召喚と驚愕
※感想、評価乞食です!何とゾォ何卒評価を下さいませぇぇぇぇぇm(__)m
「ゲツヤ君、あれは一体……?」
「俺も分からない……。だが、何かが起こることには違いない……。」
ーーーあの魔法陣……途轍もない魔力が込められてる……恐らく、神撃級……いや、それ以上だ……。
ラルトの中央広場、そこの中心に設置された舞台の周りに人々がわんさかと集まってくる。
ゲツヤとレミーナ以外は皆、何が起こるのかを知っているのだろうか……誰もが興奮した表情で魔法陣を見守っている。
「静まれぇぇぇぇぇ!」
「皇帝陛下の御成だ!」
ざわつく市民を静まり帰らせたのは2人の衛兵らしき人物。
コバルトブルーの鎧で全身を包む彼らは長い槍を抱え、舞台への道を開く。
そして、誰もが平伏する……開かれた道の先から迫る少女に対して。
「いえいえ……皆さま、そんな畏まらなくても……。」
「いいえ、皇帝陛下!陛下の権威を示すのは責務です!」
「そ……うでしたね……。分かりました!」
何やら衛兵と少女が話しているようではあったが、その内容はゲツヤ以外には聞き取れなかった。
その皇帝と呼ばれた少女はゲツヤと歳は変わらないようであった。
背丈もゲツヤより少し低いくらいで、腰まで伸びた透き通るような薄い水色の髪が特徴的だ。
胸は大きすぎず、小さすぎず……整った顔に体つきをしている。
声音は川のせせらぎのように穏やかで美しい。
彼女を包む白とピンクで構成されたドレスは、シンプルなデザインでありそれが彼女の美しさを際立たせている。
見るもの全てを魅了する美しき少女、それが当代のテオドア帝国皇帝:アリス=デルピュネーである。
幼き少女にして皇帝の位を授かったアリスは当初、臣下の傀儡と化すと思われた。
だが、それとは全く異なる結果が待っていたのである。
彼女を傀儡として扱おうとした臣下は全員解任された……他ならぬアリスの手によって。
以後、彼女は政治的手腕を存分に振るい、傾いていた帝国財政を僅か即位2年で持ち直した。
それ以降、民衆からの彼女の支持率は相当なものとなっていた。
「それでは皆様、これより儀式を開始致します。魔法陣を中心に、平伏せよ!」
アリスの指示のもと、その場にいた国民は地に伏す。レミーナは咄嗟にそれに合わせて地面に伏せる。だが……
「ゲッ……ゲツヤ君!?何してるんですか!?」
「ん?何でみんな頭を下げてるんだ……?」
その場にいた人間全員の視線がゲツヤへと集まる。誰もが睨みつけ、衛兵に至っては槍を構える。
「無礼者!皇帝陛下の名だ、従わぬか!?」
「いやいい……貴様、殺されても文句は言うなよ?」
1人の衛兵が槍の矛先をゲツヤに向ける。陽の光を反射しギラギラと刃が光る。
「死んで陛下に詫びるが良い!」
一閃。
ブレなく放たれた槍は全てを貫く。
それほどまでに鍛え抜かれた技……だが、それがゲツヤを貫くことはなかった。
「な!?」
「ん……?何したんだ……おっさん?」
槍先はゲツヤの人差し指と親指に挟まれ動かない。
衛兵が腕にいくら力を込めようとビクともしない。
ただ、衛兵は兜の下で冷や汗をダラダラと流すばかりである。
「止めなさい!今すぐに、2人とも!」
ゲツヤと衛兵、その2人を止めたのは皇帝の一言であった。
衛兵は槍に込める力を解除し、所定の位置へと戻る。
だが、それでも民衆はゲツヤを睨みつけている。
「貴方は一体……そこの貴方!」
「俺のことか……?」
「ええ、そうです!何故に貴方は私の命に従わないのですか?」
「え、何で頭を下げなきゃならないんだ……?」
「やはり……貴方、名前は?」
「カゲミネ・ゲツヤだ。」
「ゲツヤ……変わったお名前ですね。一体どちらから?ここの方ではありませんね?後で話を伺わせてもらいます。ご同行を。」
「分かった……。」
民衆はおろか、衛兵そしてレミーナも状況についていけなかった。
そんなやりとりがゲツヤとアリスの間で交わされた。そして……そんな中、魔法陣が金色に輝きだした。
「ゲツヤ、話は後で。」
アリスはゲツヤにそう言うと、魔法陣の方を向き、腕を天空に掲げる。
「さあ来たれ!我等が世界を救う救世主よ!」
晴れ渡っていた空が雲……いや、闇に覆われる。
轟く雷鳴は事の異常さを物語っている。
そして……一つの稲妻が魔法陣へ……。
辺りが光に包まれ目を閉じる。
あまりの轟音に誰もが耳を塞ぐ。
目を開く。
少しずつ瞳に入る光。
そして告げるのは先程までの異常事態の終焉。
つい先程の闇空が嘘のように晴れ渡っている。
儀式の始まりと終わり、その二つの相違点はたったの一つ……魔法陣にあった。
闇空が晴れた後、魔法陣は跡形もなく消え、その代わりに1人の少年が呆然と立ち尽くしていた。
その場にいた誰もがその光景に驚いた。突如にして現れた少年。
一体いつの間に現れたのであろうか……。
事の顛末を知るアリスは微笑む。
そして、その微笑みをこの場で最も驚愕しているものに……カゲミネ・ゲツヤに送るのであった。
闇空や雷鳴など恐るるに足らず。
その後の少年にも驚くことはない……。
だが、何よりもゲツヤはその少年の見た目、服装に驚かされた。
