第8話 今日は学習発表会だ
チュンチュン……
朝からスズメが鳴いている。今日は学習発表会の日だ。
と言うわけで、もうちょっとしたら、友達の支子の兄、貴さんが来る。
それまでに朝食を済ませておこう。今日は納豆とみそ汁だ。もちろんご飯もあるよ。生卵なんかもあると完璧なのだけど、あいにく今日は無い。とりあえず、食事をしたあと、いろいろと済ませて、持って行ってもらうものを確認した。
パソコン本体、モニター、作ったソフト、ケーブル類。だいたいこんな感じだ。
「やあ。きたよ」
そうこうしているうちに、貴さんが来た。学校のどこの教室へ運ぶかの指示が必要なので、友達の支子も来ている。
「結構いっぱいあるのね。重そう」
まあ、重い物は貴さんにまかせて、私は軽い物、例えばケーブルとかを車へ運んで行った。
「じゃあ。先に待っているね」
支子がそう言い、先に学校へ行った。
私もちょっとしてから、学校へ行った。こちらは徒歩だ。
学校へ着くと、多くの人たちが展示物の準備をしていた。美術部は絵画を展示しようと、移動式のパネルなどを運んでいた。
「私も頑張らなくちゃ」
とパソコン関連の荷物が置いてある、教室へ行った。
教室へ着くと、支子が展示に必要なテーブル類を移動させていた。
「さて、設置しよう」
パソコンをのそのそと持って移動し、長い机に置いた。長い机は2つを繋げて、モニターも置けるようにした。ゲームの操作説明などのパネルを設置し、だいたい終わった。
、
家でパソコンを設置すると部屋が学校の教室より狭いこともあって、結構時間がかかってしまうが、教室なら広いしわりとすぐに終わる。
あとはモニターとパソコンの電源を入れて、ソフトを立ち上げて起動チェックだ。家で起動したときと同じように電源が入り、ゲーム画面が表示された。
一つの教室を使わせてもらったが、他にスペースがあるので、暫定パソコン部の中にある文芸部と茶道部も参加した。脇には文芸誌の展示などをし、さらにその脇で茶道部がお茶を点てていた。なんとも異様な光景である。
展示には自分たちの学校の生徒も来るが、外からの来客もある。少し緊張しながらも、人が来るのを待った。
「やぁ!」
「きたよ!」
私のクラスメイト、清水 志保と川上 麗香だ。
パソコンのことは全然詳しくもなく、創作もあまり興味がないが、事前に見学しにくるとは言っていた。
と言うわけで、椅子に座らせてゲームをプレイしてもらうことになった。
「これがキーボードなのね。ボタンがいっぱいね」
「どれを押すのかわからない」
横に説明のパネルがあるのだけど、読む前に操作しようとする。パソコン初心者でも、わかりやすくするためにゲーム用のコントローラーにも対応したかったけど、ちょっと時間が足りなかった。
私は基本的に背景画像をバックに文章を読むものである。時々、自分の行動を選択して、文章が分岐すること。選択はカーソルーで選び、エンターキーで決定することを説明した。
「面白い話ね!」
「ここで、普通はしない行動する選択肢があるけど、やってみるとキャラクターが意外な反応をして面白いね!」
「グラフィックもシルエットだけど、なかなかいいね。効果音も良い感じ!」
心配していたけど、なかなか良い評価っぽいので安心した。脇で見ていた、文芸部の望月と隅野もストーリーが評価されて、嬉しそうだ。
「どうぞですの」
横からスッと、茶道部の川野がお茶をクラスメイトに差し出した。彼女が点てたお茶だ。パソコンを前にして座ったまま、お茶を飲むなんて音谷が怒りそうだが、今日は寛容だった。
その後、外部からのお客様が来たが、ゲームはほとんどの人に褒めてもらった。
もうあと30分ぐらいで、発表会が終わろうとした頃に、ツインテールで可愛い感じなのだけど、なにか難しい顔をしている、いかにも印象に残りそうな女の子が来た。歳は私と同じか、一つ上ぐらいと言ったところかな。
操作もあるていど把握していたのか、説明を受けずにゲームを始め、終始無言でプレイしいた。一通りプレイした後、そのまま去っていった。
発表会が終わった瞬間、生徒会長の白春 茜が来た。
「なかなかの評判だったみたいじゃない。これならオッケーよ。部活も許可します!」
この言葉に、文芸部、茶道部一同は喜んでいたが、私は最後に来た客、ツインテールの女の子が何を言わずに去っていたのがどうしても気になった。
まあ、なにはともあれ、部活の発足である。