第9話 本格始動?
学習発表会も終わり、パソコン部も本格的に活動する。そう思っていたけど、よく考えたら自分の家のパソコンはあるけど、部活用のパソコンはなかった。
と言うわけで、対策会議である。部室にないパソコンをどうするか。部員5人集まって、話を始めた。
「部の予算はどうなっているのですの」
川野が聞いてきた。
「いや。あまりないです。パソコンの備品とかを買うのが精一杯です」
私は、やっぱり聞いてきたかと思った。
この後もいろいろ話していたが、あまり進まずなかったが、音谷がこう言ってきた。
「例えば、古くて使ってないパソコンがどこかにあるかもしれない。生徒や先生の家に眠っているとか」
まあ、無い物は貰うしかないよね。と言うことで、使ってないパソコンがありませんか的なビラを作って、校内で配ることにした。
早速ビラを作り、許可をもらいに生徒会へ持っていった。
普通は許可をもらってから、ビラを作るのかもしれないけど、いきなり現物を見せたほうが拒否しづらいだろうということで、先に作った。
私は大量のビラを両手で持って、生徒会室の前まで来た。
おっと、両手がふさがってドアのノックができない。もう一人連れてきたほうが良かったかな。と思ったけど、ノック用の人っていうのも贅沢だよね。
私は無意識に頭でノックした。誰も見ていませんように。
コンコン……
「どうぞ」
生徒会長、白春 茜の不気味な笑みでこちらを見た。
「あの~」
「はいはい。なんでしょう」
「それがですね。パソコン部にパソコンが無いのですよ」
「ほうほう。それで?」
パソコンが無いと言っているのに、なんと気軽な反応である。仕方がないので、私のほうから提案を話すか。話さなくても、察してくれるという希望はなくなった。
「パソコンが無いので、誰か要らないパソコンを持っている人に譲ってもらえればと。そう思って、ビラを作ってみました」
私はそう言って、先ほど作成したビラを生徒会長へ渡した。
生徒会長はじっと見るわけでもなく、パッと見て、こう言った。
「いいんじゃない? 配っても大丈夫よ。掲示板に貼りだしも許可します」
実にあっけなかった。
裏でもあるんじゃないかと思ったけど、心変わりしないうちに、私はすっと生徒会室から出て行った。
翌日から、下駄箱付近でビラを配り始めた。
「使ってないパソコン、ありませんか?」
「パソコン部に譲ってもらえませんか?」
一度に部員全員はなかなか集まらなかったが、何人か交代みたいな感じで、声を出してビラを配った。
数日後。
何人かの生徒と先生が古いパソコンを持っているとかで、4~5台貰えることになった。
そういえば、肝心なことを忘れていた。
顧問の先生がいないじゃん。って、なんで、いないのに部が成立しているんだろう。
私はちょっと生徒会室へ走った。
コンコン。
今度は頭ではなく、ちゃんと手でドアを叩いた。私、偉い!
「どうぞ」
「あの~。そういえば顧問の先生がいないんですが」
「それはこちらで決めておきました」
ん! すでに決まっている? なんだかんだでパソコン部の事、心配していたのかな。
「以前、茶道部の顧問だった、小海 陸子先生よ。」
茶道部の顧問だった人? うーん。嫌な予感が。
「今いる、元茶道部の人たちは面識ないかもね。でも噂ぐらいは聞いているかも」
そういうわけで、部室に戻り、ちょうど残っていた川野に話を聞いた見た。
「かなり厳しい人みたいよ。おそらく音谷さん以上ですの」
むっはぁ。それはかなりヤバいのでは。と思っても、もうしょうがない、それでいくしかないと思った。
生徒会長によると、明日から部室に来ると言う。
怖いよ怖いよ~。って思いながら、部室を後にし、下校した。