第11話 「ダンジョンへとむかう」
21年、加筆修正
「・・・で、冒険者証をゲットしたわけだが」
手元の冒険者証に目を落とす。見た目はそのまんま、鉄でできたドッグタグのようだ。しかしそれ以上に目を引くのは、そこに刻まれたランク表示である。なんと最低ランク・・・。 勇者、魔王とあろうものが・・・『F』ッ!!
「ま、特に功績とかもないし妥当だわな」
そういえば、特にテストなどもなかったのだが、受付の誰かが鑑定魔法でも使っていたのかもしれない。
「むう・・・Fか、この私が・・・Fか・・・」
「SSSどころかS以上の冒険者すら100人いないらしいし、適当なクエストでも受けてればすぐ追いつけるだろ」
冒険者証を受け取る際に聞いたのだが、SSSなんて現在3人しかいないらしい。剣と喋る英雄、魔物を殺さない獣人、誰も素顔を知らない魔人。しかもその3人とも現在は活動を休止しているらしい。世も末である。
「それよりも私は、魔族が生きていることに驚いておるわ・・・」
「・・・そうだな」
そう、そこなのだ。あの時の戦争の結末がどうなったのか知らない2人にとって、人族と魔族が現在どういう関係になっているのかを知らないが故に、どこか不安だったのだ。しかし、SSSの1人が魔族と聞いて、そこまで悪い関係ではなさそうであることを確信したのである。
「・・・ま、ともかく今は目先のことじゃな」
「そういやなんでこんな低レベルのダンジョンなんかに行きたいんだ?」
「そういえば理由までは言ってなかったのぅ。今から行くダンジョンは、元は炭鉱で、それを利用して集団墓地にし、さらにそのままダンジョンになった場所のようじゃ」
「それはさっき受付の人に聞いた」
その時はエミーは寝ていたように見えたが・・・。
「ダンジョンの主はいないらしいが、さすがに話のできる奴くらいはいるかと思うてな」
「話なんかして、どうするんだ?」
「分からぬのか?1000年前の骸骨とでも雑談するんじゃよ」
「1000年前・・・あっ」
エミーはやはり知りたいのだ。あの戦いの後、世界がどう動いたのかを。
「下層でもレベル20程度だと、会話できるほど知能のある魔物はいないと思うが・・・まぁダメ元じゃな」
「そうだったのか。・・・うん、そうだな」
「ちなみに理由ならもう1つあるぞ」
まだあるのか。
「私達が今、一番必要としている情報を得るためじゃな」
「ん?あの頃の話よりももっと重要な話か?」
「そうじゃ」
何だろう。人間と魔族が一緒になれる場所の情報でも聞きだすのだろうか。しかし、誰から・・・?
「・・・貴様の目を見る限り、考えは絶対にはずれておると断言できるぞ」
「何っ!?」
これ以上に必要な情報など、この世に存在するのだろうか。それくらいのことを考えていたのに、真正面から否定されてしまった。マジか。
「この性欲魔め・・・私達が一番必要な情報、それは『低レベル冒険者の戦い方』じゃ」
「ん?なんでそんなものを」
「この阿呆!たかがレベル15程度の男が勇者並の動きをしたらどうなる、周りから注目されまくってすぐ貴族や王族の耳に入ってしまうぞ!」
「あっ、そっかぁ」
それもそうだ。今、俺たちのレベルはともかく、ステータスは尋常じゃなく高いのだ。いくらステータスを偽装したところで、動きとして外に出てしまえば一瞬でばれてしまう。魔宝具による補助なしでも、下級の龍くらいなら殺せるのだ。
そのようなことが貴族、王族連中に知られてしまっては間違いなく面倒くさいことになる。エミーとその子供達に囲まれ、慎ましく暮らすなんてことは絶対にできないであろう。
「・・・おい、また目が獣になりかけておるぞ」
「おっとっと」
とりあえずダンジョンに行く理由を無理矢理こじつけてみました。こうでもしないとこの2人は新世界でも創造してしまいそうだから・・・。




