第八章 史朗との出会い
「お名前とか教えてもらってもいいですか」
「僕は山形史朗。山形県の山形、歴史の史に良いと月の朗。史はお父さんから一字もらった。朗はほがらかって意味だよ」
そう言って史朗は笑った。
「あたしは華那。名前の意味はわかんないけど、生みのお母さんが有華だったから多分お母さんから一字もらったのかも」
「生みのお母さんってことはもしかして継子?」
「継子って言うのかなぁ。あたしは養女」
「高校生?」
「いやだ、まだ中二だよ」
華那と史朗は歩きながら名前を確かめ合った。二人はCDショップから少し歩いた所のスタバに入った。
「何がいい?」
「チョコレート プレッツェル モカ」
「僕はカプチーノ」
代金は史朗が払ってくれた。史朗はやせ形で爽やかなイメージの青年だった。
「お休みの日は何してるの」
「大抵図書館かな。公園を散歩することもあるよ」
「友達はいないの」
「いるよ。でも図書館とか本屋は一人がいいよ。仲良しの子はうちに遊びに来てもらったり、あたしたちがお邪魔することもあるよ」
「お兄さん……あっ、シロウさんと呼んでもいいよね。シロウさんはお友達いっぱいいるの?」
「付き合ってるのは四人か五人だな」
「女性って言うか彼女、いるんでしょ」
華那が一番聞きたいところだ。
「女のお友達はいるけど、恋人はいまのところいないよ。マジでいないよ」
ウソを言ってるようには思えなかった。
「今度僕のところに遊びにこない? 一人で嫌だったらお友達を連れてきてもいいよ」
「じゃ、お友達を誘ってく」
こうして華那と史朗は親しくなった。
「一つ聞いてもいい?」
「何?」
「シロウさんは大学生でしょ? どこに行ってるの」
「K大だよ」
「すごっ、頭いいんだね。今何年生?」
「それほどでもないよ。一年だよ。入ったばっか」
時計を見ると八時半を回っていた。
「そろそろ帰らなくちゃ」
「携帯持ってる?」
「まだ持ってない」
「今時の中学生じゃ珍しくない?」
「珍しいかも。お友達は全員持ってる。連絡は家の電話でいいよ」
史朗と別れて家路を急ぐ華那は何となく気分が良かった。男性とこんな話をするのは初めてだったからだ。中学では男子生徒と話すことは殆どなかった。華那は少し年上の男性の方が自分には合ってると感じた。