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異世界転移は孤独な私を笑わせる  作者: 鈴谷 卓乃
Chapter1:感情無しの強者
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目覚めるとチート性能

 この世界に来て影峰 月夜はほぼ無感情ながらも多少は驚いていた。


 彼の記憶が正しければ校舎の屋上から飛び降りて死んだ、はずだった。


 目を覚ますと見慣れない風景が拡がっていることを疑問に思ったが、現にこうして生きているわけで、仮に死んだのなら地獄はこうも平穏ではなかろうと冷静に考察した。


  初めて見聞きする言葉、にも関わらずそれを理解することができる。


 その不可解な事実には流石に驚いたものの、結論は「困らなくて助かる」それだけで片付けた。


  街の人々の話を聞いたところ、ここは〈ルナヒスタリカ王国〉という国の首都である〈コルトニア〉という街であるそうだ。


  街中を甲冑を着た兵士が行進していることから、

文明的には元の世界でいう中世欧州の辺りであると判断した。


 文字が分かり冷静に対処できるからといって、仕事はおろか、やる事もやりたい事もない。


 ただ暇をつぶすためだけにコルトニアの街を散策していると、元の世界でいうチンピラどもが巣食っている路地裏の貧困街へと辿り着いた。


  街の裏の部分。


 今にも倒壊しそうな住宅が詰まっており、心なしか住民の目も荒んでいる。


 人通りはほとんどなく、ところどころに子供や老人が飢えて身を寄せ合っている。


 どこの世界だろうと外れ者はいる。


 そう思いながら歩いていると、見るからにこの貧困街の頭領らしき人物が姿を現した。


「てめぇ、どこの誰だ!?オレはこの貧困街のクソどもをまとめてるゾルダってもんだが、よそ者がここに何の用だ!?事と次第によっちゃタダじゃ帰らせねぇぞ!」


 ゾルダと名乗った少し太り気味の中年男性は月夜に敵意を向けていた。


  ゾルダは月夜の服装からある程度裕福な家庭の人間であると推測し、貧困街の住民からすれば喉から手が出るような大金を持っているのではと考えていた。


「嬢ちゃん、無事に帰りたきゃ有り金全部置いていきな!なに、別に取って食おうってわけじゃねぇんだ。俺らが飢えねぇように金だけ置いていけば許してやるよ。」


 月夜は元の世界同様にゾルダを自分に害をなす者と判断し、武力行使することを決意した。


 こちらを睨みつけてくるゾルダの細い目を月夜の大きく無表情な目が見つめた。


 ゾルダの一挙一動に注意を払って一撃で確実に仕留められるタイミングを見計らっていた。


 ゾルダはただ黙り込む月夜に苛立って飛びかかった。


 日々略奪で生活を賄ってきたゾルダの動きはただ高校生活を送ってきただけの月夜には捉えられず、一方的に月夜は殺される、はずであった。


 ゾルダが飛びかかってきたその瞬間、月夜の脳内にはこれまで見たことも聞いたこともないような情報が駆け巡っていた。


 剣術や槍術といった武器の取り扱い方、戦術や策略、さらには元の世界には存在すらしない魔法など、様々な知識が月夜の頭に突如として湧き出した。


 そして、そこから得た情報をもとに今の状況に対処すべく、その1つを月夜は使用してみることにした。


 火魔法フレーラ、それをゾルダに目がけて放とうとする。


  しかし月夜の反射速度では到底ゾルダに命中はおろか、放つ前に殺されてしまう。


 そう考えた月夜は全力でバックステップした……はずであった。


 月夜は軽く1メートルほど後退しようとしたが、実際は100メートルほど退がっていた。


 この身体能力の急激な上昇には月夜も多少驚いた。


 むろんゾルダも然りである。


風魔法ウインラで退がった……魔術師か。今まで魔術師を何人も殺してはきたが、こんな応用の仕方を見るのは初めてだ!」


 月夜の「ただのバックステップ」を見たゾルダは先ほどまでの油断をかき消し、警戒態勢に入った。


 ゾルダにとっての魔術師対策はスピードで撹乱し徐々に敵に近づき一撃で沈める、というこの世界での魔術師対策として一般的なものであった。


