同盟 Ⅴ
虹渡と翔のゲームの続きです。
「どうすっかなぁ…」
俺は調子を取り戻した虹渡に追い込まれていた。このまま得点をオーバーできないとおそらく虹渡は19と17をカットしに来る。しかも17はあと1MARKでCLOSE、ということは19さえ入ればおそらく安全圏ということになる。
―※―20―※―
19 ※
―※―18―※―
X 17 ※
―※―16―※―
※ 15
BULL
光倉 虹渡 368 八神 翔 281
点差は87点。19での5MARKが最低条件になる。まずは得点をオーバーしなければ。
…ピーピーピー『TRIPLE 19』
…ピーピーピー『TRIPLE 19』
「さて…」
ここで俺はTHREE IN A BEDを狙うか、一気に15をカットするかの2択に迫られる。普段なら当然俺はBEDで点差を広げるプレーに徹するはず。しかしここは―――
…ピーピーピー『TRIPLE 15』
『※ ※ ※』
「うぅっしゃぁぁらぁぁ!」
「んな゛あ゛あぁ!今の入るかぁぁぁ!?」
今のは激アツな展開だ。相手の復活に動揺したものの、しっかりと的確に攻め切ることができた。
「……………だいぶ盛り上がってるね。」
「お疲れ様。手伝いは終わり?」
「……………とりあえず今は休憩。はいこれ、2人にドリンク。喉乾くでしょ。父さんからサービス。」
「透ー!酷いよぉー翔が強いーー!!」
半べそをかきながらもらったメロンソーダを飲む虹渡。
「……………僕が連れてきた優秀なプレイヤーだよ。チームメイトとしては頼もしいでしょ?」
「そうだけどさぁぁ…」
駄々をこねている。罪悪感が拭えない。
「……………ほら、まだゲームは終わるまでわからないよ。頑張れ!応援するから!」
「うぅ…そうだよね。最後まで頑張る!!」
元気を取り戻した虹渡を見て透は僅かに笑った。なんだか幼い子供を見守るお母さんみたいだ。
その後俺がBULLを決め、点数は僅差ながら勝利。
「強えなぁ!!!翔、透とは戦ったのー?」
「戦ったよ…強いよね透。全く勝てなかったよ。」
「……………勝てたと言ってもギリギリだったけどね。」
そう言いつつ頬をぽりぽりと掻く透。
「そういやチームのメンバー、後1人どーするの?僕Cクラスだし2人はAクラスでしょ?簡単には見つからないと思うけど。」
「……………僕が行っても初対面の人と話せるとは思えないんだよね…」
「俺もなんだかんだ編入してきたばっかりで何話せばいいか…」
エントリーまではまだ時間があるが、計画は完全に頓挫したと行っても過言ではない。
このあとメンバーに入れられるのは一般編入生。ダーツ経験者ではない人が殆どだろう。新しいチームメイトとの練習の計画、そして練習環境の確保など、メンバー確保以外にやらなければならないことは多い。
「んー…ボク他のクラス回ってみるよ!友達増やしたいからね!」
「……………コミュ力高くていいなぁ…」
なんだよ、透だって女子にモテて幸せじゃねえか、とは言わないでおく。
「俺にもできることがあったら手伝うよ。友達を作りたいっていう意味では俺も虹渡と同じだし!」
「おー!困った時は頼むよー!!!」
透が上手く誘えば大抵の生徒は期待してチームを組んでくれるだろう。しかし、肝心の透がチーム内で一番人と話せないから困ったものだ。
取り敢えず明日以降の虹渡の収穫に期待しよう。
「じゃあ俺もまた透と投げてみたいし…暫くまた投げようか!」
「……………賛成。」
「いいよー!!!」
「おや。じゃあ私も混ぜてもらってもいいかい?」
マスターがここで参戦。
「君達の面白い試合を見ていたら私も混ぜて欲しくなってね。折角だからダブルスでもやってみるかい?」
「「お願いします!!!!」」
「……………誰と組むの?」
「透と翔くん、そして虹渡くんは私と組むのはどうかな?」
「……………負けそう。」
試合もしてないのに何言ってるんだ。
「試合もしてないのに諦めるには早いだろ!」
「……………いや、お父さん煉射OBだから…」
「は…?それは…参りました…」
「……………翔『諦めるには早い』って言ってなかった?」
「まあまあ、戦い方次第では結果はわからないぞ!」
「「「よろしくお願いします。」」」
結局この日はボコボコにやられた。
でも楽しかったのは言うまでもない。
「そうだ、君たち。折角だしチームで食事してくかい?」
「いいんですか??」
「透の家のメシめっちゃうまいんだよー!」
「……………虹渡は本当に馴染んでるね…」
「長い付き合いなんだし当たり前じゃん!今日もゴチになりまーす!」
「じゃあ今日はお言葉に甘えて…」
「透に友達ができるなんて思ってなかったし、ダーツも楽しませてもらったからね。若いのにここまで上手いとは…私も煉射OBだが当時の学生はそこまでレベルが高くなかったからなぁ…」
「……………『僕に友達が出来ると思ってなかった』は余計でしょ。まあそう思うのもわかるけど。」
そういえばマスターはめちゃくちゃ強かった。煉射のOBということは卒業率1割と言われるこの学園のサバイバルで生き残ったことと同義。そりゃ強いわけだ。
「まあ昔はまだ牧歌的な時代だったがね。今ほど卒業が厳しかったわけではない。学生時代もいい思い出だよ。プロになった煉射のOBOGも多い。長い付き合いになるだろうから、友達はしっかり作ったほうがいい。」
OBからの言葉を確と受け止める。とは言っても卒業が楽だったとは到底思えない。並の努力では卒業できないはずだ。相当な練習をしてきたに違いない。
「なんならこれから時間がある時にフォームや練習方法の提案をしてあげよう。どうかな?」
「いいんですか!?」
「トーナメントに出るからには透のチームに優勝してもらいたいからね!親バカかな。」
これに関しては虹渡も目をぱちくりさせている。こんなにありがたい話はない。
「代わりと言ってはなんだが…透に友達を紹介してやってくれないか…」
さいですか。
透は人と話せるようになればすぐ友達できると思うんだけどなぁ…
いかがでしたでしょうか。今回は話としてカットしてしまった、マスターとの試合も、番外編でどこかで書こうと思ってます。その時はまた感想をお聞かせください!
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