(ああ、驚くさ。何せあの服……制服だ。そしてあの短い黒髪に顔立ち……。間違いない……俺と同郷だ。)
驚きのあまり呆然と立ち尽くすゲツヤとは裏腹に、街の人々は現れた少年の元へ駆け寄る。
すぐさまアリスはそれを制止させる。
「突然のことで驚くのも無理はありません。」
「あ……あんたは?」
「私はアリス……アリス=デルピュネーと申します。」
「僕は光陽……。天道光陽だ。」
短い黒髪、整った顔立ち、高めの身長、そして明るい物腰。
そんな彼、ミツヒの名を聞きゲツヤは確信を得る。
「それではミツヒさん、貴方とはお話ししたいことが沢山あります。混乱しているでしょうが……よろしいでしょうか?」
「うん……構わないよ!」
ミツヒはアリスに明るく返事をする。
困惑しているにもかかわらず。
それを確認したアリスはクルリと振り向く。
「貴方もご同行を……よろしくね!」
アリスはゲツヤにウインクをする。
そして、それと同時に衛兵2人に腕を掴まれ、ゲツヤは連れ去られるのであった。
かく言うゲツヤは別に反抗する気もなく……むしろアリスのウインクに少しドキッとしたくらいであった。
そんな彼の不安はこれから先に向かう場所……よりも、帰った後レミーナに殺されやしないかという不安であった。
アリスのウインク、それと同時に感じたレミーナからの殺気は並々ならぬものであった。
無論矛先はウインクにたじろいだゲツヤに向けてのものであった……訳ではなく、ゲツヤを連れ去るアリスに向けたものであったのだが、それにゲツヤが気づくことはなかった。
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ここはテオドア帝国の首都ラルトに建つエトナ城。
帝国主義を象徴するかのようなこの城は、ルナヒスタリカ王国のテミスト城のような美しい城ではなく、実戦重視の城である。
それ故に派手な装飾は施されておらず、堅固という言葉そのものの城である。
そんなエトナ城の部屋の一つ。
応接間にゲツヤ、アリス、そしてミツヒは通されていた。
「それではミツヒさん。改めて自己紹介の方をお願いします。」
「うん、僕は天道光陽。歳は16で高校生です。部活は弓道をやってました。あと……習い事で薙刀をちょっとだけ。」
「キュウドウそれにナギナタとは?」
「えっと……」
当たり前のことをどう説明していいのか分からずミツヒは黙り込む。
だが、沈黙は2秒として続かなかった。
「キュウドウは弓を使った的当てのことで、ナギナタは槍のようなもので行う模擬戦のようなやつだ……。」
「あっ……ありがとうございます!」
困るミツヒを見かねたゲツヤがすぐさま助け舟を出した。そしてその瞬間、アリスの目が細まった。
「ゲツヤ……そう言いましたね?貴方はミツヒさんと同郷……つまりは異世界の人間ではないですか?」
「……!?」
「ええ、普通の人には気づかれないでしょう。暴かれて驚くのも無理はありません。ですが、貴方が私の命に逆らえたことが何よりの証拠です。」
驚きと疑問がゲツヤの脳内を駆け巡る。
「この世界の人間ならば基本的に私……デルピュネー家の命に逆らうことは出来ません!まあ、その権能はどの王家も持つため領土内の人々に限られますがね。」
アリスは机の上に腕を置き、絡めた手を顎に当てる。
「それ故に逆らえるのは、犯罪者のような異常な思考回路の持ち主か……」
「異世界の人間ってことか……。」
ゲツヤの答えにアリスは静かに頷く。
「ミツヒさんは私たち、テオドア帝国が召喚した救世主です。ミツヒさん、この件についてはまた後で……。では、ゲツヤさんは一体誰に召喚されてこの地に来たのですか?」
ゲツヤは黙り込む、そして出した結論は
「分からない……。」
「分からないとは?」
「気がついたらここにいた。この世界に来ていたんだ……。」
応接間が暗く重い空気に包み込まれる。
「まあ、ゲツヤさんのことはともかく、何で僕はここに呼ばれたんですか?」
話題を変えようとミツヒが明るく話を振る。
「そう……ですね、ミツヒさんを召喚したのは他でもありません。我が国を来たるべき災いから救ってもらうためです。巫女の予言によると貴方がこの国を救う鍵になると。」
「え?僕にそんな力はないですよ……。」
「それは……嘘だな……。」
トボけるミツヒ、そんな彼にゲツヤは……異世界転移者として事実を知るゲツヤは声を出す。
「え……何で?」
「嘘をついているのか、自覚していないだけなのかは知らないが……俺から見ると天道光陽の魔素容量は通常の値を逸脱しているのがわかる。」
「ゲツヤさん、それはどういうことでしょうか?ミツヒさんもそうでしょうが、よく分かりません。」
「いや……一度模擬戦なり何なりした方が実感するはずだ……。」
ゲツヤが自覚したのもスラムであの男、ゾルダと戦ったときだ。
ミツヒも戦いになれば直ぐに力を発揮するはずだ。
ゲツヤの提案の元、一行は修練場へと向かうのであった。
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