第14話 「もっとつよくなるニューゲーム?」
どんどん強くなっていきます
21年、加筆修正
「な、なんでレベルが・・・?」
確かに、表記上のレベルは『1』から『6』までレベルが上がっている。しかし、ステータスを見れば分かるように、俺のレベルは決して『1』なんかではなく、もちろん『6』でもなかった。故に、「レベルの表記がおかしくなっているだけ」だと思っていた。しかし、今回のレベルアップでそれは疑問に変わった。
「恐らく、本当に私達のレベルは『1』になっていたようじゃな。・・・しかも、ステータスは元のままで」
「嘘だろ・・・?」
「ともかく、これは他の者に知られると厄介じゃな・・・よいな、絶対に他の者たちに知られてはならぬぞ」
「お、おう・・・」
俺たち2人が勇者と魔王ということ以上に何が厄介なのだとは思ったが、エミーが言うのならばそうなのだろう。ここから先は、さらに慎重に立ち回らなければならないようだ・・・。
「・・・というか、そういえばなんで俺のレベルまで上がってるんだ?」
「阿呆か貴様。今の私達はパーティーとやらで経験値の共有をしておるのだぞ」
「あっ、そういえばそうだっけ」
この経験値の共有化というもの、原理はエミーも分かっていないようだが、魔物からの経験値を本当に共有できるらしい。一緒に行動している冒険者たちに聞く限りでは、有効範囲や制限も特にないらしい。
貴族や王族達はこれを利用して、お抱え騎士たちにダンジョンへ向かわせ、自分達は自室でくつろいだりして楽にレベルを稼いでいるそうだ。そういうことを聞くと、この時代の冒険者たちの平均レベルは案外高そうである。
そんなことを考えていたら、B8への階段が見えてきた。このまま、さっさとワープポイントのあるB5まで行って帰りたいものである。すっかり忘れていたのだが、昨日の夜から何も食べてないのである。・・・腹が減った。
この後、特に何もなくB6へと辿り着いた。途中の戦闘で、俺のレベルは10に上がった。エミーは今、何レベルなのだろうか。俺と同じか、それ以上なのは確かではある。
これ以上魔力が上がったらどうなるのだろうか。というか、カンストとかってあるのだろうか。などとしょうもないことを考えながら進んでいく。
いつ以来だろうか、レベルのことで考えるなんて。あの頃は、ほとんど強くなるための便利なもの程度にしか考えていなかった。再び、魔王と会うために。それだけを考えて死ぬ気で魔物を狩っていた時期もあった。人の身でここまで強かったものは知らないなどと、精霊王様にまで言われたほどに。それでも、まだ強く、強く、強く・・・。
「それでも、俺はお前に勝てそうにないんだよなぁ」
「ん、何か言ったか?」
「い、いや・・・」
おのれ・・・この、魔王め・・・
次回、ついにあの人が登場!(?)




