第10話 「ダンジョンのせつめい」
21年、加筆修正
勇者の朝は早い。彼の一日は、太陽が昇るよりも前に始まる。・・・しかし、それも例外はある。
「・・・ん?なんでもう夕方なんだ?」
「き、貴様が勝手に寝たからであろうが・・・」
今日は魔王のほうが朝は早かったようである。(それでも、昼頃に起きたらしい)
「さて、いきなりだが今日はギルドへと向かうぞ」
「本当にいきなりだな」
起きてからまだ約30秒である。
「いやなに、今日はこの町のダンジョンにいってみようと思ってな」
連れションしようぜ感覚で何を言っているんだこの女。一応の支度はもう済んではいるが、だからと言ってそんなテンションで言われるのも困る。
「・・・待て、俺はまだ何も腹に入れてない上にもうすぐ夕飯の時間だぞ。まさかそんなすぐに行けるような場所にあるわけないだろ」
「あったあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「やかましいぞ。目だったらどうする」
ありました。商業区で一番安い宿。つまり、俺たちが宿泊していた宿から徒歩5分、ダンジョンに到着。
「なんでも、この町はダンジョンの周りに商人が集まったのが始まりらしくてな。それが段々と大きくなって町になったそうだ」
「だからって・・・えぇ?・・・ここ、町の防壁の内側だぞ?」
「ちなみに、あの宿が一番安かったのは『冒険者向け』という建前で『ダンジョンから出てきた魔物に一番真っ先に狙われてもいい人用』だからだそうだ」
「俺、すでにあの頃が懐かしいよ・・・」
ちなみに、ダンジョン上層の魔物の平均レベルは、およそ10程度らしい。だからといって、こんな街中にダンジョンの入り口があるなんて、少なくとも1000年前では非常識であったはずである。・・・ただし一部の頭のおかしい国を除く。
――冒険者ギルド――
「ようこそ、こちら、ダンジョン『カタコンブ』受付になります」
やっぱり安直な名前だった。もう少し捻った名前にする努力をしたらそうなのだろうか。ちなみに、ダンジョンの入り口をちょっと見学した後、そのままギルドに来た。エミーは逸早くダンジョンに潜りたいようだ。そんなにか・・・。
「冒険者証がじきにできるはずです。ですので、それまではこの町のダンジョンについての特徴などを聞いておきたいと思いまして」
出た、エミーの外用口調。本当に誰だか分からなくなるからやめていただきたい。
「かしこまりました。それでは、私から簡単にご説明いたしましょう」
・・・まぁ、案の定どうでもいい話が多かった。こちらのレベルが14.5程度だから説明した、というような内容も多かった。元ではあるが、勇者と魔王の2人にとって有益な情報は、ほとんどなかった。
簡単にまとめると、上層、B1からB4が平均レベル10。中層、B6からB10が平均20、下層、B12からB14が平均25程度なのだそうだ。
そして、B5、B11にはワープポイントがあり、魔物の沸かない安全地帯、B15はダンジョンの主がいたと思わしき部屋があるだけなのだという。特筆するほど強い敵もおらず、ダンジョン初心者にとってはうってつけの実戦訓練用の場所なのだそうだ。
「・・・以上が『カタコンブ』についての説明です。何か、ご質問等ございますでしょうか」
「ありません、分かりやすいご説明をありがとうございました」
嘘つけ、途中から寝てたくせに・・・。
「そうですか。それでは、ご武運をお祈りしております」
それだけ聞いて、俺たちはダンジョン受付を後にした。
次の次辺りでようやく初戦闘になりそうです。こいついつもいつもry




