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エピローグ「その名は希望を求めて」

暗い闇の中に、過去を見る。

痛々しい記憶の断片。


いつもの事だ。力を使ったときにはいつでも…



幼い頃の悪夢を見る。




小さな部屋で、女性が…フレッドの母親が微笑んでいた。

「私を許して。あなたを産んでしまったのは私のエゴだけど…」


「母様、俺は大丈夫ですよ。この力のこと、気にしてはいないから…」


そう言ったフレッドの頭を、母は優しく撫でたのだった。



場面が白く霞む。



「許せ、お前を生かしていた私を。…愛する我が子よ…!」


父が、剣を構えていた。切先には幼いフレッドが居る。

フレッドの顔は恐怖に歪んでいた。

「あなた、やめて!この子は…!」


母が、父と母の間に割って入った。



再び場面が霞む。



「母様!」


「駄目よ…力を…使っては…」


息も絶え絶えな母の姿。母の手を握り、泣きじゃくるフレッド。

母の体からは血が流れていた。

フレッドの瞳が、金色に光る…



────…




ごちん。

「ッたァッ!」


飛び起きた拍子に、何かに頭をぶつけた。

あまりの痛みに、額を押さえてベッドに突っ伏す。

しかし、ふと気が付いて横に目をやると、パールレインが顔全体を手で覆ってうずくまっているのに気付いた。

「…どうした?パール。泣いてるのか…?」


心配になって手を差し伸べようとしたその時。


ズドッ、とパールレインの拳が、フレッドの鳩尾にめり込んだ。グーである。

突然の衝撃に呻き、痛いやら気持ち悪いやら呼吸は苦しいやらでベッドの上で悶絶する。

「いき…なり…何…するん…だよ…!」


咳込みながらも何とか言いきった。

「アンタねぇ…!一度ならず二度までも、頭突きかますなんてどういう了見よ!人が折角心配してあげてるのに!」


パールレインの額が赤くなっている。しかも涙目だ。相当痛かったのだろう。

「心配…してくれる…のは…有り難いが…鳩尾はやり…すぎ…」


「ふん!当然の報いよ!」


かなりご立腹の様だ。当然といえば当然なんだけど。

「全く!一週間も眠りっぱなしだったから心配したけど、次からもう看病だってしてあげないから!」


最後に馬鹿!と付け加えてから部屋を去ろうとするパールレインを、今だ苦しんでいるフレッドは出来る限り笑顔で見送った。

上手くいかずにひきつった笑顔になってしまったけれど。

「…すまなかったな、もうちょっと俺がしっかりしてればな。」


「そうよ、馬鹿。ヘボ軍師。」


がっくりとうなだれるフレッド。

「あのなぁ、もうちょっと言い方ってもんが有るんじゃないか?そりゃ確かに俺が未熟なせいでお前を心配させたかもわからんが、率直に急所をえぐるような発言もどうかと思うぞ?」


「アンタ今、自分で認めたでしょ。」


言い終わらないうちに切り返され、また肩を落とした。かなり怒ったか。

「そりゃ、まぁ、そうだけ…」



ぐぎゅるるる…


今度は腹の虫がフレッドの言葉を切った。

考えてもみれば、一週間何も食べてないのだ。当然、腹はからっぽ。またうなだれるフレッド。

「…全くもう。」


パールレインがクスッと小さく笑った。

「早いところ、食堂に来なさい。みんなそこに居るわ。」


そう言って、部屋を出て行った。ドアが静かに閉められる。



───…



「みんな、よくやってくれた。」


「何をエラソーに。」


食卓についたフレッドが言うと同時に、フィオがツッコんだ。

「巧くいったのは、みんなのお陰だよホント。感謝してる。」


にっこりと笑う。子供の様な、あの無邪気な笑みを。

「でも、もうこの街には居られないね。」


カムイがフィオにスパゲティを送りながら言う。

それから声を少し落として続けた。

「ボク等は暗殺者を相手にしてしまった訳だし、居づらくなると思う。」


暗殺者は金で雇われる者達とは言え、組織だった連中だ。報復する所も少なくない。

「…だが、元より此処に…留まる理由は無い。」


グラットンの言葉にフレッドが頷いた。コリンが身を乗り出して続く。

「うん、他の街にも行ってみたい!」


彼女は観光気分の様ではあるけれど。

「明日にはここを発つ。それで良いだろ?」


「良いけど…馬車はどうするの?」


フレッドが固まった。

「今回の仕事は、報酬も何も無いわよね。ここの宿代、食事代、馬車の手配…どうするつもりかしら?軍師さん。」


言いながらまた笑うパールレイン。

軍資金はもはや底を突きかけているというのに。


「…すまん、勘弁してくれ。」



フレッドがテーブルに頭を擦りつけている姿に、一同は一斉に笑った。





フレッド達は、一つの街に留まれない。

皆力を持つ異形であるから。

街の者にばれれば、その時点で追い出されるか、もしくは処刑となるだろう。



しかし、それ以外にも理由は有る。



異形は悪、と決めつけられたこの世界を少しずつでも変え、いつか自分が生まれ育った故郷へと帰るために。

化け物と呼ばれる理由がどこにある。

良い奴もいれば悪い奴も居る。それは普通の人間と変わりない。


だから、フレッド達は世界を回る。各地を回っていくのだ。




そして、フレッド・コマンドチーフ…

その名も、また。



大きすぎる力は、期せずして破壊を産み、恐怖を産むものだ。

しかし、彼はその力を禁忌とした。


彼の過去、そして今までの体験と悔やみ、大きな悲しみ…

それらを払拭する為に。


『希望もたらす軍師』…それこそが、彼が自分に付けた名前。

その名に恥じぬよう、力を使わず──恐怖を産まず、皆を救えるものになろうと。



彼にとって大切なものを守る為にも…

完結ですが、未熟です、はい。ごめんなさい(誰に謝ってる)色々「穴」を残しておくのが好きなので、いろんな詳細は省いてました。皆様に行間を読んでほしい…早い話が、色々と想像、妄想してほしいってのが有りまして(^_^;)ホントですよ?(笑)それと、この小説には一つ、テーマみたいなものが有ります。巧く表現出来てればなって思いましたが、どうなんでしょ。まぁ、テーマは皆様のご想像にお任せします(^_^)最後に、続きが読みたいなんて物好きな方がいらっしゃいましたらば、検討してみる方向で(ォィ)まぁ、もうちょっと文章力磨いて出直してきますので(´∀`)お付き合いいただき、ありがとうございました(^_^)

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