一番最初 〜土器〜
彼女達は時を超えた。
一番最初、縄文時代へと。
「ほいっ、到着!早速行こかー土器を見に」
「土器?」
「なんや、聞いたことあるやろ?この時代で使われとったやつや。料理とかにな」
「確かに聞いたことはあるわね」
この時代で使われ続けてきた土器。
それは鍋や、煮炊きをするときに使われるもの。
そして、長年続いてきたとされるものである。
なんでも文様を見れば、いつのものなのかも分かるという。
だが、ここは縄文時代。つまり、一番最古のものを見に行くということである。
「あのー土器ってどこにあるの?」
「どこって、まぁ、歩いとったら分かるで。この時代ならどこにでもおるしなぁ。あっ、ほらおったわ」
輝界が指をさしたところを、二人が見る。
そこには、人がいた。
「あの子が土器?可愛らしい女の子じゃないの」
「うちらと同じや。想いで、喋れるように人型になったんや。これからいく時代もそういう子を見にいくんやで」
「そーなんだ…想いってすごいねぇ。ねぇ、話しかけにいってもいいかな⁈」
「まぁ、ええとは思うけど歴史は変えんように今のことを話したらあかんで」
「分かったー!」
灯は走って土器に会いに行った。
勢いよくいったら怖がられるだろうに。
そんなことは考えもしないようだ。
「初めまして!私、明里 灯って言います!あなたは?」
「は、はじめまして。私は、色柄 土器です…」
戸惑いながらも、土器はそう答えた。
「土器ちゃん!よろしくね!」
「う、うん」
「こらっ、圧が強くて怖がってるでしょう?ほどほどにしなさい」
「うっ、はーい」
狼狽える土器を見かねて、米が灯の頭を少し叩いた。
「ごめんね。怖かった?」
「いえ、大丈夫です」
「ほんまか?遠慮せんでええんやで?」
「ほんとに大丈夫です!」
何度も聞かれるのがいたたまれなくなり、土器が大声を出した。
すると、みんなが笑い出した。
「ふっ、ふふっ、そんなおっきい声で言わなくても…」
「そ、そうね。あっ、灯ちゃん、土器ちゃんに聞きたいことがあるんじゃないかしら?」
米は、話題を変えようと灯に話を振った。
自分達の役割を探すためにここに来た。
「そうだった!土器ちゃんは、自分の役割はなんだと思ってる?」
「役割?」
「人のためにしてること!」
「そうですね…私は、皆さんがいつも楽しく料理を囲めるように手助けさせていただいたます。それは、私にとってとても有意義なこと。人の笑顔を見ることは私が一番好きなことですから」
土器は笑顔で答える。
ずっと、大切にしていることはもう決まっているから。
自分の役割、自分のしたいこと。
これから先も、人の笑顔を見続けたい。それが、彼女の答えだから。
「そっかぁ。自分の好きなことが役割、か。なんか見えた気がする!ありがとう土器ちゃん!」
「なんだかよく分かりませんが、どういたしまして?」
「うん!じゃあ、私達もう行くね‼︎」
「はい。行ってらっしゃいませ」
土器は、皆がどこに行くかも分からないのにお辞儀をしてから手を振り見送った。
灯達は土器から見えないところまで行き、話し始める。
「この時代で、なにかを得ることはできた?」
「うん!土器ちゃんから教わったよ。まだ、自分流の答えは見つけてないけどね」
えへへっ、と灯は笑った。
「で、次の時代に行くか?うちはいつでもええけど」
「うん!早く行きたい!」
「私もいいわ」
「じゃあ行くでー!」
彼女達は、輝界の肩に手を置き次の時代へと飛んだ。
次はどんな子に出会うのか。
とても楽しみだ。