太陰 Ⅷ
観客側の翔視点です。
「……………あの桜小路さんを封じ込めての2連勝は予想外だよ。」
「だね。これがチームの力、というやつかな?」
決勝を控える俺たちのチームだが、ピリピリしすぎて精神をすり減らすといざという時に暴発する…ということで女子決勝の様子を見に来ていた。
決して俺が舞良さんを見たいと思っていたわけではない。
「結局は透が決めてくれるはずだし!ボクは元気に頑張るね!」
「最終LEG始まりますよ!少し声のトーンを落としましょう。」
最終LEGはDOUBLE BULLを射抜いた桜小路さんのチームが先攻。
序盤から互いにチーム力がぶつかり合い火花を散らす。
ワンプレーごとに会場から拍手と歓声が上がる。ハイレベルの展開で息を吐くことができない。
『ちょうど両チームプレイヤーが一周しました!HAT TRICKを決めたチームLunetteですが星宮姉妹も驚異の粘りを見せ今のところは互角!!!スコアはまだ両者500点以上を残しているのでどちらが勝つかわかりません!!!』
実況もかなり盛り上がっている様子。
だが所詮は外野は外野。好きなことが言えてしまう。この大舞台で、試合を大勢に見られながらするというのは慣れていない者であれば卒倒してもおかしくない。
少なくともその大舞台に立って、ここまでのプレーで観客に魅せられるというのははっきり言って並の人間ではない。
そこで震えるでも、泣き出すでもなく、凛として、目の前の相手と対峙し、打ち負かさんと直向きに投げる姿は俺たちのあるべき姿を体現しているようである。
「愛良さんすごく緊張してるね!大丈夫かな??」
「……………やっぱり虹渡にはわかるよね。」
「なんでお二方はそんなに冷静な分析してるんですか!っていうかなんでわかるんですか!?」
これは樹に激しく同意する。
『さぁ!チームLunetteの残りの点数は177点!そして後攻のチームValkyrieは325点を残しています。少し差がついてしまったので先攻はやや落ち着いて投げられますね!』
『TRIPLE 20を2本、そしてTRIPLE 19を入れられれば上がりね。…ここで試合が決まるかも…』
『次投げるのは3周目、桜小路選手になります!』
星宮姉妹は絶体絶命だった。
中盤戦からギアを上げた桜小路さん、水谷さんのプレーに翻弄され、BULLに入る本数が少し下がる。
流石の試合巧者というか、桜小路さんのプレーのブレなさはやはり王者の風格を感じさせる。
『ROUND 9』
…ピュピュピュン『TRIPLE 20』
…ピュピュピュン『TRIPLE 19』
60点を残し一息。
…ピュピュピュン『TRIPLE 20』
「ありがとうございました…」
「わぁぁすごいよひーちゃん!!!!!!」
羽海野さんが押し倒さんばかりの勢いで桜小路さんに抱きついた。
喜びを爆発させる桜小路さんたちに対し、台を見つめて暫し佇む星宮姉妹たち。
「ありがとうございました!舞!握手。」
「………次は負けない。」
「緊張しました…お強いですね!」
「あーーもうーお腹減った!!!」
桜小路さん達と互いの健闘を称え合い、抱き合う様子は『青春』そのものであったが、舞台裏へと戻る舞良さんの肩が少し震えていることに気づいたのは俺だけだった。
「……………次は僕たちの番だね。」
仲の良いクラスメイトの敗北にやや心苦しさのようなものを感じつつ、気持ちを作っていく。透の一言でチームが引き締まる。
「さぁ!ファンの子たちに良いところ見せないと…ね!」
「宴の始まりだ!!!」
イケメンオーラをこれでもかと振りまく西園寺、厨二全開の有栖川。俺たちとは対照的だ。
「楽しい試合にしよう!!!」
「「「おー!!!!」」」
から元気に捉えられるかもしれないが、皆で軽く声を出したことで俺たちのどんよりとした気持ちは少し軽くなった。
やや短くなって申し訳ありません。
女子決勝は星宮姉妹が惜敗という結果になりました。
次回から男子決勝編、そして後夜祭編へと続きます!!!!!!お楽しみに。
期末テストに向けての学習を始めていますが詰め込む知識が多すぎて爆発しそうです…
皆さんはキャパオーバーになりそうになったときにどのように解決しますか?
ブックマークや感想、その他いろいろよろしくお願いします!!!!!
良い一週間を!!!!!




