第06話 「まちについた」
21年、加筆修正
――夜――
どうも、クロです。突然ですが、俺、今めっさピンチです。どうか、助けていただきたいのです。
「・・・む、そんなに頭を出すと誰かに気づかれるかもしれんじゃろう、もっと近う寄れ」
「い、いや・・・でも・・・」
やばいです。心臓がやばいです。師匠との修行の時も、蛇髪姫の群れを待ち伏せしたときもこんなに緊張しなかったというのに、今、心臓がやばいです。
「おっ、誰か来たぞ。・・・ふむ、これでパーティが5組目、平均レベルは10じゃな」
そう、町を見つけました。見つけたまではよかったものの、エミーが「レベル15程度で旅してるとか不自然じゃろ。この辺の平均レベルに再設定するぞ」とか言い出したので、隠れて旅人達を観察している、というわけです。
「私等は2人だし、平均より少し上のレベル12くらいに・・・む、どうした、クロ。聞いておるのか?」
やばい・・・そろそろ、俺の理性がヤバイ・・・獣としての本能が目覚めそうだ・・・。
「お、おい。大丈夫か?」
ムニッ
「うがー!」
「キャー!」
――朝――
「バカなのか、なぁ、貴様は本当にバカなのか!?」
「・・・すいません」
3戦くらいヤって、そのまま眠ってしまいました。警戒心とか、そういうの全然ない。
「というか、ヤって冷静になってみて思ったんだが、別に観察するにしてもこんなに離れる意味なくない?」
「そ、そうなのか!?」
ちなみに現在、我々は町の(恐らく)正門から1km程離れたところにある森の、さらに少し奥に入ったところにいます。
「これくらい離れていなければ、魔力探知などでばれると思っていたんだがなぁ・・・」
「いやいや、平均レベル10の旅人が入っていくような町に、そんな強力な魔力感知使える奴なんかいないでしょ」
ちなみに、自己ベストは30mがせいぜいだ。魔法は得意な方ではないとはいえ、勇者でさえ30mかそこらなのだ。
「そ、そうだったのか・・・私自身、常識に疎いとは思ってはいたのだが、まさかここまでとはな・・・はぁ」
「とりあえず中に入ろうぜ・・・腹が減って仕方がないんだ」
「そうだな・・・とりあえず、向かうことにするか」
そう!俺たちの世界放浪は、この町から始まるのだ・・・!
「はい、それでは冒険者証か招待状を提示してください」
始まりさえしなかった。まさか町の中にさえ入れないなんて。というか、冒険者証って何?
「すいません、私達、田舎の出なのですが、その『冒険者証』というのは何でしょうか」
おおっ、ナイスだエミー!そして、何だその口調は!一瞬誰かと思ったぞ!
「知らない・・・ということは、君たちは山のほうから来たのか。そりゃあご苦労だったな。よし、冒険者ギルドまでの案内人を呼んでやろう。そこで冒険者証を発行するといい。」
「あ、ありがとうございます!」
何故か話が通った。幸運値最底辺だが、今日はツいてるようだ。
しばらくして、案内人が来た。門番、案内人と共に人間なので、ここは人間界なのかもしれない。案内人曰く、このままギルドへ行き、冒険者登録をするそうだ。
「おっと、そういえば言い忘れていたな。ようこそ、『アンファングの町』へ!」
・・・安直な名前だなぁ。
ようやく他者と交流している描写が書ける・・・




