第6話 ラップを使ってなぞろう
数日後。友達の支子がゲームに使うイラストを持ってきた。
「だいぶ、凝っちゃった」
用紙に描いてあるイラストを見ると、立ち絵じゃなくて、いろいろなポーズをしているものも結構ある。背景も別に描いてくれていた。
しかし、こんなにすごいイラストでも、使うときはシルエットだけになってしまう。パソコンの性能上、ちゃんと描くこともできるけど、私にはその技術はない。
まず、このイラストの上に、料理の保存等で使うラップを貼る。そして、その上からマジックで輪郭線をなぞる。
そして、ラップを剝がして、これをパソコンのモニターに貼る。っで、イラストツールでこのラップに描かれている線をなぞる。
とても、面倒だが、イラストを参考にいきなり描くよりは良いのができる。本当はイメージスキャナが欲しいのだが、さすがに高いので買えない。
「ありがとう!」
私はそう言って、そのイラストを受け取った。
そして、私はさっそく部屋にこもり、ラップに線画を写し、モニターに貼り付けた。パソコンのイラストツールを立ち上げ、ドットで線を引いていく。何時間経ったであろうか。やっとその作業が終わった。
「あとは、線画の中を塗りつぶして終わりかな」
そう呟いて、その作業を完了させた。
音も必要よね。シナリオを見て、必要な音を録りに行った。行くとは言ったが、まずは家の中だ。ドアを開ける音、閉める音、廊下を歩く音も必要ね。あと必要な音を録って、外へ出て行った。
チュンチュン……
小鳥の音も必要よね。私はボイスレコーダーを小鳥のほうへ向けた。
チチチチ……
小鳥は驚いて逃げてしまったが、逃げるときに鳴き声のようなものが録れたからいいかな。
あとは録音モードにしたまま、街を歩いた。自動車のエンジン音、クラクション、飛行機が飛んでいる音、噴水の水の音。いろいろ録れた。後で編集が必要だろうが、良い素材が集まった。
家に帰り、夕飯を食べた。ご飯を食べる音も録ろうかと思ったけど、ちょっと嫌だなぁって思って、それはやめた。
食べ終わって、部屋に籠って、プログラムを組み始めた。本当はツール的なものを作って、そこからシナリオスクリプトのようなものを読みこんだほうが良いのだが、そんな技術は無いので、直接プログラムに組み込んだ。
「ふぅ~、ちょっと疲れた」
プログラムのほうは半分ぐらい終わった。さてお風呂に入ろう。
脱衣所で着替えようと思った時に、ふと思った。お風呂に入る音とかもあれば便利かも……
と言うことで、ボイスレコーダーを脱衣所に置いて、脱衣所からお風呂へのドアをちょっと開けて、お風呂へ入った。
ザブン~~。
音を録音しているだけなのに、やけに緊張してしまう。
そのままじっとしていると、なんだか熱くなってきた。
「あっちっち」
やだ。この声も録音されてしまった。
その他、いろいろな音が録られたけど、ここでは割愛。
ザバーッ。
お風呂から出て、髪を乾かした。おっと、このドライヤー音も録っておこう。
ゴゴゴゴ~~~~~
さて、明日の準備をして寝よう。
睡眠時の音も録ろうと思ったけど、それはやっぱりやめた。