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華那……たった十円の奇跡  作者: 梓理(あずおさ)
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第七章 娘の行動

 咲恵は小学校の時から学校が終わると友達と集まってお喋りしたり、家でテレビを見ていることが多かった。完全学校週五日制になって土曜日と日曜日は殆ど遊んで過ごした。お休みの日には友達と街に出て街中をぶらぶらしたり、たまに揃ってディズニーランドに出かけたりもした。中学校に進んでも高校に進んでも同じパターンだ。咲恵は私立の高校に進んだから土曜日は補習の授業がありお休みではなかったが、時々授業をサボって遊び回った。毎月母からもらうお小遣いは少なかったが、特に不自由は感じていなかった。


 華那は違った。小学校の高学年になってから、学校から帰ると直ぐに宿題を済ませて街に出た。街に出ると本屋で立ち読みをしたり、CDショップに立ち寄って好きなアーチストの曲を試聴して過ごした。試聴は無料で音質も良く、お金を使わないで充分に楽しめた。

 華那はCDのケースを見るのが好きだった。アーチストの顔写真があったり、イラストレーターが魅力的なデザインをしたものを見るだけでもわくわくした。

 DVDのレンタル屋さんに行くと、色々なジャンルのビデオが並んでいる。借りるとお金がかかるので、華那はボックスに印刷されたストーリーの解説文を読んだ。解説文を読むだけでもどんな内容かが分かり結構楽しかった。中には十五禁とか十八禁と印刷されたものがあるが、ボックスの印刷を見るだけでは咎められることはないので、そんなものも興味深く見た。

 お昼休みには学校の図書室に行って色々な本を見た。小学校の頃はアンデルセンとかグリムなどの童話の他に日本の昔話を良く読んだし、偉人伝や歴史書、図鑑も好きだった。学習参考書は借りてきて自宅で就寝前に読んだ。

 夕食後街に出ると、時々町の図書館に通った。図書館には学校には置いてない大人の読み物が揃っていた。中学生になると、図書館で英文の恋愛小説を借りてきて辞書を片手に読んだりもしたし、数学の本も大好きだった。特に数学ガールシリーズ、人生を変える数学そして音楽、とんでもなく役に立つ数学などはお気に入りの本だった。


 ある日いつものようにCDショップで試聴をしていると、

「時々会うね。JPOPを聞くことが多いの」

 と見知らぬ青年に声をかけられた。

「どれって決めないで色々なのを聞くよ」

「例えば?」

「クラシックとかジャズなんかも」

「ふーん。おませなんだ。演歌なんかも聞くの」

 青年は見たところ学生みたいだ。

「演歌は聞かないよ。フォークは聞くけど」

「今日、これから予定ある?」

「特にないよ。でも九時までには家に帰らなきゃダメなの」

「じゃ、ちょっとだけお茶しない」

 華那は青年の後を追ってショップを出た。

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