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仮想旅行者L・Keitee

「まあいいか」と言うと。みゆきは部屋の明かりをつけた。”ちょっと使い道は違うけど”と思いつつ、机にあった、段ボールを開け始めた。


”旅行者用新規パック”である。岬の時代で言うところの、スマートフォンであり、ブラックホールウィルス事件の後に海外の携帯、タブレット、PCの持ち込みが禁止されていき、結果日本が無料で旅行者に配布している簡易携帯である。


データ法改正からアカウントは一つとされ身分を明かさなくてはならなくなり、全ての取引に用いられる身分書の様な物になった。。アカウントは公的責任のある物とされている。現在はDNA個別判別方式で運用されている。


”でもこんなものなくったって生きていける”みゆきの口癖だ。


「じゃあいきますよい」とみゆきは骨伝導チップルを耳の裏にそれぞれ張り、ユニオン眼鏡(ゴーグル)、そして左腕にはめたスマートリングに右手の人差し指をそえた。チクりとほんのわずか痛みを感じると、キュイ~ンとスマートリングが起動し、ゴーグルに映像が映しだされた。


『DNA検出中…』みさきは違法の外部磁気データをスマートリングに近づけると、一瞬リングが赤く光り警告音がなったが、すぐに通常の緑色に戻り設定モードが始まった。ピカピカとオンラインを示すランプも点灯した。


『ようこそ、ルイス・ケイティーご機嫌いかが、ガイダンスに従って設定をして下さい』


ランダムに選ばれるガイダンスレディが現れみゆきに言った。


一通り設定が終わり、いざ仮想現実世界へとみゆきは足を踏みいれる。そこはみゆきの部屋と同じ位の広さの真っ白で小さな部屋。中心にテーブルと椅子があり、みゆきはそこに座っている。

 

『mailが届きました』みゆきは首を傾げ、そのデータのk数を見てすぐ開いた。


『ハーイ!みゆき久しぶり、みゆきなんだろ? 部屋に入れてくれよ』


いわゆるネット上を徘徊するみゆき信者の一人である。

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