第50話 戦闘よりも疲れましたのでのんびりします
暑くなるのが早過ぎて嫌になる作者です(o´Д`)=з
読者の皆さんは、暑いのと寒いのどっちが好きですか( ˙꒳˙ )???
作者は断然、寒い派です
(((( ˙-˙ ))))プルプルプルプルプルプルプル
だって寒いのは服着れば何とかなるけど、暑いのは、もうどうにもならないじゃん
c(`Д´と⌒c)つ彡 ヤダヤダ
ま、それはさて置き本編(。・ω・)ノ゛ イッテラ
(たまには違う絵文字も使ってみたい↑)
甲野は討伐したクイーンサーペントを《無限収納》に仕舞う。大きさが大きさななだけに仕舞うのに数分は掛かった。そして、甲野は、ふぅ、と一息吐き辺りを見る。木々は薙ぎ倒され、クイーンサーペントの酸で溶けた岩や《殴打》に依る攻撃で大きく陥没した地面など、周りの被害は甚大だ。それを見て甲野は少し考える。このまま放って置くか直すか。少し悩んだ結果、甲野は直す事を選んだ。理由は特に無い。敢えて理由を上げるなら、自分の好きな様にこの辺り一帯を植物や木々で覆うと思った程度だ。
「さて、どうやってやろうかなぁ。花を満開にするのも良いし、木を生やすのも良いしな。どうせならここを三つ目の拠点にしようか?。」
甲野がそんな事を考えていると、隣にキマリスが現れた。
「コーノ様。」
「ん?何だ?」
「城壁に配置している私の部下達はどうしましょうか?もうこの辺り一帯には脅威になりそうな魔物はその他の類は確認出来ません。」
「そうだな。それならもう帰しても良いな。」
「ハッ。それではそのように。」
キマリスは消えた。甲野はキマリスの消失を確認すると、再度周りの完成予想図を考える。暫く考えた後に甲野は行動を起こした。まずは《無限収納》に周りに散乱した酸や溶けた岩、石、薙ぎ倒された木々を仕舞った。そして次に地魔法で亀裂や陥没した地面を均す。
「これだけでも結構変わるもんだな。さて、後は木と花だな。」
甲野は均した地面に手を当て、魔力をゆっくりと流す。すると、まるで早送りの様に植物の芽が生え、数十秒程で辺り一面に様々な色の、鮮やかな色を帯びた花々が咲き誇った。それは見事な、見る者を魅了する様な、それはそれは見事とな光景だ。僅かに吹く微風が花の蜜の匂いが鼻腔を擽る。過剰でも無く不足でも無い、丁度良い花の香が甲野の周りに広がる。
「・・・昔は花の匂いって苦手だったのに今は良い香りと思うのって何か不思議だな。」
甲野はそんな事を思いながら、再度、今度は足の先から魔力を先程より多く流す。その魔力を徐々に増やしていく。そして、魔法で生やした花々を踏み潰さない様に、辺り一帯に、甲野の居る所以外に木々を生やす。何本も何十本も何百本もの木々を生やしてゆく。場所に依って流す魔力の質や量を変え、生やす木の種類を変える。時間にして凡そ十分程だろうか。甲野を中心に辺り数十キロの範囲に種類様々な背の高い木々が生い茂った。
「・・・あぁ、思いの外魔力使ったなぁ。身体がしんどい。」
甲野がステータスで魔力値だけを確認すると、魔力は三分の一まで減少していた。間違い無く、ここまで魔力を消費したのは初めてだろう。甲野は称号効果で魔法使用時は消費魔力が半減するが、今回は純粋な魔力だけを使用しているので称号効果は発動されない。
「まぁ、小屋を建てる程度の魔力は残ってるか。」
甲野は一本の、特に大きな木に手を当てる。そして魔力を木に流す。木は魔力を流され、急速に成長する。成長した木は蔓の様にウネウネの動きだす。甲野はさらに流す魔力に想像を加える。
