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第13話 喧嘩

 今日は私の家に友達の宮野みやの 支子つかこ、元文芸部の望月と隅野で集まっていた。元茶道部の人たちは家が遠いので来てなかった。まあ、ただの遊びで集まっただけだし、昨日は学校で部活の集まりもあったので、それは別に良かった。


 しかし……


「昨日、ノートを返したって言っていたけど、机の上に無かったよ」


支子が怒りながら、そう言った。


 私は確かに昨日、支子の机にノートを置いたのだ。彼女も美術部の集まりがあるとかで、後で教室にも寄ると言っていたので。特にその日は美術部の活動が長く続くと言っていて、私のほうが早く終わるのは確実だった。だから、ノートを置いて帰ったのだ。


 だが、支子はノートが無いと怒っている。どういうことだろう。


「返した気になっていただけじゃないの?」


 この支子の言葉にカチンとなって、私のほうからも怒ってしまった。せっかくみんなで集まったのだけど、それはすぐに終了になった。


 みんなが帰った後、一人で考えていた。支子が怒ったのも、無理はなかった。ノートは支子のイラストやそれの企画などが描いてあったものである。美術部の支子からしたら大切な物であろう。私は怒ったことに少し後悔していた。



 翌日、隅野から電話があった。


「そちらで今日、夏祭りがあるみたいね。一緒に行かない?」


 と言うわけで、夏祭りに行くことになった。望月も一緒に来るらしい。



 私は昼間の用事を済ませて、夏祭りへ向かった。


 待ち合わせ場所に行くと、隅野と望月がいた。っで、その横に支子もいた。


 どうやら、隅野が気を使って、支子も呼んだらしい。



 ……


 当たり前だが、支子とはギクシャクしている途中なので、どうも話ができない。


 私と隅野、望月が会話をして、支子が隅野、望月するだけになっていた。


 ……


「あれ食べよ!」


 望月が綿菓子の屋台を指して、そう言った。


「おっ、いいな!」


 と隅野もその会話に連動した。


 そういうわけで、私たちは綿菓子を買って食べた。


 うーん、しかし結構高いわね。屋台だから高いのは当たり前だけど。そういえば、昔、家庭用綿菓子機を買ったなぁ。ザラメを使うとか書いてあったけど、家にザラメがなかったので、それっぽい砂糖のようなものを入れて作ったけど、早くにして壊れたな。やっぱりザラメじゃないとダメだったのだろうか。


 そんな、どうでもいい思い出に浸っているうちに、綿菓子を食べ終えた。


「輪投げをやろうぜ!」


 隅野が輪投げの屋台を指さして、言った。


「うーん、だめだったか」


「だめでしたです」


 隅野、望月ともにゲットできなかったらしい。



「えいっ」


 支子が輪を投げると、にわとりの置物に輪がかかった。


「やった」


 支子は嬉しそうな声を出した。


 私がにわとりの置物を見て、良いなぁって思っていたら……


「はい。好きでしょ」


 支子が私に手渡した。


「ありがとう」


 そう、私は答えたが、まだお互いなんだかギクシャクしていた。


 私も輪投げで何か取ろうと思って、景品を見たら、黄色いネズミのような置物が目に入った。耳の先はちょっと茶色っぽかった。そういえば、支子があのキャラクターが好きだったような。


 私はそのキャラクターをめがけて、輪を投げた。


「えいっ!」


 しかし、失敗した。だけど、まだ輪はある。


「えいっ!」


 また、失敗した。そして、最後の一つを投げる。


「あっ!」


 投げた瞬間、手がずれてしまった。


「ゲットしたじゃん」


 隅野が言った。


 どうやら、私はずれていたほうが逆に成功しやすいらしい。


 私はその黄色いネズミの置物を支子に渡した。


「ありがとう」


 しかし、まだ私と支子はギクシャクしていた。



 なんとなく気まずく、4人で歩いていると、クラスメイトの清水に会った。この前の学習発表会に来てくれた人だ。



「やぁ!」


 私たちとは対照に、明るい表情で話しかけてきた。


 そして、鞄から何かを取り出し、支子へ差し出した。


「はい、これ」


 それは私が支子から借りたノートだった。


「教室の床に落ちていて拾ったんだけど、名前が書いてなくてね。っで、預かっていたんだけど、中をチラッと見たら、この前の学習発表会でゲームの展示の事を思い出して。確か宮野が絵の担当をしていたよね」


「ちょうど教室のエアコンの修理をしていたから、何かの拍子に机から落ちたのかもね」


 ノートは戻ったが、私と支子はちょっとまだ気まずかった。


「はいはい。良かったね! ノートも見つかったし、解決だ」


「次はりんご飴でも食べに行こう!」


 私と支子は、隅野に背中を押されながら、屋台へ向かった。


 そして、みんなでりんご飴を食べているうちに、ギクシャクも少し収まった気がした。


 私と支子はお互い顔を合わせて、ちょっと微笑んだ。



「そういえば、夏休みの宿題は終わったかな~?」


 隅野の一声に、そういえば……って顔になり、少し焦り始めた。


「じゃあ、今度の週末に家で宿題をやろう」


 隅野の家にに行ったことはないな。どんな家だろう。


 そういうわけで、次の週末にみんなで勉強することになった。



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