警報
前に書いてたイタリアの異世界転移が打ち切りになったので、代用として投稿しました
「あー、つまらねぇなぁ…」
西大村小学校六年生の勝山大悟はいまいち授業に身が入らず、窓の外を眺めていた
今は昭和19年 1944年 10月25日
大東亜戦争の真っ只中だ
「大悟君、ボーってしてるとまた怒られるよ?」
俺の隣の席のサツキが話しかけてきた
「うるせぇなぁ、構わないでくれよ」
サツキの方も見ずに答え、少し伸びをする
その時だった
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
「!!??」
いきなり背筋の凍るような轟音が教室を包み込んだ
「…空襲警報か!?」
教室は瞬く間に混乱の渦が広がっていった
「皆さん!落ち着いてください!」
先生が怒鳴り散らす
今まで聞いたこともない恐ろしい声をあげていた
「良いですか!!私が帰ってくるまで、絶対にこの場から動かないようにしてください!」
それだけ言うと、先生は教室を飛び出ていった
「おい大悟、今の空襲警報だよな!?」
前の席の孝が少し興奮気味に聞いてくる
「多分そうだろ…」
正直、空襲だと信じたくは無かった
ここに空襲が来るということは、日本が
劣勢だということだ
そんな筈はない、日本は強い国で、どこにも
負けない…
「そんな顔するなよ、誤報かもしれないだろ?」
孝は随分余裕そうだった
「でも、本当だったら…」
サツキが今にも消えそうな声で呟く
「怖いのかよ」
孝が冷やかすような口調で話す
「おい孝」
「わかってるって、ごめんよ」
そこへ先生が勢いよく扉を開けて入ってきた
いきなりの事に孝がビクッと体を震わせる
「孝…お前も怖いんじゃねぇか?」
「は?そんなわけねぇだろ」
「おい孝!静かにしろ!」
孝は先生に注意されて、舌を打ちながら前を向いた
「えー、六年生は一年生を連れて校庭の壕に向かうことになりました。今から一年生の教室へ迎えに行きます。一年生を連れたら…」
先生の話を一通り聞いたあと、廊下で列を組んで
一年生の教室へ向かった
読んでいただきありがとうございます
この作品は大村大空襲を経験した方のお話を元に
作りました