今世紀初の混沌
TUW運営会社、はじまり
生まれたから、生きている。
考えることが無くなった情報管理社会。日本も世界もそうなった。新世代の子供達は、大人とナノマシンによって教育された。
この世界の誰もが、自分の人生の生き方について真面目に考えようとはしなくなった。
不思議だ。どうしてそれで平気でいられる? アイデンティティは? 何故、混乱しない?
人間社会のあらゆるもの。文化、仕事、情報価値、倫理観、価値観、正義、愛、そしてお互いの触れ合い。過去を振り返り、未来を見据える最高の時代『二千年代突入期』でそれらが徐々に変化していった。人類はその時において過ちを犯した。現代は、ディストピアとなった。脳の中枢神経から得られる報酬系ドーパミンのみを搾取し続ける奇妙な時代。これがあるから助かった、もう考えなくていいや、と思考を放棄する機会が多くなった時代。
何を持って生きるとし、幾果ても無く続いてきた人間関係と愛の入り混じった人間社会という基盤を変えてしまったのか。
機械の役割は、バイオニクスの目的は? 人の身体、脳は、腕は、脚は?
結局の所、30年生きて問い続けても答えは出ない。たったそれだけでは足らないか。
でも、この世に力を示せるのは今しかないから。
自分の生きる世界で、幸福を感じられず絶望したまま終われないから。
自分に正直になれずに、いや、嘘をついて生きることに納得なんてできないから。
だから、手に入れた。
我々は自分達で、いや、幼い冒険者達と共にこの世界を変える。我々は自分達でその力を創り上げたのだから。