鋼のギルド受付嬢はクエスト上手
「アイア、君はクビだ」
王都冒険者ギルド・ノス支部の長であるフトーが告げると、アイアと呼ばれた長い白髪の女性は銀縁の眼鏡をくいと上げる。
「わかりました」
「理由は……って、わかったのか!?」
「ナルスさんの件ですね」
「そ、そうだ! ナルス様が依頼を受けようとした時、お前は何と言った!?」
「そのクエストに許可は出せません」
ナルスは上級貴族であるのをいい事に権力と金に物を言わせ無理矢理銀級冒険者になった為、アイアは許可を出さなかった。
「お前のせいでナルス様から私は睨まれ……出て行け!」
「お世話になりました」
頭を下げた後に眼鏡をくいと上げるとアイアは手早く退職の準備を済ませ、ノス支部を後にした。
「アイアさん、ウチの支部に来てくれないかな」
「わかりました」
「まあ、焦らずに考えて……って、ええ!? いいの?」
アイアの即答に、待ち構え声を掛けた男の方が驚く。
「ええ、サス支部長のゴルドーさんなら諸々適切にやってくださるでしょうから」
そう言われゴルドーは美しい金髪を掻きながら苦笑を浮かべる。
広い王都では冒険者ギルドが二つ存在した。フトーのノス支部と、ゴルドーのサス支部。
サスはノスに比べれば勢いはないがギルド長のゴルドーの評判は良く、老若男女問わず好かれている。
「いや、ほんと……そういうところ、好きだなあ」
「……これからお世話になります」
深々と頭を下げアイアはくいと眼鏡を上げた。
一週間後、サス支部には人が溢れかえっていた。
「こ、この騒ぎはなんだよ?」
「【鋼の女神】がサス支部に移ったんだよ」
「あの、冒険者の実力を完璧に把握して依頼を振り分ける最強受付嬢が!?」
「すげえよな。それに……」
彼らの視線の先には依頼と冒険者の実力が見合うかを恐ろしい速さでチェックし、意見する鋼の女神がいた。
「……お願いします。そして、必ず生きて帰って来てください」
「「「「「はい!」」」」」
「あの人が決めた依頼で死んだ冒険者はいないんだとよ」
そんな中、人ごみをかき分け飛び込んできたのはボロボロのフトー。
「あ、アイアさ~ん……ウチのギルドに戻って来て頂けたりは……」
「残念ですが、その依頼は許可できません」
項垂れるフトーから離れていくアイアにゴルドーが微笑みながら近づいてくる。
「今から休憩ですよね。二人きりで昼食に……」
「そ、その依頼もまだ許可しかねます!」
鋼の女神は即答できず、くいと眼鏡を上げながら赤くなる顔を隠していた。
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