決戦 Ⅰ
翔視点に戻ります。準決勝が始まります。
「いやぁ準決勝進出だね!ボク疲れた!早く寝たいー!」
「今日もまたお邪魔します。」
「そういや事件解決できて良かったね。ダーツの手配は大丈夫?」
「……………自宅にはあったけどわざわざもう1セット持ち歩くなんてことしないから今回みたいなめんどくさいことになっちゃったんだけどね…ご心配おかけしました。」
俺たちは2日目の試合へ勝ち上がったために明日に向けて夜も少し調整、そして練習をすることになった。毎度おなじみ、透の家。
「いやーファンの人たちも心配してたよ?でもみんな頑張って証拠探してくれたんだね!ファンの女の子たち心配してたよ?」
「…ん???」
「……………あんまり軽々しく女の子の話題振らないでよ…翔の目が怖いよ。」
「自覚ないんでしょうか。早く春が来ることを願うばかりです…」
そして俺たちのチームは透の家へ到着し、マスターは結果を報告することになった。
「よし。じゃあ今日は明日に向けて精をつける料理を作るからねぇ…!」
喜んでいるようには感じられないような抑揚のあまりない声だったが、表情と料理に取り掛かった様子を見ると、息子の活躍を内心喜んでいるようだ。
マスターはむしろ明日のことを考え、喜びすぎないように気を遣っているのかもしれない。
そしてその日も、マスターにはしっかりとしごかれた。
そして翌日。
「こりゃまた強敵が…」
「どーも!新聞部でーす!いつも神楽坂がお世話になってまーす。今回はお手柔らかに…!」
「お!新聞部の男子チームなんだね!よろしく!!」
「……………記事書けるだけじゃなくてダーツも上手いのね…すごいよ。それにこのリーダーの神城くん含め全員Dクラス以上だからね。」
内心、編入生の強さが樹よりも数段格上ということがわかり少しチーム内がピリつく。
「……………それにシングルスの学園トーナメントで中等部時代の不動の2位だからね。」
「「え゛…」」
内部進学勢の虹渡はうんうんと元気に頷いていたものの、全く知らなかった俺と樹は表情が固まってしまった。
今まで戦ってきたチームと流石にレベルが跳ね上がったことを自覚してか緊張で手先が冷えるのを感じていた。
しかし当の本人は闘志を完全にむき出しにはしてこなかった。だからこそ俺たちにとってみればプレッシャーだということをよくわかっているのだろう。
「そんなそんな…中等部時代強豪を寄せ付けずにダントツで走っていたプレーヤーと戦えるなんて光栄ですー。
あ!神楽坂含め部員が写真、そして実況で試合に少しお邪魔するかもしれませんが…よろしくお願いしますー。」
「実況がつくんですか!」
「新聞部がやりたいので勝手にやっているだけですけどー…うちの神楽坂を中心とした女子メンバーが男子の試合の実況をさせろとうるさくてー…」
神城くんのテンションが急に落ちる。なんだか触れては行けなかったみたいだ。女子たちに尻に敷かれている現状はあまり知られたくなったのだろうか。
俺の家庭ではいつも見ている光景なだけに何故落ち込むのかがわからない。
実況はおそらくファンのメンバーで実況を望む声が多く上がったということなのだろう。
試合という緊張がいつものしかかっていたが、実況がつくといつにもない非日常感で最早緊張しなくなってきた。
そうこうしているうちに俺たちは舞台裏に案内される。
「登場からやるんだね!ドキドキする…!!!」
「……………試合の時は落ち着いてやってね…虹渡がはしゃぐとロクなことないから…」
「ひどい!!!」
興奮気味の虹渡と対照的に大舞台に慣れているからかいつも通り冷静な透。
この舞台で投げる独特の緊張感を、舞台裏にいることで改めてひしひしと感じられる。
昨日までも使っていたはずのこの舞台上の試合台。しかし出てみると昨日と全く景色が異なっているように見えた。
『そして対しますのは、チーム“KNIT”!!中等部を圧倒的な強さでトップを独走してきた御影 透を擁し、リーダーを務める特待生の実力者八神 翔、ノったら誰にも止められない光倉 虹渡、そして成長著しい編入生日下部 樹、この4人でここまで勝ち上がってきましたー!!!
準決勝で戦うこの2チームに盛大な拍手をー!!!』
実況とともにお辞儀をするが、拍手よりも透に向けた声援を聞き少しスイッチが入る。
「「「透くーーん!!がんばってーーー!!」」」
その声援に後押しされるように小さく手を振り答える。
「……………頑張ろうね。」
「あれだけファンがいたら負けられないよね…俺も全力で戦うよ。」
「じゃあ初戦がんばろうね!!ボク今日いいプレーできる気がする!!!!」
「はい!頑張りましょう。付いていきますね。」
こうして2日目の試合が幕を開けた。
いかがでしたでしょうか。
準決勝のスタートは緊張しっぱなしの様子のメンバーですが、次回以降、試合結果はいかに!?お楽しみに。
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新型コロナウイルスが猛威を振るっていますね。私の住んでいる地域はあまり患者さんはいないのですが、帰省先では外出を自粛する要請があったということで、今年の彼岸は実家に帰れませんでした。顔を合わせるというのも気恥ずかしいものがありますが、顔を見せるのも親孝行だと思っていたので少し残念です…
皆様もどうか、お体には十分に気をつけてお過ごしください。
良い一週間を!




