第二十二章 神待ち
咲恵は友達から噂を聞いて友達のアイパッドを使わせてもらって神待ちと言うサイトを開いてみた。開いてみてびっくりした。そこには家出少女が一杯書き込みをしている。
「家出した女の子ってこんなにいるの?」
「バカねぇ。ネットなんていい加減だよ。ほら、ここに家出してみたけどお金はないし行くとこないから誰か泊めてなんてヒロコって名前の女の子が書き込みしてるでしょ」
「ん。なんか可哀想」
「でもさ、これって本当かなぁなんて疑って読んで見る必要もあるよ。あたしが聞いた話じゃ、アルバイトで書き込みしてる男の子がいっぱいいるんだって。なので、ヒロコなんて子は実際には存在してなくて、男性がこの子にメールを送ったら、援交サイトに誘われて結局別の女の子と援交する仕組みになってるんだってよ」
「そっかぁ、でも中にはリアル家出の子もいるよね」
「そりゃいるわよ。最近家出してもお金や泊まるとこに困らない子って結構いるらしいよ」
「神待ちの神様って何のこと?」
「あたしが聞いた話では家出した女の子にお小遣いをくれてホテルとかに泊めてくれる男の人、つまりぃ、家出した女の子から見れば自分を救ってくれる神様みたいな存在だからさぁ、そう言う男の人を神様って言うらしいよ」
「そうなんだ。それで神待ちしてる女の子ってわけか」
「咲恵、あなた本当に書き込みするの?」
「あたしの書き込みにどんな人から返事の書き込みが来るか、なんかドキドキしない?」
「そりゃ、ドキドキするよ。超刺激的だよ」
咲恵はお友達と一緒に書き込みの文を作って送信してみた。
しばらくすると、どんどんと書き込みが届いてあっと言う間に百件を超えてしまった。
「すごぉーいっ。こんなに大勢の人からレスが書き込まれてるよ。誰か選んで返事を書き込んでみようか?」
「ちょっと待ちなさいよ。あなたこの前先生と援交やって警察に捕まったんじゃないの? 今度捕まったらタダじゃ帰してもらえないよ」
「そうだけどぉ、あたし最近なんか寂しくてさぁ、少しお金を持ってる彼氏が欲しいんだ。美味しいもの食べたり、お洋服買ってもらったり」
「でもさ、こんなサイトって怖いこともあるよ。エッチ目的でさ、お金を払えば何をしてもいいって考えてる男の人、多いんだってよ。あたしが知ってる女の子、悪い男と関係して身体も心もすごく傷ついて今は男嫌いになっちゃったんだって」
「怖っ」
「でしょ。咲恵、良く考えてからレスを書き込んだ方がいいよ」
それでも咲恵は諦め切れず、沢山のレス書き込みの中からこの人と思われる人に返事の書き込みをして送信した。
間もなく返事が届いた。
[家出して困ってるんだって? 僕で良かったら会ってみない? 僕は今二十七歳、独身の会社員です]
咲恵は友達と顔を見合わせてから、
[どこに行けばいいの?]
と書き込んで送信した。
「あたし、なんかドキドキするぅ」
咲恵の顔は紅潮していた。