 ゾルダはその体からは想像もつかない機敏さで月夜の周りを走り回り、的を絞らせないよう少しずつ少しずつ近づこうとした。


 ゾルダは唯一使える魔法である身体強化魔法ブーストを使い自身のスピードを飛躍的に向上させていた。


  懐から刃渡り40センチほどの小刀を取り出し、一気に月夜の首を目がけて切りかかった。


 一瞬、彼らの周囲が緋色に染まった。


 まだ昼間だというのに夕焼けが沈むかのように。


 その緋色は一瞬の後、ただ1人の人物にだけに注がれた。


 緋色に包まれたゾルダは断末魔をあげている。


 彼の身体を覆う炎に焼かれ、悶絶する。


 彼は貧困街で生まれてから一度も戦闘で負けたことのない強者である盗賊であった。


 街からはある程度高額の懸賞金がかけられた賞金首であり、そのことを自分でも誇りに思っていた。


  一度は聖騎士をも退けたことがあり、自分の実力に絶対の自信を誇っていたにも関わらず日々の鍛錬を怠らず、互いに争う荒くれ者たちを統率し、貧困街の治安を少なからず良くしていた。


  それが善意であったのかどうかはゾルダを含め誰にも分からないが、ようやくある程度生きる道が安定してきた矢先に、どこの誰とも知れない少年に引導を渡されたのである。


「こんなところで死んでたまるかぁ!!!」


 彼の悲痛な叫びは声になることはなく、誰にも伝わらなかった。


 ゾルダのスピードは常人には追いつけない代物であった。


 彼の技は中級の聖騎士でようやく対応できるレベルには纏まっていたが、月夜からすれば子供が歩いているのとなんら大差なかった。


 歩いている子供にボールを当てるそれと変わりのない簡単な作業。


  月夜がゾルダ目がけて放った火球は見事に命中し、その命をたやすく奪った。


  そこに罪悪感は無くただ最初の緊張が無駄であったと思っていた。


 火が消える頃には辺りを異臭が包み、かろうじて焼け焦げた人の形をなした焦げが残っていただけであった。


 その後 、一連の攻防を目撃していた荒くれ者たちにより「黒髪の少年には気をつけろ」という噂が少しずつ広まっていった。


 そこから1年も経たないうちに月夜はコルトニアの裏の顔となっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  月夜はゾルダを殺めると同時に、自分の力に疑問を持った。


 決して元の世界で得たものでない知識や、それを実行できる身体能力。


 ゾルダを葬ってから数日後、それらを試すために街から少し離れた荒野へと向かった。


 浮遊魔法ウィールで宙に浮き風魔法ウインラで加速する飛行法を用いて、目的地の荒野に一瞬で辿り着いた。


 そこで日が沈むまで検証したところ、次のことが分かった。


火魔法フレーラ風魔法ウインラ氷魔法ブリーラ土魔法ガイーラ水魔法アクーラという基本5属性魔法と呼ばれる魔法。


 それぞれの魔法に強化があり、火魔法フレーラを例にすると中級火魔法マフレーラ上級火魔法ウルフレーラ究極火魔法アルティマフレーラ神撃火魔法メシアフレーラとなる。


 これがそれぞれの属性で全て神撃メシアまで使える。


 また、これら全てを同時に用いることでできる五属万能魔法ニュークラも使える。


 基本5属性以外にも闇魔法ヘルーラ光魔法ホリーラが使用可能。


 その他にも補助魔法がいくつも使える(例:浮遊魔法ウィール時魔法セーブループetc…)。


*2つの属性で上級ウルまで使えるレベルで王宮魔術師レベル


 また、この世界には一般的に4大魔法剣術というものがありその4つ全てを極めた状態にある。


 火剣流、氷剣流、水剣流、風剣流(*土魔法は剣術と相性が悪いとされている)。


 そして、これら全ての剣術奥義を合わせてできる極技・星竜一閃。


 という圧倒的なチート性能である。


 月夜は荒野での検証をもとに実用する際には、極力最小限に止めようと決めた。


 月夜の検証で平地とかした荒野を後に街へと戻っていった。


 サリアと出会ったのは月夜が異世界召喚されてから1年過ぎた頃であった。

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