木はその想像を受け、形を変える。木は大きさを変え、家の形になる。家の形をした木はさらに、ドアを作り、窓を作る。それはもう完全に小屋だった。甲野は魔力を流す手を放し、深い息を吐いた。
「……あぁ、しんど。」
甲野はその場に寝転ぶ。森の中の涼し気な空気とヒンヤリとした地面が心地良い。土が服に付くが気にはしない。
「異世界来て初めてだな。こんな疲れたのは。」
そう言えば回復薬があったな。あれ、飲むか。
甲野は《無限収納》から以前、作って置いた上級回復薬を取り出す。甲野の魔力は市販の上級回復薬でも多少は回復するものの、現在の魔力残高では雀の涙ほどにもならない。さらに、魔水は大変貴重で、しかも市場に出回っている魔水は粗悪品が多く、たとえ良品でも甲野の魔力は大して回復しない。だが、甲野自身が制作した物は別だ。
甲野は上級回復薬を飲んだ後、続けて魔水を飲んだ。
「ふぅ。なんかこれミネラルウォーターみたいな味だな。美味い。」
青汁みたいに「不味い!もう一杯!」とかは嫌だし、不味いやつをもう一杯飲むなんて、何処のマゾだよ。最近は美味いらしいけど、飲みたいとは思わんな。まぁ、今はこれがあるから良いけどな。さて、少ししたら戻るか。
◇ ◇ ◇
「報告します!突如、魔物が居た場所に森が出現!魔物の能力かは不明!」
「ご苦労。引き続き監視を続けてくれ。」
「ハッ!」
兵士は執務室から出て行った。兵士が居なくなった執務室には公爵と女執事の二名が居た。
「良いのですか?兵を出軍させなくて?。」
「あぁ、構わないよ。あの魔物の事は彼に一任しているからね。」
「しかし……。」
「それよりアデル。」
「はい?」
「今はこの部屋には誰も居ないから、昔の様に言ってよ。」
「はいはい、分かりましたよ、ブルさん。」
公爵の言葉を聞いた、アデルと呼ばれた執事は途端に軽い口調になった。どうやら二人は、公爵とその執事以前に幼馴染らしい。
「ところでブルさん。なんであの冒険者をそんなに信用してるの?確かにあの時の威圧は凄まじかったけど。」
”あの時”とは甲野が武器類を預ける際の出来事である。その威圧はドア越しに公爵も感じていた。
「……クロロに聞いたけど、あの威圧は大したものではないとの事だよ。」
「は?」
「実はコーノは馬車の中で、クロロの話を聞いてキレたらしい。」
「キレた……?クロロが何か言ったの?」
「あぁ、他の貴族達がしそうな無礼を言ったら、ムカついたらしい。」
ブルさんの言葉にアデルは若干引きながらも同情した。
「ま、まぁ、気持ちは分からなくもないけど……。それで思わずクロロに威圧したの?」
「そうだよ。けどね、クロロが言うには、それは威圧どころじゃ無かったらしい。」
「……威圧じゃなかったら、殺気か何か?」
「いや、クロロはこう言っていたよ。」
ブルさんは心無しか少し冷たくなった執務室の空気を少し吸った。
「それは”死”そのもの、だってさ。」
「……つまり、クロロはコーノの威圧か殺気かは分からないけど、それを”死”と思ったって事?」
「そうらしい。」
ブルさんの返事にアデルは僅かに間を置いた。
「……けど、あのクロロだよ?真贋の魔眼を使えて、魔術、武術ともに優秀。しかも私の一番弟子。」
「……あぁ、兵士の訓練に時々参加しては滅多打ちにする事から、兵士の間では『悪魔』とまで言われたアデルの一番弟子だもんね。滅多打ちにし過ぎて、兵士から僕に苦情が来てたよ?」
ブルさんは自信満々に無い胸を張り、言い切ったアデルを容赦無くバッサリと切った。それを聞いたアデルはみるみる内に顔を真っ赤にして、ブルさんに抗議した。
