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5.結構です、私は神の道を行きます

聖女が新しい旅立ちに向かいます。

 聖女リュシアが、王都を離れると決めたのは、春の終わりだった。


 神殿での役割を果たし、次に向かうべき場所──

 それは、神託により示された「北の大地」だった。魔物が棲み、信仰が失われつつある未開の地。

 神はそこに、再び“光”を届けよと告げたのだ。


 「そんな場所へ、たった一人で向かわれるのですか?」


 エウリナが心配そうに眉をひそめる。


 「一人じゃないわ。神が共にいてくださるから」

 リュシアは、柔らかく笑った。


 出立の日、神殿の階段には民が溢れかえった。

 彼女の旅立ちを見送ろうと、国中から集まったのだ。


 白銀の神衣に身を包み、リュシアは静かに彼らの前に立つ。


 「皆さん、ありがとう。わたしはこれから、神の導きに従って旅に出ます。けれど、心配しないでください。神はどこにでもいます。祈る心があれば、皆さんのそばに光は届きます」


 老女がすすり泣き、子どもが手を振り、兵士たちが敬礼する中──

 リュシアは、ゆっくりと振り返った。


 高台に建つ王宮の尖塔が、遠くに見える。


 そこにはもう、アルフォンスもマティルダもいない。

 彼らの名前は、王宮の記録からも削除され、存在そのものが“なかったこと”になっていた。


 リュシアは、最後にその方向へ目を向け、小さく呟いた。


 「婚約破棄? ……けっこうです」


 風が彼女の髪を撫で、白いマントが舞い上がる。


 「私は神の道を行きます」


 そして、彼女は背を向けて歩き出した。

 神の祝福をまとい、聖なる使命を携えて──


 終わったのだ。

 だが、それは復讐ではなく、世界を変える序章だった。


 新たな聖女の時代が、静かに幕を開ける。

ざまぁが足りないのでアルフォンスとマティルダの最期を追加します!

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