暗雲 Ⅳ
翔視点に戻ります。
「ん?これって樹のダーツ?」
「……………そういうことか。」
樹のダーツを見て全てを察した透は軽く頷く。
「このダーツがどうかしましたか?」
「いや、これは対抗手段の一つだよ。でもこれによって樹も巻き込むことになるから、あまりこの手は使いたくないんだけど…」
今回の大会は何者かの手によって荒らされていることは明白。だが、この一連の事件の鍵を握るのはこの方法しかない。
「もー!!翔が何言ってるかわかんない!!」
「大丈夫ですよ。僕も全くわかっていませんから。」
と同時に、何らかの対抗策があると犯人に知られるわけにはいかない。だから敢えて虹渡と樹には普段通り振舞ってもらう。
「……………僕なりに努力はするけど、もし厳しくなったらその手を使うことにするよ。」
「んー…なんだかわからないけど勝てるならなんでもいいか!樹!次も頑張ろう!!」
「はい!」
そうして俺たちは二回戦に挑んだ。
『STANDARD CRICKET GAME ON!』
1LEG目は無難に勝利。そして後攻にまわった透だが、心配は無用だったようだ。
『ROUND 1』
…ピー『SINGLE 19』
…ピーピーピー『SINGLE 19』
…ピーピーピー『TRIPLE 20』
―※―20―※―
19 ※
18
17
16
15
BULL
(C)真島 風雅 20 (A)御影 透 19
「「…うわぁぁ…」」
「いいよ透!!この調子!!」
事情を知りながら見ているこっちが引くレベルだ。樹も俺も感心する気持ちと畏怖の感情が混ざり合って複雑な心持ちだ。そんな2人を差し置いて虹渡と観客はえらく盛り上がっていた。
今回は例の対抗手段は使わず、傷ついたバレルのまま投げることになった。
「……………なんかね、指に引っかからないからこれもいいかも。」
いいかも、じゃない。先ほどの怒りはどこへ行ったんだ…
でも時々は違和感を感じる時もあるようで、
『ROUND 6』
…シュッ『TRIPLE 10』
…シュッ『TRIPLE 2』
一呼吸おいて、再びスロー。
…ピー『SINGLE 15』
―※―20―※―
/ 19 ※
―※―18―※―
X 17 ※
―※―16―※―
※ 15 /
BULL
(C)|真島 風雅 54 (A)御影 透 70
いつもならここでTRIPLEに入れるはずだが、わずかに感覚のズレがあるようだ。STATSも4を切る。犯人は効果覿面だと思うかもしれないが、逆に透もそれを見越した上で、今まで通りのバレルを使うことを選んだのだ。
いつも通りに投げられていないとはいえ、バレルの形状が変わるほど傷つけられたいたわけではないようで、フォームはあまり変わっていない。気がつけば不利な後攻でスタートしたゲームも、ギリギリ五分まで持ち直していた。最後は2ROUNDをかけながらもなんとかBULLを3本決め、僅差だが勝利を奪った。
その後のゲームで相手にペースを握られ3LEG目を落とすが、4LEG目では樹と俺とで得点をリードすることに徹し、なんとかこのアクシデントを乗り切る。3-1で勝利し3回戦進出となった。
昼の休憩に移った。試合が終わったところから各自、食事をとることになっている。そこに、
「…どこ行っちゃったのかな…??」
一瞬女子生徒かと見まごう可愛さの青野がいた。
「誰か探してる?」
「うぅ…試合が終わってからみんなでご飯食べたいなと思ってたんだけど…」
「……………昴たちが見つからない、と。」
「……うん。うぅ…」
今にも泣きそうだ。
待て…これは側から見たらどう見えるんだ…?可愛い女の子を取り囲む男の子たちというのは些かまずいのでは…!?
話しかけてしまった手前すぐに離れると言うわけにもいかず、周囲の目を気にしながらもどうすればいいか必死に考える。
そんな俺をよそに透が話を切り出した。
「……………そうだ、試合かなり苦戦してたみたいだね?僕たちも少し聞きたいことがあるからさ…昴たち探すの手伝うよ。もし見つからなければコントロールセンターで呼びかければいいし。」
「いいの!?ありがとう!」
透の助け舟によってこの場は解散となった。
程なくして、樹が落ち込む昴と実風、そして冴助を連れてきた。
「本当に申し訳ない…」
「わ!!西園寺すごい落ち込んでる!!大丈夫?」
「虹渡、心配なのはわかるけどそっとしておこう…?」
「う…わかった!」
試合でチームメイトに迷惑をかけた負い目を感じてか、いつも周り(主に女子)に振りまくキラキラオーラを全く纏っていない。
「……………西園寺くん、これを見てくれるかな?」
「…?」
「……………西園寺くんが何をされたかは知らないけれど、僕も被害者だよ。できることなら犯人を見つけ出したいと思ってるんだ。」
「被害者」と言う言葉に反応して西園寺が俯いていた顔を上げる。透のダーツを見たときにはあまり反応がなかったが、ここで西園寺もピンときたのだろう。誰かに意図的に仕組まれた罠であることを察してか、やや戸惑いつつも意を決した表情になる。
「…とにかく食堂へ行こう。そこで話す。」
透と昴、敵同士だが呉越同舟、事件解決に乗り出します!
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