「何だとぉ!?それを言うならブルさんだって、新米貴族をしごき過ぎて私に、怨みつらみが含んだ愚痴を聞かされるんだからねぇ!?」
「良く言うねぇ。アデルだってそれを喜々として聞いてるそうじゃないか。」
「ギクッ!」
「……なんで口でギクッって言うの?」
ブルさんは呆れた。仕事の時と素の時の落差が凄い事に。これをギャップ萌えと言えば良いのか、ただの残念執事と言えば良いのか、判断に困る。
「だけどねぇ……!」
「それを言うなら……!」
「何だとぉ……!」
「ふん……!」
二人はその後、喧嘩と言うより、痴話喧嘩の様な言い合いが繰り広げている中、執務室のドアがノックされる。
しかし、二人は痴話喧嘩で聞こえてない。ノックをした人物は「失礼します」と一言告げ、ドアを開けた。
「公爵様、御報告したい事が……あ」
入って来たのは、ついさっき話に上っていたクロロだった。クロロは何かの書類を手に持っている。しかし、クロロは執務室に居る二人の現状を見て、たっぷり10秒悩んだ後……。
「……失礼しました。」
それだけ告げるとクロロはドアを閉めた。ドアの向こうからは、クロロの走る足音が聞こえる。
「ちょっ!クロロォ!」
「待ちなさい!何か誤解してない!?」
二人は急いでクロロを追い掛けた。
その後、クロロの誤解を解くのに二人は苦労したとか、してないとか……。
◇ ◇ ◇
「にゃっ!にゃっ!」
「この、やったなぁ!」
ブルさんとアデルが痴話喧嘩をしている時、甲野は造った小屋の中でバステトと、のんびりとしていた。その周りには使い魔三人衆もいる。ついでに久しぶりの登場のゴリアテも、小屋に接続され、のんびり(?)と甲野達を見ている。最初は直ぐに戻るつもりだったが、どうせなら、新しい拠点で、のんびりしたいと、思いペットと使い魔四人衆を呼んだのだ。
ブエルはいつも通りとして、キマリスとザガンも珍しくのんびりとしている。ザガン曰く「偶には息抜きもしないと疲れる」との事だ。魔族で、しかも甲野の”名付け”を受けたザガンが疲労で倒れるなどとは、考えにくいが、ザガンの仕事(?)量は普通の人間なら、当に過労で倒れているので、確かに息抜きは必要だろう。
「ブエル。私にもそれをくれ。」
「分かりましたよ。」
ブエルはザガンに緑茶(仮)……もとい、緑茶もどきを湯呑に入れ渡した。キマリスもブエルに、緑茶もどきを所望したので、キマリスにも渡した。ザガンとキマリスは、ふぅふぅと少し冷ましてから飲む。ゴリアテは一応ゴーレムなので、飲食は出来ない。代わりに甲野は魔力球をゴリアテに与えた。
「……苦いな。」
「……同意見です。」
「その苦みが儂は好きなんじゃがのぉ。」
「ブエルに同意見。」
『私はゴーレムですので、飲めませんが。』
それぞれの意見を述べながら、ブエルの買って来た茶菓子をつまみながら緑茶もどきを啜る。今回は煎餅の様な焼き菓子では無く、羊羹や饅頭といった甘い茶菓子だ。煎餅なども良いが、やはり緑茶には甘い菓子が合う。もどきだが。
「そう言えば、護衛してた行商人の方に何か異常はあったか?」
甲野は思い出すかの様に、そう言った。いや、実際忘れていたので、今本当に思い出したのだ。ザガンとブエル自体、もう危険は無いだろうと判断し、甲野の元に戻ったのだ。
「特にはありませんでした。」
「国民自体、クイーンサーペントの襲撃は知らなかった様じゃしな。」
『まぁ、知らせれば国がパニックに陥りますから、当然の処置と言えば、それまでですね。』
「成程。ま、異常が無ければそれに越した事は無いな。」
すると、今度はブエルが何かを思い出した様に言う。
