第27話 地面と天井、とっちを蹴る?
家に帰り、すぐにパソコンの前に座った。
重力反転は重力での移動量のところを符号の反転を行うだけである。プラスだったらマイナスに、マイナスだったらプラスに。と言うわけで試してみた。テスト的にTabキーで重力を反転させるようにしてみた。
「さてと実行と」
プログラムを起動して、Tabキーを押してみると、プレイヤーがふわっと浮いて、上の壁まで移動した。なんか頭をぶつけているようだ。
「プレイヤーキャラクターも上下反転させて表示させたほうが良いね」
ちょこっと修正して、また起動した。上の壁にくっついた状態で、ジャンプをしてみた。
「んん??」
ジャンプができない。
……
……
……
うーん。3分ぐらい悩んだけど、ちょっとわからないので気晴らしに市販のゲームをやることにした。
つい最近、買ったゲームがあるのだ。アーケードゲームの名作を1500円という破格な値段でプレイできるというすごいやつ。リブ〇ラ〇ルと言うゲームで、両手を使って、2つのカーソルのようなものを動かしてラインを引いて、いろいろと囲んでやっつけたり、助けたりするゲームだ。
実はあまりゲームセンターでは遊んだことがない。興味を持ったころには見かけなくなっていた。だから、このゲームを店頭で見つけたときはすごくうれしかった。
いろいろと囲んで、どんどんクリアしていくと、見慣れない敵が出現した。囲っているラインに触れると、なんだか操作がおかしくなった気がした。
あれ? 右手で操作していたカーソルが左手で、左手で操作していたカーソルが右手になってる。つまり逆になっているのだ。
反対になってしまったのなら、自分も反対になってしまったと認識して操作しないといけない。
「反対になってしまったら、反対に認識?」
「と言うことは、重力が反対になってしまったら、地面ではなく天井を蹴らないといけないのでは?」
独り言を言いつつ、私はゲームを中断して、プログラムのほうを再開した。
ゲーム中に重力が通常時の逆となってしまった場合は、プレイヤーの上方に天井、つまり上にある地面があるかどうかを見て、その状態の時にジャンプボタン押したら、通常時と逆の方向に初速を与える。そうすれば、上手くいくのでは。
カタカタ……
カタカタ……
さてとプレイッと。
Tabキーを押し、重力を反転させる。ふわっとキャラクターが浮き上がり、天井に貼りつく。
「ここでジャンプだ」
キーを押すと、下方向にジャンプをした。
「よし。できた!」
自分ができることはだいぶ終わったかな。
ゲームのシナリオ。主にステージクリア後の会話は書き直して、もう少し長い話にするって望月と隅野が言っていた。支子もそれようのキャラクターの原画を用意してくれるって言ってた。
まあ、いろいろと組み込んでバグが出ると、こちらの出番がまた多くなるけど。
翌日、部室へ行くと、望月と隅野がノートを持って、こちらに近づいてきた。
「これ。シナリオね。特に『引き』を意識しといたです」
「引き続き、半裸のお兄さんも出てくるから、安心しろよ」
『引き』、それはストーリーの続きが気になる仕掛けである。ステージクリアごとに会話があるので、これは効果的である。たぶん。
それはさておき、また半裸のお兄さんが出るのか。
私はその場でノートを読んでみた。
なかなか意外な展開で飽きさせない。ゲームに使えば、長くプレイしてくれるだろう。感心していると、川野の顔が赤くなっていた。目の前で読まれるのは、やっぱり恥ずかしいのかな。でも、隅野は普通にしていた。
ガラッ
部室のドアが開いた。そこには隅野の姿があった。遊びに来たようだ。
「これ、例のシナリオなんだけど」
そう言って、私は支子にノートを渡した。再び、川野の顔が赤くなった。
「なかなか興味深いね。これをもとにキャラクターの原画を描けばいいのね」
張り切った顔をして、支子はノートを持っていった。
残りの時間は私はマップ作製などをして過ごした。
ゲームがどんどん完成されていく過程がすごくうれしかった。
まあ、一度完成させたゲームだけど。
マップ作製が一区切りついたので、今日は活動をやめ、部室を後にした。外は日に日に寒くなっていった。
建物の灯りなんかも目立つようになっていた。
家に帰り、お風呂に入り、夕ご飯を食べた。
パソコンを立ち上げ、マップ作製でもしようかと思ったけど、さっき学校で作業したばかりだったので、ちょっと市販のゲームをプレイした。
野球ゲームをしたのだが、しょっぱなからデッドボールで自分のチームの選手が1人いなくなった。まあ、ゲームだからいいけど、現実だったら困るよね。試合は何とか勝ったが、後味が少し悪かった。
まあ、一晩寝れば、嫌なことも忘れるだろう。
すぅ~。
すやぁ。
翌日、学校へ行くと、支子が謝ってきた。
「ごめん」




