ハッカー集団NOIZEとイリオモテヤマネコとベンガルトラとマヌルネコ
『許可』みゆきがそう言うと、目の前のテーブルの上にヒュンと一匹の猫が現れた。
「にゃー!やったね!一番ニョリ」とイリオモテヤマネコが言った。
「もう見つかっちゃったのね」呆れた口調でみゆきは答えた。するとみゆきのいるその部屋の壁に波紋が広がる。ドンドン♪と叩かれている様な波紋が。
『許可』慌ててイリはテーブルから飛び降りる。ビュンとテーブルいぱっいにベンガルトラが現れた。
「みゆき、久しぶり」ベンガルトラが言った。みゆきはそれと同時に足元の存在に気付いた。
「一番の乗りは僕だよイリ」とマヌルネコがテーブルの下で言った。
「なんでこうもあっさり見つかるわけ、大体許可もなくなんでマヌがいるの」
彼らがなぜそんな格好かと言うと、それぞれが絶滅危惧種であり、それぞれが保護プログラムによって、つけられた位置情報チップに寄生するハッカーだからである。みゆきは一度彼らを特定しようとした事がある。疑った訳ではなく、ただ自分だけみゆきと特定されている事が気に入らなかったからである。別段害もなく、ハッカーと言っても接続方法に問題があるだけで、やっている事は、のぞき見程度でみゆきが公でやってる仕事と変わらないと、どちらかと言うと正す側の正義なのかとすらみゆきは思っている。イオは沖縄在住。ベンはインド在住。マヌルはロシア在住。女?。とニホンオオカミ【本日欠席】がいる。
「で今日は何をするつもりだ」とベンが言った。
「ある動画の削除データの修復」とみゆきが答える。
「いつ削除されたにゃ?」とイリが続ける。
「それが一週間位前だと思うんだけど」とみゆき。
「ずいぶんだな、位って、まだ何も掴んでないんだ」とマヌ。
「とにかくもって30分よ、あたしのこのアカウントじゃ」
とみゆきの言葉に、みなのやる気スイッチが押された。
「じゃあ第二階層から、俺ついて来るにゃ!ほーいジャンプにゃ!」とイリ。
「ジャンプ!」とみんなもイリに続いてジャンプした。
ジャンプとは地球から火星に瞬間移動するみたいな感じで、プログラム上のデータからデータに移動する事である。
「とりあえずこの辺探してみるにゃ!ここなら安全にゃ!」
そこはイリが造った仮想区画、第一階層で用意されたKeiteeことみゆきの部屋と違い、イリがプログラムした区画。
「相変わらず、殺風景だなお前の部屋は」とベンが言った。
「いいから!そんなことは」とみゆきは割って入って言った。
「じゃあ始めるよ」とみゆきが言うとみな猫達はちょこんと座りみゆきを黙って見つめた。
「Dr.Know お願いします。アッシュが言うより世界は単純だ、検索」とみゆき。
ヒュンとDr.Knowが現れ言った。
「関係する破壊データ、258.147件 破壊データだけ」
「博士修復して」とみゆき。
「出来ません、上位互換なし、Versionup 要求」と博士。
「なによ?バージョンアップって」
みゆきは思わず大きな声を上げた。猫達も目を丸くして驚いていた。
「いいわよ、今からバージョンアップしてあげるわよ」とローカルキーボードをDr.Knowに要求した。
「まって、みゆき! 博士、上位プログラム名を教えて」とマヌルが言った。
「Dr.Know version.6.05」と博士。
「なによ!それ!」みゆきが再び大きな声をあげた。
「博士!作者を教えて」とマヌル。
「ハンドル名、MISAKI」と博士。
みゆきは膝を落とし”あたしじゃないの”
とその時、警告音と共にシステム音声が
「ノイズ・・・セッキン・・・サタンセッキン」
「やばい!ノイズだ。とりあえずとっとと落ちよう」とイリが言った。
「この状況じゃ、対処できねーよ」とベン。二匹はプツンと姿を消した。
パラパラと仮想区画が崩れ始めた。マヌルがみゆきの袖をかみ”後でみゆきの部屋でね”強制退室。
ご意見、感想あればうれしいです。




