第33話 「あたらしいナカマ」
話が全く進まな・・・最初からか
21年、加筆修正
――宿屋、自室――
「・・・と、そこでスーさんが一言!『俺がお前を一生守ってやるよ』と言い放ちました」
「そ、それでその後、お姫様は!?」
・・・なんか、知らない女性がうちの勇者に何かを吹き込んでいるんだが
「お姫様はこう言ったのです!『あぁ、それでも私は彼方と共に歩んではいけません!』と!」
「そ、それからそれから!?」
「・・・などと言っておるが、その辺はどうなんじゃ?スクトゥムよ」
「はぁ・・・恐らくあの話は僕が魔王様に仕えることになった時の誓いを、ところどころ改変したものでしょうね。彼女、ああいう話をするのが好きなので」
なんか、すごく苦労しる気がする。スクトゥムって・・・。
「クリス、僕の一人称は『僕』ですし、誓いを立てたのは魔王様ただ1人。さらに魔王様から授かったお言葉も全く違いますよ」
「げっ、スーさんてばもう帰ってきたんスか」
どうやら、この女性がクラウスさんのようだ。肩まである金髪をポニーテールにしており、紫色の瞳はどこか宝石のように見える。
「あっ、ユウシャさま・・・じゃなくて、クロさんおかえりなさい!」
こちらは現代の勇者様のアイナ。身バレなどを防ぐため、念のためにとエミーが外見を少しいじったらしいのだが、これまたどうして可愛いのだろうか。
透き通るような青い目は見つめているとこちらが吸い込まれそうにもなる程で、白い肌とライトブルーの長髪ストレートが眩しい。現在の服装が麻の服なのでぎりぎり一般人にも見えるが、これがドレスであったら皇族だと言われても分からない程であろう。
「ちょっとー、なんか俺との感想に違いがありすぎる気がするんですケドー?」
「奇遇だな、僕もそう思っていたところだ。」
「髪質と色しか手を加えていないんじゃがのう・・・」
「仲間達からの視線が痛い」
主にエミーからの視線が痛い。確か上位の吸血鬼って眼力だけで人を殺せるという噂があったが、この視線の痛さからすると、その噂は真実なのだろう。
「私、少しは魅力的になりましたか・・・?」
「やめろぉ、目をウルつかせながら上目遣いに首をかしげるのはやめろォ!」
頭を15度だけ傾けるその仕草はどこで覚えたんだかわいいな畜生!
「クロ、私という者がありながら・・・」
「ちゃうねん、これには海底神殿よりも深い事情が」
勇者と勇者と魔王が言い合いをしている最中、気配を消していたスクトゥムが、クラウスの近くまで近寄って耳打ちをする。
(クリス、1つ訪ねてもいいですか?)
(なんスか?スーさん)
(確か、エミリーさんはアイナさんに魅了系の魔法を掛けておりましたよね)
(そうッスね~)
(対象者は、掛けた本人の好意を寄せる異性でしたよね・・・)
(淫魔族とかが得意な奴ッスね~)
(・・・)(・・・)
「そうか、私よりもその娘がよいのであれば、私なども貴様にとってはもう不要なのだな」
「待ってくれ、違うんだ。頼むから待ってくれ」
「ユ・・・クロさんは私のこと、嫌いですか?」
「待て、とりあえず2人とも待て。話し合おう、話し合いは種族間を越えて理解しあえる手段だ。だからまだ待ってくれ、頼むから」
これらの光景を傍から見ていた2人は、全く同じ事を思っていた。
((そっとしておこう・・・))
補足コーナー
海底神殿は海洋系の魔物の巣食うダンジョン。深海9000mにあり、さらにそこから地下20階までダンジョンが続いています。ちなみにこの時代でもまだ現存している(設定)ので、どこかで行かせてみようかと思います
魅了系の魔法ですが、魔法を掛ける人が好意を寄せる人が、魔法を掛けられた物や人に好意を寄せてしまう魔法です。NTRやNTRSのシチュなどに使うそうです。




