭を撫でる。甲野は肩で息をしている三人に近付き、木のコップに入った果実水を渡した。

「あぁ!生き返る!」

「身体に沁みるわ!」

「美味しい……」

 三人は果実水を一気に飲み干す。甲野がお代わりを進めると、三人ともコップを突き出す。甲野はコップに果実水を入れながら訊ねる。

「あのオークはどうする?解体出来るか?」

「……ぷはぁ。今は無理ですね。解体の方法自体はギルドで習いましたけど、今は疲れてとてもても……」

「けど、早くしないと傷んじゃうし、最悪腐っちゃうからね」

「そうだよな……」

「それなら一遍(いっぺん)、仕舞っとくか」

 甲野はオークの死骸を《亜空間》に仕舞う。オークの死骸があった箇所には、血の跡のみが残っている。三人は一瞬驚くものの、直ぐに甲野のスキルだと判断した。

 少しの時間が経ち、息が調った三人は甲野の幌馬車に乗り込む。それを確認した行商人は休憩を終わらせ、荷馬を動かすのであった。

良いですね。畳の上で毛布に包まるのって|ω・)و ̑̑༉

あの、使い慣れたグチャグチャの毛布は最高です

(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑

逆に病室とか学校の保健室のノリがパリッと効いた布団はイマイチですよね( ˘ω˘ )つ[オフトゥン]

作者も畳の幌馬車でグチャグチャ毛布に包まって、仔猫に癒されたいですლ(ಠ益ಠლ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