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D-Life!!  作者: てぇぽん。
新人戦編
46/85

憤慨 Ⅱ

続きです。

 時は遡ること数時間前…


「八神殿。これを。」

「そんなかしこまらなくていいよ!…これはボイスレコーダー?」

「うむ。証拠を掴んだでござる。」


 樹の指示に従って証拠を探している中、偵察組である猿飛が情報を徹底的に集めてくれていた。

 また、西園寺のファンクラブのメンバーからの情報も含めて、決定的だと確信できるレベルまで、情報を集めてくれたのだ。


 口調や格好からはとても想像できないほどのコミュニケーション力の高さに、人は本当に見た目ではわからない、ということを突きつけられたようで、ハッとしたような気分だった。


 透にも送られてきた捨てられたヤスリの写真、そして盗んだバレルの在り処に至るまで、詳細に証拠が残っていたのだ。

 もう少しやり方というものもあったのだとも思うのだが…やはりダーツという神聖なスポーツの場で卑劣な真似をするような人々だから知能が乏しくても仕方がない。


 そして注目されている試合であったがために、ここで色々と見せしめるための手立てを立てることを俺たちは考えていた。それは同じく偵察組であった樹が奮闘してくれた。


 教師陣から審判団に至るまで、試合に関係ないところで時間を取ることになるため、しっかりと了承を得た上で、俺たちは作戦を決行するに至ったのだった。


「さて、と。あ!ちょっと待って待って!翔から話があるから戻って戻って!」

「「………!」」


 そそくさと試合台を後にしようとする剛田と難波の機先を虹渡が制する。直前のLEGで戦っていない虹渡は樹が既に伝えられている作戦を遂行する。


 ギャラリーが多いこともあり、あからさまに逃げる姿勢は取られないまま、そのまま試合台の前に連れ戻される。


「随分と面倒なことをしてくれたみたいだね。」

「なんのことだ?」


 まあしらを切るのは無理もない。証拠をまとめたはいいが大半は人間離れした猿飛の情報収集能力のおかげだった。流石の俺も驚いた。


「これ。やすりと…あとは盗んだバレルね。」

「…?」

「ロッカーは大会をやっている棟と違う建物、かつ遠い場所を選んだようですが先生の許可を得て猿飛くんがあらかた調べてくれましたよ。」


 顔に出さないように無理をしているように見えるが、明らかに焦りの表情が2人には浮かんでいた。


 樹の統率力、そして猿飛の捜査能力、そして被害者である西園寺と透がしあいで粘ったからこそうまく言ったこの作戦。

 こんなところで終わらせるわけにはいかない。俺は続けた。


「あと録音あるけど…聴く?」


 悪事が全て明るみに出ることが2人にもわかったようで顔色がみるみる青くなっていく。


『あのバレルは託したな?』

『ああ。次は準々決勝で奴と当たるのか…ぶちのめしてやる…!」


 音は会場の喧騒に紛れて途切れ途切れだが、2人の声がはっきりと捉えられていた。

 これは猿飛が気配を消し尾行した時に録音した物だ。


 準々決勝で当たることやバレルを隠す役目を誰かに頼んでいたことなど諸々考えれば明らかに剛田と難波が絡んでいることは明らかだった。


「ったく…さっさと負けりゃいいものを…」


 ボソリと不貞腐れたように剛田が呟く。

 今までイライラしつつもギャラリーも多く人目を気にしていた俺だったが、この言葉には完全に我慢していたものが爆発した。

 剛田の胸ぐらを掴んで押し倒す。

 突然のことに剛田は目を白黒させ、周りからは今まで静観していた教師陣が駆けつける。


「お前らのせいで苦しんだ奴らがどれだけいると思ってる?それで投げる感覚を狂わされた人もいるはずだ。考えてんのか、あ?」

「そんなのでダメになるような奴にはダーツはむいてな―――」

「お前が潰したようなもんじゃねえかよ!」


 殴りかからんばかりの剣幕に透と藤堂先生が止めに入る。


「……………翔!」

「八神やめろ!いい加減頭冷やせ!」


 それでも俺の憤懣は収まることはなかった。


「お前らのこれっぽっちの保身の気持ちでな!選手生命なんて簡単に潰せるんだよ!」


 一頻り怒りを発散させたところで俺は少し冷静になる。


「それをスポーツをする以上、考えないといけないんじゃないのか?」


 それを聞いた難波も、突き飛ばされた剛田も、二人とも項垂れている。


 話をその後聞いた限りでは勝つため、というのもそうだが半ば悪戯のようなものだと思っていたらしい。正直そのような出来心でトーナメントが荒らされたと知って愕然とした。


 しかし、三鼓と羽衣石の2人は半ば巻き込まれた形ということもあり、2人は2週間の謹慎、そして主犯格の難波と剛田は職員会議で今後の処罰が決まるようだ。


「……………とりあえずはそこでぼんやりしてないで皆んなに謝りに行くことが先でしょ?誠心誠意謝ることがなによりも大事だよ。」


 項垂れていた2人が徐に立ち上がって舞台から去っていく。この後2人がどうなるのかはわからないが、2人の実力を知るが故に勿体ないと思う気持ちもあり、その日が終わるまで怒りと虚無感を感じていた。

いかがでしたでしょうか。次から女子のトーナメントの方も何話かお届けしたいと思っていますので是非お読みください。


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