表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
主人公がチート過ぎてヤバイ件  作者: 冬影 蒼井
29/66

閑話1 回復薬の使い道



「そう言えば、あの2人が何で村の外に出たか聞けずじまいだな」

あの2人と言うのはカーナとアクルの事だ。


「ほっほっほ、それなら儂が聞いておるわい。」

すると、いつの間にか馬車の中にブエルが現れた。


「ブエルか。それで理由は?」


「あの2人の母親が流行り病でのう。それで治す為に村の外で薬草などの採取をしとったらしいわい。」

「と言っても、その母親の病は薬草程度では気休め程度にしかならんみたいじゃがのう。」


「流行り病か。村に医者はいないのか?」

村の中はたいして見てないからな。


「村には簡易的な施設はあるみたいじゃが、治せると言っても精々風邪くらいみたいじゃのう。」


「まぁ、村だからな。それもそうか。」

「そうだ。ブエル、この回復薬(ポーション)をその母親の子供に持って行ってくれ。」

甲野はそう言うと隣に置いてあった完全回復薬(フルポーション)をブエルに渡した。


「これは……ほっほっほ、完全回復薬(フルポーション)ですか。またエラいものを作るのう。」


「いくらでも作れるからな。」

甲野はさも当然の様に言った。


「ほっほっほ、それじゃあ行ってきますわい。」

そう言うとブエルはその場から姿を消した。


「さて、のんびり行くのも止めるか。」

甲野はそう言うと一角獣(ユニコーン)を空に飛ばした。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


「ああー、ブエルおじちゃんだ!」

ハユダ村へ到着したブエルを迎えたのはルミだった。


「ほっほっほ、ルミちゃんか。」

ブエルはそんなルミに愉しそうに頭を撫でた。


「えへへへへ。」

ルミはブエルのナデナデに何の抵抗もせず、嬉しそうに笑った。


「カーナちゃんとアクルくんのお母さんは何処にいるかね?」

ブエルは撫でるのを一度止めカーナたちの母親の居場所を訊いた。


「それなら、こっちだよ!」

そう言うとルミはブエルの裾を引っ張り連れていった。




「おお、ルミちゃんか。どちらさんだい、この人は?」

井戸で洗濯物を洗っている老婆と言うには、まだ若い推定40前半の女性と出会した。


「ブエルおじちゃん!あのコーノさんのしりあいなの!」


「おぉ、そうかい。あれ?コーノさんならさっき馬車で出ていったけどねぇ?」

女性は首を傾げ、そう言った。


「ほっほっほ、実はカーナちゃんの母親に、この薬を渡す様に言われてのう。」

ブエルはそう言うと懐から完全回復薬(フルポーション)を出した。


「それは有り難いけど、最近その流行り病のせいで目が見えなくなっているんだよ。」

女性はそう、哀しそうに言った。


「それはさておき、ルミちゃん、ブエルさんを案内しておやり。」


「うん!こっちこっち!」




「そう言えば、さっき見た回復薬(ポーション)なんだか、色が濃かった様な気がしたんだけどねぇ。」

「昔、王都に観光しに言った時に見た完全回復薬(フルポーション)の色に似てたねぇ。」

「いや、まさかねぇ。」

女性はそう言いながら洗濯物を洗い続けた。




「ここだよ〜!」

そこは、他の家と対して変わらない普通の家だった。


「おばちゃん!」

ルミはドアを開け、ベッドに横たわってある女性に向かってそう言った。


「この声は、ゴホッゴホッ、ルミちゃんか。よく来たね。」

その声は少しガラガラ声で、しかもかなり痩せていることが分かる。さらに、咳も普通の風邪より大きい。


「きょうはブエルおじちゃんをつれてきたよ!」


「ゴホゴホ、ブエルおじちゃん?」


「ルミちゃんや、少し外で遊んでおいで。」

ブエルはそうルミに促した。


「うん!分かった!またねぇ!」

そう言うとルミは外に出ていった。


「儂の名前はブエル。主に頼まれて薬を持って来たゆじゃ。」

ブエルは薬を近くの小さな机に置いた。


「薬ですか?しかし、この病は時が経つほど治すのが難しくなる病です。私はもう2年はこの状態です。」


「ほっほっほ、そんな心配は無用じゃよ。我が主が作った回復薬(ポーション)じゃからのう。勿論、代金も要らん。ただの気まぐれじゃからのう。」


「……そういう事なら、遠慮なく頂きます。」

そう言うと、女性は少し机の上にある瓶を手探りで掴み、蓋を開け飲んだ。


「……え?」

女性は飲み終え気づいた。自分の目が見える様になっている事を。


「え、え、見える。地面が、壁が、天井が。」

そして、感極まり、ベッドに蹲り涙を流した。


「ありがとうございます!本当にありがとうございます!」

女性はブエルに何度も頭を下げた。


「ほっほっほ、礼ならばコーノ様に言うのじゃな。」


「コーノさん……。」


「それじゃあ儂はこれでのう。」

そう言うとブエルはその場から姿を消した。


「消えた……。」

女性はそのまま呆然とした。




「あれぇ、ブエルおじちゃんは?」

いくら待っても出て来ないブエルに辛抱し切れず、中へ入った。

とは言っても子供が待てる時間などたかがしてている、ルミが待ったのは5,6分ほどだ。


「ルミちゃん。ブエルおじちゃんなら、帰ったよ。」


「えぇーー!かえったの!」

女性がそう言うとルミは心底残念そうに言った。


「あれ?おばちゃん、たってだいじょうぶなの?それに、なんでめがあかいの?」

そんなルミの疑問に女性は微笑みながら、


「目が見える様になったから大丈夫なんだよ。」

と言った。


「え!ほんと!ほんとにめがみえるようになったの!?」

ルミは驚き女性を見上げ訊いた。


「えぇ、ほんとよ。ルミちゃんの可愛い顔も綺麗な金色の髪の毛もハッキリ見えるわよ。」

そう言うと女性はルミの頭を撫でた。


「私、可愛い?」


「えぇ、とても可愛いわよ。」


「えへへへへ。」

「あ、そうだ!みんなよんでくる!」

そう言うと、ルミは家を飛び出した。



女性の病気完治に村は2日連続の宴となった事を甲野は知らない。

さーて次回は〜「道中で発見 接触 協力受託で実力証明」でお送りしまーす!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