第47話 面倒事=領主の謁見(後編)
思ったより早めに続話が投稿出来て自分でも吃驚している作者です!
\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
やっぱり、投稿頻度はこれくらいじゃないとね( ..)φメモメモ
いやぁ、早く投稿出来るって気持ちいいもんですね>゜))))彡フッハッハッハ
それでは本編(-_-メ)イッテコイ【今回だけ違う顔文字】¥
俺は女執事の後ろを歩き、執務室に向かった。謁見と言っても、ファンタジーでよくある”謁見の間”的な場所は王都にしか無いらしい。すると直ぐに俺の後ろを歩くクロロが大きな溜め息を吐いた。
「どうかしたのか?」
俺がクロロの方を向き、そう尋ねると、クロロはもう一度溜め息を吐き、こう言った。
「いや、なに。これから起きる事を想像すると、溜め息の一つも吐きたくなるものだ。」
クロロはそう言い、頭部を押さえ、三度目の溜め息を吐いた。そして、続けてこうも言った。
「またアレを感じる事になるだろうからな。」
「あれ?なんじゃそら。」
「馬車でバステトが叱っていたアレだ。」
「あぁ、アレか。」
「アレはなんなんだ?殺気では無いし、威圧でも無いようだったが……?」
「何だと思う?」
「……死?」
「いや、それは大袈裟だろ。ただ、話にあった豚貴族共が言いそうな事を想像して勝手にキレただけだ。」
「にゃっふ!」
バステトは甲野の頭の上で、まったく!と甲野の言葉に呆れた。
「……あれがキレただけ?」
「あぁ。と言っても少しだけだからな?流石に、想像でガチギレする程、子供じゃないからな?」
「い、いや、そこでは無いのだが……」
それならば本気でキレた時は一体、どんな被害が出るのだ……?
そんな会話をしていると、執務室まで到着した。ドアの傍には一人のメイドが居て、そのメイドは何か大きな板のような入れ物を両掌に乗せている。
「申し訳ありませんが、腰に付けている武器はここで預からさせて頂きます。他にも武器があればここで預かります。」
女執事がそう言うと、入れ物を持ったメイドが甲野へ一歩近付いた。
「ほぉ、そちら側が呼んでおいて、自身の身が危ないから武器を預かるか……随分と都合が良いんだなぁ?俺はそっちを信用した訳じゃない。あくまで、クロロの言葉を信じただけだ。」
俺は敢えて不機嫌な様に言い、執務室の中まで届くように周囲を威圧する。これは扉の向こう側に居る奴らへの威嚇や警告も含まれている。とは言っても、そこそこの腕が無いと感じ取れないくらいの威圧にしてあるので、兵士上がりのクロロは例外としても、他の貴族は感じ取れないだろうな。現にメイド以外の二人は俺の威圧を感じ取り、女執事は何処からか短刀を手に取っている。メイドは突然、二人の雰囲気が険悪になったのを見て、オロオロとしている。
クロロも少し緊張しているようだが、馬車で俺のキレたのを直接、感じているので、わざだと気付いているようだ。
女執事はナイフを手に取ったまま、顔を引き締め、俺にこう言った。
「これは慣例ですので。コーノ様に限らず、外部の者には必ず、このような対応をしています。」
俺はその言葉を聞き、ゆっくりと威圧を収めた。
「冗談だ。」
威圧が無くなった為か、メイド以外の二人はホッと息を吐いた。俺はそんな二人を横目に、メイドの持っている入れ物に、刀と懐から取り出しように見せかけ《無限収納》からミスリル短剣を取り出し、置いた。
「……ッ!!」
すると、それを見たクロロは驚愕した。
「あ、ありえん……!」
あぁ、ミスリルの短剣を視たか。試しに、ミスリルの短剣を出してみたけど、やっぱり、純度が分かるんだな。
「要るか?」
俺は入れ物に置いたミスリル短剣を指差し、クロロに言った。
「や、止めてくれ。私を殺す気か。」
「冗談だ。頼まれてもやらん。」
「……その冗談は心臓に悪いから止めてくれ。」
「止めない。」
「はぁ……」
クロロは俺にそう言った。
俺はクロロの言葉を聞きながら、バステトを頭の上から降ろし、腕に抱えた。女執事はそんな俺を見、執務室のドアを数回ノックして、こう言った。
「コーノ様をお連れしました。」
すると、執務室の中から男性の声で返事がきこえた。
「入ってくれ。」
その声を聴き、女執事は執務室のドアを開けた。俺は女執事に礼を言い、中へと入る。俺が中に入ると、クロロと女執事も中に入り、女執事がドアを閉めた。
中には椅子に座った領主らしき男性と、周りに十数名の貴族と数名の兵士が居た。すると、中に入った女執事は、領主らしき男性の隣に付く。
確かにレフィアは貴族が少ないと言ってたけど、えらい少ないな。まぁ、流石に全員は来れないか。仕事もあるだろうし、この部屋の広さじゃなぁ。ん~どうしようかなぁ。一応全員、鑑定するか?だけど面倒だしな……後でいっか。
甲野が執務室に入ると、周りの貴族が甲野を見て騒めく。耳を澄まさなくても貴族達の声は聞こえた。その内容は大半が甲野に対する疑いだった。中には、この場に何故、猫を連れているかを疑問視するものもあったが、甲野は気にもしない。
コイツが領主か。思ったより若いな。30……いや、まだ20代だな。
甲野が領主の年齢を予想していると、領主が話の口火を切った。
「私がこの国の領主のブルセクト=クルスだ。公爵をしている。」
「俺は甲野。ただの冒険者だ。」
俺がいつも通りの自己紹介をすると、周りの貴族が突然、甲野を非難し始めた。
「何だその態度は!!」「公爵様に向かって!不敬罪だぞ!」「これだから、冒険者は信用ならんのだ!!」「兵士!何をしている!コイツを鎖に繋いでおけ!」
等々、工事現場の指示並みに喧しい事この上ない。
五月蠅いなぁ。て言うかここの貴族がここに居る兵士に命令する権利何かあるのか?
