表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

8

どでかいにゃんこを布団代わりにして永遠の眠りにつきたい。

 世界のありとあらゆる『出来事』が内蔵された一部屋。

『黄金書斎』

エルリシアで起こったことがすべて記載された書物『夢幻日記』が蔵された書斎は、知識の探求者たちが求める理想郷と言われている。


「テラリオムは工芸品であることがほとんどですが、『知恵の神ゼメフォス』が作り出した『黄金書斎』は部屋そのものがテラリオムになっていると言われています。」


「世界中すべての……?そんなことしたら書斎が本で一杯になるんじゃ―」


「おそらく部屋の形をした『結界』なのだと思います。結界ならば無限に近い空間を生み出し続けるのも可能でしょう」


「結界……そんなもの見つけられるの?」


「いえ、書斎の在処はわかっているのですが、問題は―」


 ―タンタン。

自身の頭のすぐ後ろから窓を叩く音がして、冬依はあわてて振り返る。


 ガラス越しに見えたのは、一匹の白い猫だった。


「あっ、さっき言ってた―」


「あ、リアラさん。帰ってきたんですね」


違和感に気がつくのに数秒を要した。

最初は遠近感でそう見えただけかと思った。

その次は、窓が小さいのだろうと感じた。

しかし、どちらも違った。

その猫は、あまりにも、大きすぎた。


「……リアラって言うんだね」


「はい。とても大きくてふさふさでかあいいですよ」


表情が綻んだノエルは少し幼く見えた。

相変わらずあの女神そっくりで、気を抜くと心を奪われそうになる。


「ちょっと……大きすぎません?」


ノエルが小走りで窓に向かい、カラカラと戸を開ける。

リアラは、とてもではないがノエルが抱きかかえられる大きさではない。

むしろその大きさはノエルと同じくらい……150cmほどはある。

のそのそと部屋に入ってきたリアラは、不思議なほど汚れていなかった。

こんな森の中をあるけば、土くらい付きそうなものだが。


「そ、そうですね〜確かに猫にしては大きいほうとは思いますけど……この森に住んでる生き物は巨大なものが多いんです」


「へ、へぇ……そうなんだ……」


地球ではありえない大きさの猫が歩いている姿は、なるほどたしかに異世界らしい光景ではある。

その場のシュールな雰囲気に圧倒されて、冬依はリアラがソファに座り込むまで口を開けたままだった。


長いソファに座ったリアラの隣に、ノエルが再び腰掛ける。


「さっき、一緒に住んでるって言ってたよね?冒険はどうするの?」


「連れていきますよ?」


「め、目立ったりしないかな」


「大丈夫です。目立つのはなれてますし……こういうとリアラさんに失礼ですが、魔術師は変な生き物を連れて歩いているものなのですよ」


「へ、変な生き物か……」


ふとんに手足がついて歩いているようだと、冬依は思った。

寒い日に毛布代わりにするととんでもなく温かそうだ。

ノエルがリアラの頭を撫でると、返答するように頭を下げる。

ノエルはリアラに体を預けて崩れた姿勢になった。


「なんだか……似合ってるね。絵になるっていうか……」


「私達がですか?」


「うん。二人とも白くてきれいだから」


「ふふ、ありがとうございます」


そのとき、それまで一切泣かなかったリアラが、『ニャン』と一言喋った。


「へ?!リアラさん何言ってるんですか!そんなわけないじゃないですかぁ」


冬依は頭上に疑問符を浮かべながら、首をかしげる。

急に何を言い出すのだろうこの少女は。

もしや……いや、もしかしなくても、猫と会話をしているのではないだろうか。


「り、リアラと話せるの……?」


「はい。なぜか私とは話せるんですよ。不思議ですね」


実際に意思疎通ができているかどうかは別として……冬依はもう何をされても驚くまいと確信したのだった。


 「ところでリアラはさっきなんて……?」


「うっ……えっと……その―秘密です!」


顔を真っ赤にしてきっぱり言い放ったノエルは、そそくさと飲み干したカップを片付けに行った。





ロマンスあり?なし?

もちろんありです。

全く関係ないですが、私は報われない恋がとても好きです。

全く関係のない話ですが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