「そう言えば、あの行商人じゃあ無いが、国外に逃げる貴族を時々見たぞ。」
ブエルは自分が用意した茶菓子を一つ手に取る。
「貴族が国外に?」
甲野の疑問にゴリアテが答える。
『恐らく、クイーンサーペントの襲撃で国が滅ぶと考えたのでしょう。それで自分だけは、それから逃れようと国外へ逃亡をしたと考えられます。』
「まぁ、それが妥当だろうな。」
甲野は茶菓子を一口齧り、緑茶で喉へ流し込む。ホッと一息を吐く。
「どうしますか?捕らえて、あの公爵に貸しでも作りますか?」
そう甲野に提案したのはザガンだった。ザガンはその貴族に何の興味も無かったが、甲野の利益になるのならば即刻捕らえるつもりだ。
しかし、甲野はザガンの意に反して、こう言った。
「ほっとけ。あの公爵が依頼して来たら考えるが、今は少なくとものんびりしたい。」
「ハッ、コーノ様の意のままに。」
ザガンはそう言い、ブエルは残った緑茶を口に流し込んだ。
「ていうか今更だけど、ザガンとブエルって骨なのに飲み食い出来るんだな。」
「本当に今更じゃな。」
「魔族には私達も知らない謎が多いですからね。そういう理由で魔界には”魔界歴史研究所”という所がありまして。」
「そこの所長が私なのです。」
そう言ったのは、先程まで甲野と遊んでいたバステトを膝に乗せている、何だか一瞬マッドサイエンティストの様に見えたキマリスだった。そう見えたのは甲野だけの秘密だ。
「まぁ、魔界歴史研究所と言っても、実際は魔界以外の事も研究しとるからのぉ。」
「あの研究者達は少々探求心が強過ぎる所があるからな。」
「それで言えば、あの時の人間は本当に助かりましたよ。」
「あの時の人間……?」
甲野はキマリスの言う、人間が誰か考える。そして、思い出した。
「……あぁ、確かハユダ村だったか。その村に行った時に居た、あの冒険者か。」
「えぇ、現在あの人間はブエルによって不死にされ、私の研究者達の研究材料にされています。」
「研究材料か……ご愁傷様だ……ん?ブエル、お前人を不死にするなんて事出来たのか?」
「ほっほっほ、不老でも不死でも、どっちでも出来るぞ。何なら試してみるかい?不老不死。」
「生憎、不老も不死も今は必要じゃないな。」
「コーノ様ならそう言うと思ったわい。」
「ま、確かにな。」
『コーノ様なら不老不死くらい、どうにでもなりそうですけどね。』
「と言うか、コーノ様が死ぬところなんて、想像が付かないんですが?」
「「『確かに。』」」
「にゃにゃにゃ。」
「……お前等、何気に酷くないか?」
四人は緑茶もどきを啜り、バステトは茶菓子を口一杯に頬張る。何気にこうやって全員が揃ってのんびりする事が無かったので、甲野は少し新鮮な気持ちだった。
『そう言えばキマリス。人間の研究材料が要るのなら、私の所の実験体を譲りましょうか?私にはもう不要なので。』
「それは有難い。では明日にでも部下に取りに行かせます。」
『分かりました。それでは第一拠点でお待ちしています。』
話の内容は些か物騒ではあるが……。
たまには、甲野の使い魔全員登場させたかった!(必死)
そしてのんびりさせたかった((´・ω・`;))ブルブル
けど、書いてる途中で「あっ!ゴリアテ忘れてたっ!」ってなって急遽、修正しました(๑́•∀•๑̀)ฅテヘ-
いやぁー、危なかっ『作者は一度転生した方が良いですね。』た・・・!?
な、何故ゴリアテがここに!?
『そんな事、どうでも良いじゃありませんか。さぁ、貴方も私の実験体になっていただきましょう。』
や、ヤメロォォオ!
その後、作者はオキアミに転生したとか、しないとか・・・・・・