「構わないよ。」
すると、周りの貴族の非難を聞いた公爵はそう言い、諫めた。
「何を言いますかクルス公爵!?相手は冒険者!私達とは対等ではありません!それを分からせなく……」
「……黙れ。お前は私に指図するのか?」
「……チッ。申し訳ございません。」
苦言を呈した貴族は舌打ちをし、一歩下がる。
おぉ、一応、公爵の威厳みたいなのはあるんだな。
「済まないね。彼は冒険者が嫌いなのだよ。」
「構わん。危害を加えて来なければ、こっちも何もしない。勿論、例外もあるがな。」
俺の言葉に、冒険者嫌いの貴族がムッと俺の方を睨み付けた。
「出来れば、その例外を教えてくれないかな?」
「その内、分かる。」
俺の言葉にまた周りの貴族が非難しようとしたが、直前で公爵が諫めた。慣れてるんだろうな。ちょっと同情する。
「それなら良い。それじゃあ建前は抜きにして本題に入ろうか。」
公爵はそう言い、一枚の紙を女執事経由で甲野に渡した。甲野がその紙を見ると、それはエンペラースネークの報告書だった。
「まず、エンペラースネークの魔石を買い取りたい。」
お、いきなり来たな。建前が無くて良いよい。
「エンペラースネークはここら辺りの主。そんな魔物の魔石なら、色々と活用法もある。」
「……例えば、国王への献上品とかか?」
甲野がそう言うと、再度周りの貴族が騒ぎ出す。
「き、貴様!」「公爵様を侮辱するのか!?」「冒険者如きが……etc……
公爵は騒ぐ貴族を無視し、甲野をジッと見詰める。明らかに先程と雰囲気がガラリと変わる。一部の貴族はそれに気付き、二人の様子を見る。
凡そ、一分程、それが続き、公爵が大きく息を吐いた。そして、騒いでいる貴族を黙らせた。
「……エンペラースネークの最大の特徴はその巨体。攻撃が効かないのは皮膚だけ。それなら対処の仕方はある。しかし、この報告書を見る限り、そこまでの硬さは無かったようだがな。」
「まぁな。そもそも、解体が出来る時点で武器も魔法も通らない事は無いだろう。」
「フッ。確かにコーノの言う通りだな。エンペラースネークの情報は古い物が多い。恐らく、そこから尾を引いているのだろうな。」
「多分そうだろうな。っで、公爵様は何が言いたいんだ?」
やっぱり、バステトの身体、柔らかいな。触って気持ちいい。
「……体格だけの魔物の魔石より、質、価値が大きい物はいくらでもある。確かに希少価値は高いが、国王様に献上するには不十分だ。つまり、国王様への献上品では無い。」
「建前抜きって言う割には、無駄話が多いな。」
「これは昔からの癖のようなものだよ。気にしないでくれ。」
「成程。分かった。無駄話は俺も好きだ。建前は嫌いだがな。」
「それは良かった。無駄話はまだ色々とあるからね。建前無しの。」
「そうか。それじゃあ俺は座って無駄話をしようか。」
甲野がそう言うと、公爵は女執事に椅子を持って来るよう言い、女執事は執務室から出る。
「それで、返答はどっちかな?」
「そうだな……」
俺はバステトを撫でながら考える。バステトのおやつ用には微妙だしなぁ。ゴリアテにあげるにしても、今じゃあエンペラースネーク……略して、エンペラで良いか。エンペラの魔石じゃあ、対して、成長しないしな。俺も使わないし、要らないな。金にも困って無いし。
「あっても邪魔なだけだし、譲っても良い。」
「おぉ、それはありがたいね。金額はそっちの言い値で良いよ。私の懐から出すからね。」
公爵が「言い値で良い」と言うと、周りの貴族は何か言おうと口を開くが、その前に公爵がそれを制した。
「金には困って無い。」
「それじゃあ対価は何か別の物かな?」
「それはそっちで考えてくれ。言っとくが、魔道具とか要らんぞ。」
「そうか……魔道具も要らないか……」
俺の言葉に公爵は対価を何にしようか悩み始めると、一人の貴族が公爵に話し掛けた。
「公爵様!そもそも前提が間違っております!!」
誰だこいつ?
