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絶対的天才

二人は二個づつ中心に駒を置くと、勝負は始まった。


「僕の作戦は渦巻状になるべく中心から離れない様に置く渦巻攻撃なんだよ」


と少年が一枚置いてパタっと一枚めくった。ニッと笑って岬は一枚置いてめくりながら言った。


「じゃあね、お姉ちゃんは台風作戦、すごい風でいっきにめくり上げる攻撃よ」


二人の天才が見事にかみ合っているのか、それとも岬が少年に合わせているのか高志には分からなかったが、岬がめくるとすぐさまその少年は次の一手を打ってきた。少年の交戦的な感じは高志も感じた。


「お姉ちゃんも中々強そうだけど、僕にはかなわないと思うよ」


「そうかな、勝負はやってみないと分からないわよ」


と少し考えて岬は一枚置いて言った。


「はい!ここ取ったら、渦巻攻撃の第一段階だよ」


少年はまだ序盤戦なのに、はしゃいでいた。その少年のはしゃぎぶりを見てか、他の天才少年達も集まりいつの間にか二人を囲み眺めていた。



中盤もすぎ、黒22枚 白14枚と岬は負けていた。絶対的な存在だった、高志にとって岬は。分からない事があれば必ず答えてくれる。絶対的な天才。一度もオセロ、将棋、五目並べで勝った事のない岬には絶対に負けてほしくないそんな事を大人げなく思っていた。岬の肩に置いた手にも自然と力が入っていた。みさきはその手にそっと手を添えて、振り向いて声を出さずに「大丈夫、負けないから」と言った。


「お姉ちゃんもうすぐ第三段階に入るよここ取ったらもう」


さっきと違って少し考えながら一枚置いた。パタパタめくり終わると、


「台風一号が接近中よ、注意しなさいよ」


とすかさずみさきは一枚置くと二枚めくった。



終盤戦に入り、黒38枚 白14枚とみさきは負けていた。それでもみさきは落ち着いている。少年は口数も減り、高志には涙を堪えてるかの様に見えた。


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