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2度目の人生はスーパーイージーモードで  作者: モロコの三枚おろし
第1章 始まりの町 アンファング
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第31話 「フリョとケッチャク」

内容が浮かばないことよりもリアルの予定が狂うことのほうが恐ろしい。


21年、加筆修正


 ルールは簡単。互いに15m程離れ、レディーGOでスタート。1分以内に一撃当てればクロの勝ち。防ぎきればスクトゥムの勝ちというもの。補助魔法によるブーストはスタートしてからということ以外にはルールはない。



「レディー・・・「「GO!」」


 掛け声を合図に、2人が動き出す。


「第3位獣界魔法、防御(プロテクション)!「魔法なんていらねぇ、突撃だァ!」はぁ!?」


 補助系の魔法を固めてから攻めてくると予想していたスクトゥムの予想は見事に外れ、最初の心理戦はクロが一枚上手だったようだ。



「しかし、補助魔法なしで僕の鉄壁を破れるなんて思っていないだろうねっ!」

「当然だ!第1位霊界魔法、悪戯(トリック)!」

「むうっ!?」


 悪戯(トリック)は、好きな物同士を入れ替えることの出来る魔法だ。しかしその魔法の効果範囲がとても狭く、自分の体に触れている物同士でしか入れ替えることが出来ない。言ってしまえば、子供騙しにしか使えないような魔法である。しかし・・・。



「・・・消えた!?」


 眼前から消えたのである。先程の魔法にそんな効果はないはず、と困惑する。


「上だバカヤロウ!」

「馬鹿とは何だね馬鹿とは!」


 すぐに発見できた。確かに上にいたのである。しかし、わざわざばらしたと言うことは他に何かあるのだろう。あらゆる結果を想像し、思考し続けるスクトゥム。


「分かったぞ、後ろかっ!」

「いや、上だって」





 そんなやりとりをしていた中、クロの準備は終わる。


 クロはまず、一直線にスクトゥムへと向かって走っていった。そして、そのまま全力で跳躍したのだ。そして、天上に足を突き刺して、魔力を練りきるまで待機していた。



 装備していた安物のセスタス(1200G)と悪戯(トリック)で入れ替えたものは、とっておきのアイテム。


「これ、始めて使うから一発でいけるといいんだけど・・・」


 クロの右手に握られていたのは、細長い水色の宝石のようなもの。見た目はただの宝石のようだが、中身はとんでもない代物である。


「えっと、『使い方は簡単・・・魔力を込めれば、中に入っている魔法が誰でも何でも(・・・・・・)使えます。1発きりですが、再び魔法を込めれば何度でも使える、環境に優しいタイプです』って、環境に優しいって何だよ」


 ちなみに、左手にはマニュアルが握られている。傍から見たら、リモコンの操作方法に難儀している一般人だ。まぁ、ダンジョンの天上に両足をブッ刺している一般人がいるかどうかという話なのだが。



「分かったぞ、上と見せかけて左右から攻撃する気であろう!」

「いや、上だって」




 ――残り40秒――


「行くぞオラァ!」

「どこからでも来ぉい!」


 だから上だって。そう思いながら、マニュアルをポケットに無造作にしまう。そして、スクトゥム目掛けて突撃する。・・・予定だった。


「・・・って、足を深く突き刺しすぎて抜けねぇ」

「第4位獣界魔法、伸縮(エクステンド)!」


 魔法により、スクトゥムの盾の形状が攻撃を受け流すに最適な形へと変化していく。対するクロのほうは、足が抜けないで困っている。なんとも情けない勇者である。



「まぁいいや、このまま撃っちまえ」

「さぁ、いつでもいいぞぉ!」


 スクトゥムのほうも、準備が整った様子。それに対してクロのほうは、妥協案に出る。


「魔力を込めて、そのまま放つ・・・第5位、リューイキ?魔法・・・えっと、名前が確か・・・」「りゅ、龍域(・・)ィ!?」


 使用する魔法の恐ろしさにあまりピンと来ないクロと、裸足どころか全裸になってでもこの場から逃げ出したいスクトゥム。もう結果は見えているようなものだが、一応最後まで語らせてもらうことにする。




 ――残り20秒――


「あぁ、そうそう。激瀧(げきろう)ってうおぉぉぉぉぉぉ!MPが、MPがぁぁぁぁぁ!!」

「逃げろぉぉぉぉぉ!」


 宝石にMPがどんどん吸い取られていくクロ、その場からどんどん離れていく(いきたい)スクトゥム。互いが互いに最初に想定していた事態から遠ざかっていってしまっている。そして、決着の時。




 ――残り15秒――


「あぁ、意識が朦朧としてきた・・・」

「な、なんか僕まで吸い込まれていないかぁぁぁ!?」


 クロのMPが底を尽き、それと同時にスクトゥムからMPが吸われていく。ダンジョンの奥のほうへと逃げていこうにも、先程までの戦いにより落盤や落石、地面の沈下などが激しく、奥へ行こうにも思うように進めない。そんなことをしている間に、クロの宝石に魔力が溜まりきってしまった。




 ――残り10秒――


「・・・(気を失っている)」

「ああああああ、来たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 クロの握っていた宝石から莫大な魔力が放出され、とてつもない規模の魔法が繰り出された。


 第5位龍域魔法、激瀧(げきろう)の特性は、全てを押し流す水の力。点の力に相性のいいスクトゥムに対して面の力で対抗するという考えなら、クロの選択は正しかった。正しかったのだが、その他のほとんどは間違っていた。



「くそぉ、やってやrがぼぼぼぼぼぼぼ」


 当然、どれだけ守りが堅かろうと龍域レベルの魔法に耐えられるはずもなく、そのまま流されていく。ちなみに、「クロが一撃入れれば勝ち」という点で見れば今回はクロの勝ちである。が、この結果を知るものは誰もいなかった。




 そして、1分が経過。戦闘終了の合図が鳴る。・・・はずだったのだが、その魔宝具も共に流されてしまった。そしてその後、街のダンジョンから聖なる泉が湧いたという噂が広まるのだが、それはまた別のお話。

次回はタネ明かしでもしようかと・・・できたらいいなぁ

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