毅然 Ⅶ
劇的な勝利を収め、準決勝へ王手!続きです。
ギャラリーのボルテージも最高潮に達している。聞けば、この新人戦において501を9ダーツで上がったのは史上初だそうだ。
「……………インタビューでしばらく僕たちは帰れなさそうだね。」
「俺1ROUNDしか投げてないけどね。次は…SINGLES TEAM CRICKETだ。頼むよ!」
バシッと肩を叩くと透は苦笑いをした。
「……………樹とダーツを渡し合いながらながらなんて前代未聞だね。」
「よくこんなことを許してくれたよ…これに関しては教師陣に感謝だね。」
審判だけでなく、この新人戦全体をコントロールする役目として、教師陣が位置付けられているのは周知の事実。藤堂先生もそのうちの1人だからこそ、俺達と難波、剛田たちが一触即発の時に仲裁に入ったのだ。
とはいえ、普段の気の抜けた藤堂先生しか見ていないだけに、たまにそういうしっかりとしたところを見せられると、本性がどちらなのかがわからなくなる。俺の予想ではおそらく後者が本性だ。しかし普段はその姿を見せていない。これには何か訳があるはずだ…
ますます教師への謎が深まる。
「よ、よろしくお願いします!」
いろいろと考えているうちに準備ができたようで、ゲームが始まる。先程のゲームの勝利でこの第4LEGは後攻になることが決まっている。
このゲームは普通のSTANDARD CRICKETとは異なる。勿論、ゲームの基礎は凡そ一致している。自分のチームがOPENしたNUMBERに対してダーツを入れれば加点になり、両チームがエリアをOPENした状態になると、そのNUMBERはCLOSEされてこれ以上得点が加算されなくなる。
しかし、今回のゲームでは、チーム戦ならではの要素が追加されているのだ。
それは、チームを組む2人がどちらもNUMBERに3本入れないとOPENにならない、ということである。
仮に、チームの1人が多くのエリアを開けたとしても、もう1人のチームメイトが全く打てなければ加点されないということになる。
このゲームに剛田や難波たちが透を参戦させるように仕向けたのも、このルールがあってのことだったはずだ。
透がいくら頑張ったとしても、樹がエリアを開けられなければどうしようもないのだから。
「足手まといにならないか不安です…」
「……………作戦は…とにかく自由に投げてみて?」
「適当すぎませんか!?」
樹が今日イチの反応を見せる。
「じゃあ、僕が作戦を打って示すから、樹なりについてきて。一緒に練習してきたし…チーム一のキレ者の樹なら絶対にわかると思うな。」
『ROUND 1』
…ピー『SINGLE 20』
…ピー『SINGLE 20』
…ピー『SINGLE 20』
…ピーピーピー『TRIPLE 19』
…ピー『SINGLE 17』
…ピーピーピー『TRIPLE 17』
『 ※ / X 』
「…なるほど。」
「……………樹ならわかってくれると思ってたよ。」
樹の脳内では透がダーツを放つ度に作戦が瞬時に絞られていた。
まず19を狙うのは20を先攻チームが狙っている以上定石。そして次。透は自身が得意としている18でなく17を敢えて狙った。これには大きな意味があることを、一瞬にして樹は理解していた。
人によっては19の次に18でなく17を狙う人もいる。それは好みだ。17が得意だからこそ、あるいは18がやや苦手だからこそ、20と打ち合って勝てると見る人もいる。しかし透はそうではない。
持ち前の高い身長を活かして高い位置のNUNBERを狙うのはほぼ毎回。いつものことだった。だが透は17へスイッチした。それは何を意味するか。
「…いきますよ!」
『ROUND 2』
…シュッ『TRIPLE 1』
…ピーピーピー『TRIPLE 20』
…ピー『SINGLE 20』
…ピー『SINGLE 17』
…ピー『SINGLE 19』
…シュッ『SINGLE 3』
編入生枠の羽衣石くんがかなりしっかりと入れてきたことでやや透と樹に緊張が走る。しかし、この樹のプレーに、透も納得したように小さく頷き、戻ってくる樹とハイタッチ。
樹は全て19狙いだったが、大きく外したダーツが17へ入っただけのことだった。しかしこれが相手チームに僅かな疑念を抱かせる。
そしてその疑念は少しずつ膨らみ、彼らを支配していくことになる。
このSINGLES TEAM CRICKETはあまりやったことがある人はいないかもしれませんね。ぜひ、やってみてはいかがでしょう!オススメします!!
ブックマークや感想など、諸々よろしくお願いいたします!閲覧していただくだけでも大変嬉しいです!
次回もお楽しみに!!