すると、俺の疑問に答えるかのように、公爵がその貴族に向かって口を開いた。
「何だい?カシス子爵。前提が間違っているとは?」
公爵が、そう問うとカシスは熱弁をし始めた。
「貴方は公爵ですよ!そして、こやつは平民!何故、対価など支払う事がありますか!?我々貴族は平民を養っています!ならば日頃の恩を少しでも返そうとするのが当然。」
このカシスの言葉に、周りの貴族の殆どが頷き、肯定した。しかし、公爵は対処的に頭を抱え、溜め息を吐いた。それを見て、甲野は同情する。
うん。苦労人だな。後で回復薬でもあげよ。
甲野がそんな事を思っている最中も、カシス演説の勢いは増していく。
「そうだ!公爵様!こやつを貴方の専属にしてしまえば宜しいのです!さすれば、魔石も貴方の物!冒険者にとって貴族の専属になる事は、これ程ない名誉です!」
それに周りの貴族の殆どが「そうだ!そうだ!」と同調する。公爵が諌めようと、カシスの演説劇を止めようとするが、その前にカシスはさらに続ける。
「仮にこやつが命令を聞かなければ、そこの汚い猫でも取り上げ、剥製にでもすれば良いのです!確かコルトーナ伯爵は魔物のコレクションを収集している事で有名です!それならばその汚い猫にも利用価値があります!しかし、それではこの男も不憫!そこでこの奇妙な猫の代わりに、ゴブリンを与えれば良いでしょう!」
そのカシスの言葉を聞いたクロロは慌てて止めた。
「今すぐ口を閉じよ!カシス!貴様、我らを殺す気か!!」
「何の事だ!この賎しい兵士上がりの分際でこの子爵様に口答えをするのか!」
「私も子爵だ!即刻口を閉じろ!」
「我らは貴様が子爵とは認めていない!」
「何だと!」
甲野はそんな二人を他所に、女執事が持って来た椅子に座った。バステトは甲野の膝に丸まり、のんびりと欠伸をする。
しかし、何故、甲野はカシスと呼ばれた子爵にキレないのだろうか?当然、子爵のバステトへの暴言にはムカついている。それは間違いない。だが、子爵がしている事は、所謂、子供の戯言のような物だと思っているのだ。例えば、子供が喧嘩をしている時に、片方が相手に死ね等の暴言を吐いても、殆どは実行しない。そんな感じだ。ザガン達も甲野の影から様子を見ているが、甲野が動かないので特に手出しはしない。甲野自身、子爵や周りが、バステトに対して何か動きを見せれば対応をするが、そんな事をしない限り、特に何もしない。
とは言っても、バステトが子爵の言葉に傷付いたりした場合は別だが……
しかし、周りの貴族達は、二人の子爵同士の喧嘩に野次馬のような雰囲気で、それを見る公爵は思いっ切り頭を抱えている。公爵は苦労人なのだ。
甲野は、公爵に同情しつつ、今後の予定を考えている。この国は、あの煙草を売ってくれた行商人が出国する時に合わせて出国するのだがその際に、アムドとウシアスはどうしようかと悩んでいた。
すると、執務室の向こうから誰かが走って来る足音が聞こえた。それは大変小さく甲野以外は気づいていない。
こんな時に態々走って来るって事は何か大事か?これ、面倒事確定だろうな。
甲野がそんな思案をしていると、足跡の主が混沌としている執務室にやって来た。その姿から兵士だと分かる。兵士は執務室のドアを勢い、乱暴に開ける。その音に工事現場並みに騒がしかった執務室は一瞬で静まり返る。かなり急いでいたようで、兵士は息切れをしている。
「なんだこんな時に無礼な!?」
一人の貴族がそう言うが兵士あは気にも留めず、己の主に、周りにいる貴族に聞こえるように叫んだ。
「報告します!現在、巨大な蛇型の魔物がこの国に向かって接近中です!!」
さあ、面倒な謁見に、更なる面倒事の予感(-_-)zzzモウネル
さて、甲野の運命や如何に!?
さて、次回は主要登場人物の設定、つまり閑話の閑話ですね。まぁ、出来る限り、ネタバレはしないように頑張ります。何人載せるかはまだ決まっていません。一応書いてはいますが・・・
それではまたね\(゜ロ\)(/ロ゜)/マタネマタネ




