第23話 「ギルドマスター、ぜんら」
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21年、加筆修正
――ギルマスの部屋――
「・・・さて、話を始める前にまずは自己紹介をしようか」
「とりあえず服を着ろ変態」
目の前にいる男、ギルマスらしいのだが。登場してからずっと下着一丁なのだ。それを周りの人達はなんとも思っていないらしく、完全にスルーしている。もはやこれが正装なのだろうが、エミーやアイナ、そして俺にとっては目の毒でしかない。
「服を着ろ?・・・それは君オリジナルのかなりウケると思った洒落かい?だとしたら、それはかな~~~りスベっているようだが」
「クロよ、私はこいつが嫌いだ」
「同感」
「ま、待ちたまえ!分かった、分かったから攻撃態勢に移るのはやめてくれ!」
~10分後~
「コホン、それでは自己紹介だったかな?私はセンラ。一応、ここのギルマスを勤めているものだ。」
「名前まで全裸とは面白い、ここで嬲り殺しにしてくれようか」
「酷っ!?本名を名乗っただけなのに酷っ!!」
とりあえずこのままだと話が進まなさそうなので、代わりに俺が話を聞くことにした。エミーを説得するのに10分かかったのは秘密だ。
「えっと、俺がクロ、彼女がエミリーで、こちらがアイナです」
「よ、よろしくお願いします」
「ケッ」
「よ、よろしく・・・」
エミーの機嫌は直らなかったようだ。アイナの件もあり、今日はただでさえ機嫌がよくなかったのだ。当然といえば当然であろう。
「ご、ゴホン。さっそくだが取引を始めようか」
「ほう、私と取引とはいい度胸じゃないか」
(と、とりあえずお前は落ち着け!)ヒソヒソ
もうエミーのほうはダメかもしれない。一旦宿に置いてくるとか、そういう措置をしたほうがいい気もしてきた。
「・・・うんまぁ、君たちがタダ者ではないということは知っているからいつも通りに話してもらっても構わないよ?」
「なっ!?」
「!?」
「ふん、やはりな」
エミーは最初から分かっていたようだが、この件はこれまでひた隠し(?)にしてきたというのに、一体いつ気がつかれたのだ。
「や、やはりユウシャさまはタダ者ではなかったのですね!」
違う、今はそこじゃない。そして呼び方が戻ってるぞアイナよ。
「えっ、勇者なの?」
「はい、ユウシャさまは『勇者』様なんですよ!!」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「・・・えっ?」
部屋の中で、素っ頓狂な声を上げた大人が3人。期待の眼差しを向けていたが、思っていた返事とは違うものが飛んできて、困惑してしまった少女が1人。計4人の時間が、硬直してしまった。
「いや~、はっはっはっは。噂で聞いていただけで詳細は知らなかったんだよね~」
「などと供述しておりますが、どうしましょう姉さん」
「・・・」首切りモーション
「イエス、マム」
「まままま待ちたまえ!だから殺気を放つのはやめてくれ!」
ちょうど本気でこいつを始末しようかと悩んでいたその時、エミーがふと一言呟いた。
「・・・む?何者かが目覚めたな」
「エミー、今なんつった?」
そしてその直後、廊下からドタドタという足音が聞こえてきた。
「た、大変ですギルドマスター!!今まで音沙汰が何もなかったダンジョンマスターが、ついに目覚めるそうです!!」
「なんだと!?」
あぁ、今すぐ帰りたい。
ひっさしぶりにまともな戦闘シーンが書けそうです




