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第65章:『受験数学』に関する、ぼく個人の考察(の最終章)

 ・・・皆さんもよくご存じのように、


 将棋の世界には、


 『定跡じょうせき』というものがあります。


 ちょっと引用してみますね。


 「将棋における定跡とは、最善とされる決まった手順での指し方のことを言います。

 定跡を知っているか知っていないかはその人の強さを表す一種のバロメーターです。」


 高校数学にも、この『定跡じょうせき』にあたるものがあって、


 一般的にそれらは、


 『解法パターン』などと呼ばれます。


 つまりね、


 「知らなきゃ解けない」ってヤツですよ。


 高校数学っていうのはね、


 和田秀樹先生がおっしゃるように、ある意味、


 『暗記数学』なんです。


 わんこら式数学の畠田はたけだ先生のおっしゃるように、


 『問題ごとに解き方を覚えていかなくてはならないもの』なんです。


 日本史や世界史なんかとは「暗記の意味合い」はちがうものの・・・


 『暗記数学である』ということは、まちがいありません。


 なぜか?


 ちょっと傲慢ごうまんな物言いにはなりますが・・・


 中学では校内1位だった、秀才のぼくが解けなかったからですよ。

 

 いくら考えたって、頭をひねったって、


 まるで「歯が立たなかったから」です。


 ・・・なぜ、通用しなかったのか?


 簡単ですよ。


 『定跡じょうせき』を知らなかったから。


 『解法パターン』を知らなかったから。


 ・・・高校生当時のぼくはね、


 数学は「考えるもの」だと思い込んでいました。


 『公式』と『定理』を覚えたら、


 あとは「自力で」考える学問なんだ、と。

 

 ・・・『チャート式数学』という参考書があります。


 皆さんも知っての通り、ここには、


 その『解法パターン』が満載です。


 ここから「考え方」なり、「ある程度の流れ」を吸収して受験に臨む・・・


 コレが、王道であり、


 常識といえましょう。


 でもね、


 その当時はまだ、こうした、


 『暗記数学』なんて考えは、世に広まってはいなかったんですよ。


 宇高うたか灘高なだこう開成高校かいせいこうこうなんかの名門なら、その当時でも、


 とっくに「常識」だったとは思いますが。


 ・・・だが、ぼくの母校の矢板東高等学校ではそうじゃなかった。


 それをここでは述べたいと思います。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 ・・・皆さんは、


 『なおし』ってご存じですか?


 いや、知ってるはずはありませんよね。


 だって・・・


 数学の恩師、藤田先生が勝手に命名したんだから(笑)。


 ちなみにこれは、


 九州の多賀塾塾長の多賀Tの在籍していた自称進学校では、


 『訂正ていせい』などと呼ばれていたそうな。


 ぼくの学校では、


 藤田先生が、『黄色チャート』の例題の数値を変えて、


 毎週のように、放課後にテストをやって、


 間違った部分を『直し』して、全問正解になった生徒から順に帰宅できる・・・という『補講ほこう:補習授業』をやってました。


 ぼく以外の生徒はみな、


 なぜかスラスラ解いて、どんどん先に帰宅していきます。


 ・・・いつも最後に残っていたのは、


 ほかならぬぼく、でした。


 「あれ? まだ残ってたの??」


 「君は・・・そうだな。『最後の戦士』ってところじゃないか。はははは!」


 くやしかったですよ。


 藤田先生にからかわれながらも、


 手も足も出ない自分が。


 ・・・なんで、こうなったと思いますか?


 中学では「秀才だった」はずのぼくが。


 どうして、鼻にもかけなかった連中に、どんどん追い越されてしまったのか。


 『解法パターン』を知らなかったから。


 自力で解こうとしていたから。


 ・・・さぁ、皆さん。


 ここが重要。


 およそ「高校以降の数学」っていうのはね、


 将棋で言う『定跡じょうせき』を知らないと、手も足も出ないものなんですよ。


 チャート式数学シリーズは、まさに『定跡じょうせき』の宝庫。


 ・・・何十年、何百年、何千年と、


 天才数学者たちが見つけ、


 磨き、


 整備してきた・・・


 いうなれば、『人類の英知えいちの結晶』なんです。


 それをね、


 たかだか17歳くらいの日本人の少年あたりが、


 何も知らない状態で、「発見」し、


 思いつけるわけがない!!


 ・・・藤田先生は、ただ笑って見ているだけでした。


 苦しむぼくをね。


 『解法パターン』を知らないぼくを。


 ぼくがもってきた答案用紙を見て、彼はこういいました。


 「・・・栗原は、いつも変わった解き方してくるね。」


 「斬新・・・斬新すぎるよ。」


 感心している場合じゃないですよ、藤田先生。


 だったらなぜ、


 「このバカが! いつまでもがいてるんだ。周りのみんなをよく見てみろ。さっさと解いて帰ってるじゃないか。自力で考えるのが『高校数学』じゃねえんだぞ!!」


 「俺はな、チャートの例題の数値をいじって、このプリントを出題してるんだ。だから、例題を参考にすれば、すぐ直せる答案だろうが!! はやく直して帰れ!!!」


 と、ひとこと叱ってくれなかったのだろう?


 ぼくならこうアドバイスしますね。


 ・・・ぼくのような『石頭いしあたまの生徒』には。


 「いいか、栗原君。数学っていう学問はだな、たしかに『思考の学問』だよ。

 でもなぁ・・・考えてもみろ。

 うちらみたいな凡人がだな、天才数学者みたいに、『ひらめく』と思うかね?

 どだい、無理なハナシじゃないか。だったら彼らが遺してくれた『おおいなる遺産』を、ぼくらが素直に引き継いでやろうじゃないか。

 『解法パターン』・・・つまり、『いろいろな解き方』をね。

 ほら、将棋の世界にだって『定跡』っていうものがあるだろう?

 具体例を挙げれば、そうだなぁ・・・こんな感じか。

 最初の1手目は・・・『飛車前のを突く』か『かくの右上の歩を突く』しかない。それ以外は、おおむね、『悪手あくしゅ』・・・『悪い手』なんだ。

 どんどん『解法パターン』を学んで自分のものとし、そして計算部分だけは、自分の手でやりなさい。日々、計算の訓練は別個で取り組むこと。

 ・・・いいね。それで、万事、OK牧場ッ❤」


 追伸:


 ぼくが大量に、


 おなじような数学の参考書を買いあさる理由・目的は明白です。


 「・・・なるべく多くの『解法パターン』なり『考え方』を、武器としていただき、吸収して自分のものとし・・・東大の数学の二次試験に備える。」


 追伸その2:


 ぼく個人の未熟な意見なんですが・・・


 こんな考えでいます。


 「考えるのは、相当、『解法パターンのストック』がたまってからでもいい。」


 「考えるといっても、しょせんは、『はて、ここではどの解法パターンを使おうかなぁ・・・』なんだから、気にせず、どんどん解答・解説を読んで勉強しなさい。」


 「うんうんとうなって考えてる時間がもったいない。そんなヒマがあったら、ひとつでも多くの『定跡』を暗記せよ。苦痛に顔をゆがめてる場合じゃないぞ。楽しく、システマチックにやりたまえよ❤」

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