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2度目の人生はスーパーイージーモードで  作者: モロコの三枚おろし
第1章 始まりの町 アンファング
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第37話 「あとシマツ」


 ――ギルマスの部屋――



 ギルドに到着してすぐ、受付の人にギルドマスターの部屋まで行くよう指示された。理由を聞いたが、本人は知らないらしかった。


 ギルマスの部屋に入ってすぐ目についたのは、ギルド職員の正装で身を固めたセンラが、こちらに対して頭を下げている姿だった。


「本当に申し訳ない。私の力不足により、情報の隠蔽に関しての報酬は約束できない」

「何だとっ!」



 エミーを(なだ)めながら話を聞いたところ、俺がダンジョン内でぶっ放したあの魔法が原因らしい。そもそもこの町の経済は、ギルドやダンジョンに通う冒険者や、その人々の出費周りによって支えられているらしい。


 そして先日俺が使った龍域魔法には共通の特性として、()()()()()()()()()()()()()というものがある。魔法によっての無力化が困難なこと。そして、外的要因によって排除されない限り、いつまでも残存し続ける。



「つまり、あの大量の水が原因で、ダンジョンに国からの調査が入る可能性が高い。・・・ってことか?」

「そういうことになります」


 要は、こちらが勝手に経営難になって、国が勝手に調査に乗り出してくる、ということになるのだ。口ではどうとでも言えるが、金回りだけはどうしても誤魔化せない。



「クロよ。少し話をよいか?」

「ん、どした?」


 解決策を考える間もなく、エミーから呼ばれた。俺に声がかかったということは、確認したいことが何かある。とかだろうか。


「そうじゃな、ここでは何だし・・・。センラ殿。クロと部屋の外で、少しばかり話をさせてもらうが、よろしいな?」

「えっ?あっ・・・はい。どうぞ」


 何故か一瞬戸惑ったセンラを後目に、2人で部屋から出る。エミーの機嫌は、先ほどよりもずっとよくなっているようだ。よかった、よかった。



 ――ギルマスの部屋の外――



「ふむ、ここでよいじゃろう」

「ここでもいいのか?」


 ちょうど今、ドアを閉めたところである。ここだと話し声も聞こえそうな距離だし、本当に良いのだろうか。


「どうせすぐにばれるようなことじゃしな。こういうのは、格好が大切なんじゃよ」

「へー。・・・よく分かんねぇな」

「そ。よく分からんものじゃ」


 そこまで聞いて、廊下を見渡す。階段までの通路の間にはいくつか部屋があるが、聞き耳を立てているような気配は無い。まして、廊下には俺たち以外に誰もいないし、一階のほうは相変わらず騒がしいので、聞こえる筈がない。



「さて、本題に入ろうか」


 しょうもないことを考えていたら、エミーが話を切り出してきた。


「スクトゥムと対峙したあの時。クロは最大威力の()()()、奴を倒した。そうじゃったな?」

「そうだったが・・・それがどうした?」

「しかしあれほどの影響力のある魔法を、クロもスクトゥムの奴も使える筈がない。ここまでは合っておるか?」

「あー。やっぱり分かっちゃう?」

「どうせ、魔晶石か放魔岩あたりじゃろう」


 あの時は何とかなるだろの精神で使った魔道具だったが、流石にオーバーすぎたのだろう。魔法の本職であるエミーは、すぐに分かってしまったようだ。



「問題はそこではない。あれは龍域と召喚、どちらの第何位じゃ?」

「そこって重要なの?」

「今後の話の流れに関わる。一番重要じゃ」


 そんなに重要なのか、そこって・・・。


「えっと確か・・・龍域の5位だったはず」

「ほう、龍域のほうじゃったか。なるほどなるほど」


 エミーはそう言いながら、うんうんと頷いている。・・・少し機嫌がいい気がするのは何故だろう。



「よし、私のほうはもうよいが、クロのほうから何か聞きたいことはあるか?」


 そう言われたものの、別に今聞きたいようなことは特にない。その旨を伝え、そのまま部屋に戻った。



 ――ギルマスの部屋――



「さて。こちらの話は終わったぞ」

「あぁ、それはよかった」


 センラは先ほどから変わらず、ずっと椅子に座ったままだった。


「して、報酬のほうは別の物で代用する。ということでどうでしょう」


 これでセンラのほうの考えは、何となくだが分かった。情報規制のほうはやはり難しいのだろう。「俺は悪くないけど、一応こっちで我慢してね」みたいな流れにして、なあなあで済ませたいのだろう。


「いや、その必要はない」


 そう言ったのはもちろんエミーだ。ちなみにセンラは、呆気にとられたような顔をしている。俺のほうも似たような顔をしているだろう。


「要するに、あの水をどうにかすればよいのじゃろう?なに、そこは任せてもらおう。」


 そう言って、不敵な笑みを浮かべた。・・・なんか、あっちの方が主人公っぽいよね!

勇者(奴隷)ちゃんの台詞が全く出て来ないのは仕様です。人見知りと無口のレベルがMAXなのです。テンションが上がったり、人に慣れてくると勝手にしゃべりだします。もうしばらくお待ちください。

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