閑話2 愚か者達の末路
本編がまだ書き終わらないんで久しぶりに閑話を描いてみました!
「へへへ、ここか。」
「親分ここでスっか?あのコルクの野郎が言い渋ってた場所ってのは?」
「あぁ。あの野郎、何だかいつもと様子が違ってたから締め上げたら何かに怯えるように吐きやがった。」
「けど、ここって廃墟の教会でスっよね?周りに柵っぽいのはあるっスけど。」
「んな事判ってんだよ!おおかた呪いだの、悪魔だの、とか噂があるんだろうよ。」
「けど、中にはお宝があるだろうな!」
「あ、悪魔ですか!?」
「ま、マジっすか!?」
「やめときましょうよ!」
「じゃかましい!!んな事にビビってて盗賊が務まるか!!」
「行くぞ!」
愚か者の親分がそう言い柵の中に足を踏み入れるたその刹那───────────
ゾクッ!!!!!
その空間だけが、まるで時間が止まったかのように凍てついた!
そして、地中からありとあらゆる魔物が這い上がってきた!
「「「「「「ギャー!!!」」」」」」
当然、愚か者はパニック状態だ。
「狼狽えるな!武器を抜け!突っ立ってると死ぬぞ!」
腐っても盗賊の頭だ。死地は過去にも経験している。こんな事では狼狽えない。
そして、冷静さを取り戻した盗賊は苦戦しながらもキマリスが召喚した魔物を倒していく。
多少の誤算もあったが、この程度では俺達は死なない。
あいつが現れるまでは……
ゾワッ!!!
愚か者の目の前にとある魔族が現れた瞬間、先程とは比べ物にならない程の悪寒をこの場にいる人間全員が感じた!
「コノ地ニ足ヲ踏ミ入レル人間共ヨ」
「ソノ血肉ヲ捧ゲロ」
死霊王がそう言い持っていた杖を地面に一突きすると、愚か者を囲む様に死獣や首無し騎士、虚空騎士等々の上級魔物が地中から現れた!
「我ガ主ニ捧ゲロ」
その言葉と同時に魔物達の虐殺が始まった!
「ギャー!!!」
「ギャギャギャギャ!!!!!」
「足が!俺の足が──────!!!!」
「く、草に引っ張られ────&:,(!&(?!¥(,&@¥?!);,!!!」
ある者は首無し騎士の乗っている巨馬に背中を踏まれ脊髄が砕ける者
ある者は死霊に取り憑かれ周りの味方を惨殺する者
ある者は死獣数体に両脚を骨ごと噛みちぎられ地獄を見る者
ある者は霊魂が取り憑いた草木に足を引き摺られ地中に埋められ全身の骨がありとあらゆる方向に曲がり脚は頭部に腕は腹を一回転し同じ腕の肘に付くほど全身複雑骨折し死ぬ者
「おい!おめェら!急いで中に逃げるぞ!」
その言葉を聞いた何とか生き残っていた盗賊が残る力を振り絞り廃墟と化した教会の中へと入っていった。
「おい!何人生き残った!?」
「6人です!」
「ちっ!つう事は俺を含め7人か……」
「これからどうしますか!」
「んな事決まってるだろうが!ここから逃げんだよ!」
「けどここなら、あの化け物共も来ない!」
「それはそうだがな…………ちょっと待て、おかしくないか?」
「?なにがですか?」
「なんで化け物共は中に入って来ない!?あれだけ俺達を殺そうとした奴らが何故中まで追いかけて来ない!」
「た、確かにそう言えば!」
「まさか……!」
「まさか、なんですか?」
「俺達は嵌められたんだよ!!」
「親分!」
「なんだ!」
「壁が迫ってきます!」
「なんだと!」
愚か者が指した方を見ると確かに向こうの方から壁が自分達の方へと迫ってくるのが分かる。しかもその壁には無数の棘が刺さっていた!
「くそ!逃げるぞ!」
そう言うと愚か者は一本道の廊下を走って行く。
「ちょ、ま、まって!お、置いていか─────ギャァァアァァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
「おめェら!とっとと走れ!あいつみてぇになりたく無かったらな!」
しかしその怒号も虚しく迫り来る壁は徐々にその速さを上げていった!
「くそ!どのまで走ればいいんだよ!」
後ろを振り返るともう背後には誰も一緒には走っていなかった。
「ちっ!おめェら全員殺られたのかよ!!」
この盗賊は騎士並の、いやそれ以上の体力があった。
例えるならばフルマラソンを汗一つもかく事無く完走出来る。
しかし、走る廊下は目の前が、すぐ足元も見えない程の暗闇。
そして周りには誰もいない。こんな孤独は48年間の中で1度も経験をした事が無かった。
孤独と感じた事は何度もあった。
しかしさっきまでいた仲間達が一瞬で自分の周りから姿を消し、先が一切見えない一本道。周りは暗闇で景色と言える物は皆無。
そして、尋常では無い体力が自分を苦しめていた。
先が見えない。止まりたい。しかし止まれば死ぬ。
もう、この男には何も聴こえてはいない。口からは涎が垂れ、目は虚ろ、手は力を失い身体の重りと化し、しかしそれでも何故か尽きない体力。
自決しようにも武器の類は中に入る時に身代わりにしてしまい、短剣の1本も無い。
そして思考も停止し最早ただ走るだけのロボットと化していた。
『コーノ様の敷地に踏み入れた代償に私の実験体になってもらいますよ。』
『フッフッフ。』




