最後の旅
「ほい、この時代は灯にとっては見慣れてるやろうな」
「灯ちゃんにとって?」
そう、今回きた時代。
それは灯が生まれた時代。
つまり電球が生まれた時代だ。
電球が作られ、人々の暮らしは豊かになった。
喜ばれていたのだ。
だが、それも未来には使われなくなってしまっている。いつか自分が消えてしまうのではないかと危機感を覚えるほどに。
だからこそ、自分の役割がなんだったのかを、生まれた時代にくることで思い出させる。
それが輝界がさせようと思っていること。
「私が生まれた時代、だね」
「そや。せっかくなんやしバレないように発明者を見てきや」
「うん。私、行ってくる」
灯はいつもの元気の良い返事ではなく、決意したような返事をした。
彼女にとっての答えを見つけるために。
そうして、彼女は自分の生まれた場所に来た。
そこでは一人の発明者が言葉を発した。
「この電球で、一人でも多くの人の生活を楽にできるように。そして、この電球で誰かを笑顔にできるように。私は、何個でも作ろう」
その言葉は、灯の心に届いた。
「そうだ、私は誰かを笑顔にするために。誰かの心を暗闇から救えるように。そのために、頑張りたい!これから、どうすればいいのか、それがわからなかったけど、今ならハッキリ分かる。私は、私のしたいようにすればいい!役割とかそんなのはいいんだ。誰かが笑顔になってくれるならいいんだ!」
灯は大声で言った。
それが、灯の出した答え。
彼女なりに考えて出した。
これまで出会ってきた彼女達の言葉も聞いて考えた。
「出たのね。答えが…」
米が言う。
「うん!私、元の時代に戻って頑張りたい。誰かの心を照らせるように。忘れられないように頑張るんだ!」
「ええんちゃう?あんさんがちゃんと考えて出したんやろ?」
「うん!だから、もう迷わないよ。早く元の時代に戻ろう!」
「はいはい」
彼女達は元の時代へと戻る。
見つけられたから。
忘れられないように、彼女達はこれから頑張るのだ。
誰かの心を照らす。沢山の人を笑顔にする。
気持ちを届けるのはロボットにはできない。
彼女達には心がある。想いがある。
だからこそ、人々に届けられるものがある。
全力で、沢山の人の心を照らそうとする彼女に、人々の心は突き動かされ、ずっと忘れることができなくなるだろう。
きっと、この話を見届けてくれたそこの貴方も——