赫奕 Ⅰ
『それでは!男子決勝戦を行います!!』
疲れる様子も見せずひたすら声を張り続け、会場を盛り上げる新聞部の面々。
決勝の舞台は予想通りというか…あの一件から立ち直った勢いそのままに、西園寺のチームが一気に勝ち上がってきた。
やはり舞台上での試合は空気が違う。それに…
「いいよなぁみんな女の子にチヤホヤされてさぁ!」
「……………なんか狂戦士モードだと試合に勝てそうだけどその前に僕殺されたりしない…?すごい複雑…」
ファンクラブ二代巨頭が集まるのだから声援は凄まじいものになるだろう。
舞台裏から見る景色は舞台裏の暗さと対照的にとても輝いて見える。
『まずは!!圧倒的強さで勝ち上がってきたチームKNIT!!』
登場と同時に透への黄色い声援が飛び交う。
うちわに名前を書いている古参のファンもいる様子。透は俺の顔を見るたびに顔を背けてくる。
おそらく自覚はないが憤怒の形相を浮かべているのだろう。
自分では必死に押し殺して笑顔を作っているつもりなのだが。
『そして続いて登場するのは!皆さんご存知の奇傑集団!チームRaven Wings!!』
観客の熱気は最高潮に達する。
学年のアイドル枠を確たるものにしたようだ。
モテる奴は誰であっても許さない…!!!!
『さぁ!八神選手、ものすごい気迫ですね!そしてペアを組む日下部選手ですが…準決勝までと違って少し落ち着いている感じですね。笑顔も見せています!!』
確かに樹はとても落ち着き払っている。長らく樹を見てきた人間にはわかる。
緊張し過ぎて逆に何がきても大丈夫だという様子だ。顔を見ればわかる。明らかに頬が引き立っている。しかし事情を知らない実況チームはおそらく、樹がこの決勝の舞台での戦いを楽しんでいる……と思っているのだろう。
かく言う俺もこの二日間の非日常感で頭がおかしくなったのか、思考力が鈍る。
「緊張するなら円周率を数えて精神統一するといいよ!」
「わかりました!!3.1415926535897…………」
「いやいや!頭の中で!って言うかどこまで覚えてるの…?」
この会話で些か気が紛れはしたが、勝ちを意識し過ぎてしまえば途端に投げる腕に無駄に力んでしまうだろう。この緊張とほんの少しの落ち着きのバランスがここではキーポイントになる事は間違いなさそうだ。
双方チームが互いに練習スロー、CORKを終え、先攻を勝ち取る。
決着をつける時が刻一刻と迫る。
『それでは新人戦男子決勝戦GAME ONです!』
投げるラインを明確にイメージし、スローラインに足をかける。立ち位置を確認してゆっくりとダーツを構える。
真っ直ぐ引いて…投げる。
真っ直ぐ引いて…投げる。
真っ直ぐ引いて…投げる。
狙った通りにダーツは飛んでいきBULLへと吸い込まれる。
スタートダッシュをしっかりと決め、勢いをつけた俺たちチームは攻め続ける。
対照的にやや出遅れた西園寺・有栖川ペア。西園寺は1本目をBULLすれすれの20に外し、そのあとのダーツが刺さっているダーツに弾かれるというアンラッキー。
チームメイトの樹は1ROUND目こそBULLをはずしたものの、その後は安定してBULLを時々入れ続け、同じく編入生枠の有栖川を徐々に引き離していく。
有栖川の調子も決して悪くないように見えるが、それ以上にROUNDを重ねていくごとに徐々にBULLへのグルーピングが良くなっていく樹に追いつけなくなっていったようだった。
終盤、FREEZEしてしまった西園寺は、その後なんとか残り4点で一縷の望みを残すが、その追撃を物ともせず、最後は俺が上がり切り、第1LEGを制した。
第2LEG以降も楽しみですね!
またコロナが再燃してきて大変ですね…私の住む地区はコロナ患者はしばらく出ていないですが外出はほとんどしないように今も気をつけています…
このような中働く医療職の方には感謝ですね。
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良い一週間を!




