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あまり重要にならない裏設定とかをあとがきに書きます。

前書きはてきと

 冬依が転生した先で出会った『ノエル』は、女神にそっくりな少女だった。

彼女はよく当たると評判の占い師で、普段は森の奥に住居を構え、生活のために度々田舎町に赴いては、街角で占いをしているのだそうだ。


「ここが私の家です」


ノエルが家と呼んでいるのは、彼女が水浴びをしていた泉から十分程歩いたところにある大きな屋敷だった。


「だ、大豪邸だね」


映画に出てきそうな、西洋風の厳かな雰囲気の屋敷。

どうやって建材を運んだのか不思議なほどの巨大さだった。


「昔は祖父がいたのですが……今は私と猫が住んでいるだけです」


「猫、いるんだ……」


「そんなに猫が珍しいですか?」


「え?あっ……珍しいってわけじゃないけど」


冬依は『この世界』にも猫がいることに驚いたわけだが、ノエルは事情を知らないため冬依の反応に引っかかる。


「こんな場所に住んでいるおかげで、私は街では『森の魔女』などと言われているのです」


少しだけ頬を膨らませながら、カップに口をつける。

彼女が砕けた会話でも敬語を使うのは、職業柄そういう話し方になれているからだろうか。


「魔女って……嫌われてるの?」


「いえ、この国では魔女が邪険にされることは少ないですね―そのへんも含めて、中でお話しましょうか。『レイゼン』のことも、忘れてしまったのでしょう」


 『レイゼン』と、ノエルは言った。

冬依にとっては初めて聞く言葉だが、この世界ではその名を知らない人間はいない。

レイゼンとは要するに、『レイズの』という意味の言葉で、この世界では国名、または地名を表すことがほとんどである。


「エルリシアには6つの大陸があります。今私たちがいるレイゼンは12の島で構成されている島国で、この世界一大きな国です」


数多くある部屋の一角、応接室のような場所に案内され、ノエルと向かい合って座る。

おそらく、誰かを招き入れるのは初めてではないのだろう。

お茶を出すまでの流れは、実に洗練されたものであった。


「島国なのに、世界一大きいの?」


「レイゼン諸島は普通の島よりも大きいのです。すべて合わせれば大陸一つ分くらいにはなりますよ」


「そ、そんなに大きいんだ……」


ノエルは壁にかけられた大きな地図を外して、テーブルにおいた。

この世界が地球とまったく同じ大きさだと仮定すると、

12あるレイゼン諸島は一つ一つがマダガスカルくらいある。


「―たしかに大きい国だね。今いる島はどこになるの?」


「この中心から一番離れた島です。一番離れているので『11番島』と呼ばれています」


「11?12じゃなくて?」


「中心にある島は『中央島』です。国王が住まわれているので特別なのですよ」


「へ、へぇ……」


改めて冬依はエルリシアの地図を見回してみる。

大陸や島々には特に変わったところはない。

しかし、地球の世界地図に見慣れている冬依からすれば、まるでRPGゲームのMAPを見ているようだった。


「―ここに祖父以外の人が来たのは初めてです」


地図を眺める様子を見ていたノエルが、悲しげに笑った。


「やっぱりお祖父さんも占い師だったの?」


「はい。優しい人でした……どことなく、あなたと雰囲気が似ています」


「そ、そうなの?」


「はい。あなたと会ったのも、初めてではないような気がして―あっいえ!変な意味ではなくてですね?!」


「う、うん……」


ノエルの透き通るような白い肌は、紅潮するとよく目立った。


 「これからどうしますか?良ければ少しの間ここに居てもらっても構いませんが」


「ここに居てって……いいの?僕が言うのもなんだけど、僕って怪しさ満点の不審者じゃないか」


冬依は彼女のある言葉が引っかかっていた。

『初めてのではないような気がする』

それに関しては冬依も完全に同意だった。

純白の髪に赤い瞳。

この世界でもかなり珍しい相貌のはずだ。


「私も伊達に占い師をやっているわけではありません。あなたが悪人が善人かくらい、見ただけでわかるのです」


「じゃ、じゃあさっき尋問したのは……?」


「あ、あの時は私も気が動転していたというか―そ、そうだ!あなたを占ってみましょう!何か記憶のヒントになるものがあるかもしれません」



ノエルの祖父は彼女と同じく占い師ですが、割とペテン師でろくでもないです。

どちらかといえば地球よりの占いをする人で、人の考えることを言い当てるのが得意な人でした。

街に繰り出しては飲んだくれて帰ってきてました。

そのつけを死後孫に払わせているのだからとんだクズですね。

ノエルの魔術の才能を見抜いたことは唯一評価できるかもしれません。

ノエルにとっては終始反面教師みたいなものですが、彼女としては祖父を尊敬しています。

肝心なときにしか頼りにならない人だったのです。

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