夏休み side沙羅
お昼頃、一番暑い時に学校に来た。バカだ。もっと早く来ればよかった。一瞬見えたサッカー部は練習が終わってて帰る準備をしていた。沙羅は数学の補習の宿題を教えてもらうために学校に来た。だが、数学の先生が今日1日いないという。せっかく学校まできたから、図書室で勉強しよう…。
図書室でグラウンドが見える席に座った。が、グラウンドには人はいなくなっていた。
「よっ、沙羅。お前が夏休みに学校来るなんて珍しいな。」
後ろから幼なじみの涼の声がした。
「あ、涼。いやぁ、ちょっと補習みたいな……アハハ」
涼がここまで来るとは思ってなかった。
「お前バカだもんな。」
「ちょっと!涼は頭いいからってバカにしないでよ!あたしだってやれば出来るもん!」
あー、なんで素直に教えてって言えないんだろ…。ほんとバカだと思う。
「へぇー?出来るんだ、やってみろよ。」
涼は涼しい顔して本を読み始める。無意識に涼のことを見ていた。
………10分後。
「おい、沙羅、手止まってるけど?」
涼がニヤニヤしながら言う。
だって、涼の本読んでる姿が絵になっててかっこいいから…
「今考えてるの!」
「そーかそーか」
涼は引き続き本を読み始める。
……さらに10分後。
「沙羅、全く進んでねーぞ?」
「だって……わかんないんだもん」
「教えてくださいは?」
「うぅ…涼、教えて?」
やっぱり、早く素直に言っとけばよかった…。
「しょーがねーな。教えてやるよ。ただし、ちゃんと聞いてちゃんと覚えろよ。」
「うん!」
「……ここはこの公式を使って、こーやるの、わかった?」
「うん、うん、……ん?わかんない」
「だから――――――」
「あー!わかった!涼ありがと!」
涼の説明わかりやすい。あたしが分かるように噛み砕いて教えてくれる。
「はぁ、分かってなさすぎ。まぁ、今日はいつもよりは早い方だったから帰りにアイス奢ってやるよ。」
「ほんと!?やったぁ」
涼に呆れられたくないななんて思ってたけど、アイス奢ってくれるみたいだし、まっいっか。
「んじゃ、帰るぞ。」
「はーい」
2人は並んでアイスを食べながら帰る。
これでも2人はは付き合ってない。
今はあたしの片思い。