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2度目の人生はスーパーイージーモードで  作者: モロコの三枚おろし
第1章 始まりの町 アンファング
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第35話 「ゴハンとコセイ」

前回まで、全体を通して加筆修正しました。


「そういえば昼間だってのに、冒険者の数が多い気がするんだが・・・」


 食事処が昼間に込むのは仕方ないことなのだが、それにしたって冒険者の数が多い。これくらいの時間ならまだ、町の外に出て魔物を狩ったり、ダンジョンに潜って一攫千金を狙っていても、さほどおかしくはない時間の筈だ。


「あぁ、それじゃがな」



 何でも、ダンジョンの最深部から謎の湧き水が出てきて、ダンジョンが使い物にならなくなったのだとか。そのおかげで、ダンジョンに挑もうとしていた連中が暇を持て余して、町中をうろうろしたり、ギルド内や酒場などで時間を潰しているのだとか。


 それにしても謎の湧き水か。原因が想像もできないし、まさか「誰か(・・)」が「魔法で出した水(・・・・・・・)」だなんてこともないだろうし、不思議なこともあるんだなー。


 ・・・何故だか、エミーとスクトゥムからの視線が痛いのは気のせいだろう。多分、きっと・・・。



「ご注文の品を持ってきました~」

「貴方が救世主か」

「??」


 ちょうどいいタイミングで料理が運ばれてきた。恨めしそうな顔をしているエミーが目に見える。・・・自分は今、店員のほうを向いているおかげで見えないが。



「え、えっと・・・今更で悪いんだが、クラウスとスクトゥムってどんな種族なんだ?ほら、俺ってほとんどお前たちのこと知らないし」


 このまま行くと、魔王(エミー)から立て続けに攻め立てられる気がしたので、(少し無理がある気がするが)話題を替えることにした。実際この2人についてはほとんど何も知らなかったので、ちょうど良い機会だ。そういうことなのである。うんうん。


「ありゃ、そうだっけ?」


 クラウスはそのようなことを言い、頭を掻きながら、少し斜め上に視線を向ける。


「そういえば、自己紹介もまだでしたね。それでは、僕から」


 スクトゥムはそう言うと、少し頭を下げてからこう続けた。


「僕はスクトゥム。家名は無い、ただのスクトゥムです。職業は重戦士、種族は人族ということになっています」


 と、いうことになっている。つまり、そういうことではないのだろう。いやまあ、4本腕の人間なんていないし、そもそも自分のことを「人族(・・)」なんて呼ぶ人間は見たことが無い。



「次は俺っスね。名前はクラウス。でもこの名前は嫌いなんで、クリスって呼んで欲しいっス!」


 スクトゥムに続いて、彼女がそう名乗った。自分の名前が嫌いなのはともかく、どこかで聞いたことのあるような名前だった。


「えっと、職業は軽戦士っスね。一応、大体の武器の心得はあるんでよろしく。・・・あ、人族っス!」


 とって付けたような自己紹介だった。あと、元気はつらつだった。人懐っこそうな笑顔が眩しい。



 クリスの自己紹介が終わったところで、エミーがパンパン。と、手を叩いた。


「さて。詳しい自己紹介はまた後に、食事が終わってからでもよいじゃろう。せっかくの料理が冷めてしまうぞ?」

「あ、あ~・・・そういえばそうだったな。」


 すっかり忘れていたが、俺たちは食事をしに来たのだった。隣に視線をやると、アイナがもじもじしながらこちらを見上げていた。その行為の理由は、ずっと蚊帳の外だったからか。それとも、もっと別か。



「そ、それじゃあ自己紹介は置いといて。飯のほうをさっさと済ませるか」


 少し居たたまれない気持ちになりながらも、俺は目の前のサラダに手をかけた。



「それと先の件、私はまだ許してはいないのじゃからな?」


 エミーはそう言い、水を一口だけ含んだ後、ナイフとフォークを手に、バカみたいな大きさの魚の解体に取り掛かった。



 アイナのほうは、食事に手をつけていなかった。そういえば、奴隷は主人が食べ終わるまで云々かんぬん。みたいなことを、聞いたことがあるような気がした。それとなく促してみたら、物凄く驚いた顔をされた。



「・・・」


 スクトゥムは目を瞑りながら、少しの間だけ黙祷を行った。そして、黒パンをおかずに、白パンを食べ始めた。



「我が血となり、肉となる生命に感謝を。そして、我らが血となり、肉とならぬ幸運に欣幸(きんこう)を・・・」


 クリスは胸の前で手を合わせ、誰かに伝えるかのようにそう呟いた。食事の時は真面目になるんd「ひゃっほぅい、久方ぶりの肉だ~ッ!!」そうでもなかった。



 もう一度アイナのほうに目を向けると、こくこくとスープを飲んでいた。よかったよかった。

4年ぶりの投稿です。

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