暗雲 Ⅲ (透side)
さて、次は透視点です!
「……………CORKの結果、先攻はチーム"Tornado"です。では試合を開始してください。」
「「「「お願いします!!」」」」
審判はあまりやったことないからちょっと不安だ…そう言えば次戦うチームはどこになったのかなー。早く戦いたいな。
…ピュン『SINGLE 15』
…ピュピュピュン『TRIPLE 12』
…ピュン『SINGLE 19』
…ピュン『SINGLE 16』
…ピュン『SINGLE 3』
…ピュン『SINGLE 1』
481
(H)尼﨑 蓮仁 431 (H)直江 一颯 481
932 982
(D)新藤 葉琉 501 (C)楠木 駿真 501
へぇ。2人ともHクラスで編入生なのに…綺麗に投げられてる。これからまだまだ成長していくんだろうなぁ…
最近は初心者の生徒にも顔が知れたようで、時々僕にダーツを教えて欲しい、って来る人も増えてきた。大したことは教えられないけど、自分なりの着眼点で意識するポイントを少しだけ教える。その少しのアドバイスで、狙いが少しシャープになって、それだけでも初心者のプレイヤーたちは喜んでくれる。なんだかそれがとても心地いい。
これもやっぱり翔とか虹渡とか樹とか、そう言った仲間とよく話すようになったからかな。コミュ力が上がれば友達ももっとできるかもしれない。
そう色々と考えながら、得点を用紙に記入して行く。これで出た成績は、この後行われるクラス別リーグの成績と合わせて、クラス替えのための指標として利用される。そのため、ただ試合を見て審判するだけでなく、その得点やアワード、そしてSTATSなど、全て記録するのも審判員の仕事だ。
そしてゲームは進み、この試合はチーム"Tornado"が僅差で勝利となった。第4LEGまで縺れたいい試合だった。
「……………いやぁ久し振りの審判疲れるなぁやっぱり…」
得点を記入した用紙をコントロールセンターに届け、審判の業務を終える。コントロールセンターで試合の管理、データの管理がなされている。
その後、その試合の結果がモニターに映し出され、どのダーツ台で次の試合があるかもすべてわかる。
「……………次の試合は…ダーツ台の12番のところね。それで…ん??」
あれ。あまり考えたくはないけど、少し違和感がある。
『 "KNIT" 3 ― 0 "Nostalgia" 』
うん。ストレートだからこれはこれで問題ないけど…
『 "Raven Wings" 3 ― 2 "所詮社会の歯車" 』
チーム名もなんだか心の闇が垣間見えるけど、そもそもあの西園寺くんたちの強力なチームが、ストレートで下せないことが少しおかしい。勿論、多少の調子の上がり下がりはあるだろうしこの試合がとてつもなく悪かったのかな…
実力者は分散して作られたはずのトーナメントでいきなり一回戦できつい相手と当たるわけがないから…少し心配しちゃうなぁ。
「あ!透だ!審判お疲れ様!」
「……………久しぶりに疲れちゃったなぁ…そういえば虹渡は試合を見に行くって言ってたよね?どこのチームの試合見てきたの?」
「いろんな試合見てきたよ!あ、そういえば西園寺くん調子悪いみたいだった!」
妙な不安を覚えた。
「グリップとテイクバックが明らかに違ってたよ?」
「私から見たらはっきりはわかりませんでしたが…いつもの爽やかな表情は全くしていませんでしたね。」
樹も虹渡も西園寺のことをかなり心配しているみたい。でも西園寺たちよりも、次の試合の心配をしないといけない。
「……………2回戦だね。翔とも合流しようか。」
そう。次の試合もかなり厳しい戦いになるから、消耗しないように作戦を立てないと。
「翔いたよ!あそこ!」
「次の試合会場は…試合台No.12ですね。とりあえずみんなで移動しましょう。」
「……………なんだか考え込んでるみたいだね。どうしたの?」
みんなの声が聞こえているはずなのにずっと俯いて何かを考えている。勿論精神統一しているだけならいいんだけど…
「透、…気になることがある。」
「……………??」
神妙な面持ちに思わず僕は少し驚く。
「透さ、ダーツ見せてもらっていい?」
「……………?いいけど、何かあるの?」
「やっぱりな。」
そう言って取り出したダーツはいつものものとは異なり傷だらけになっていた。
一見、単なる悪戯のように見えるかもしれないが、バレルを持って投げる以上、立派な妨害になる。
この人生の中で怒ったことなんて全くなかったが、この時ばかりは我を忘れそうになるほど一瞬のうちに憤慨していた。
「……………誰がこんなことを?」
「わからない。だけど俺がいろんな試合の台を見ていくうちに違和感を感じたプレーヤーは他に3人はいた。調子の良し悪しはあっても、AクラスBクラスのプレーヤーがまさかNO BULL連続なんてありえないよね?
これはおそらく誰かに意図的に狙われてやられたことなんじゃないかなーって思ってさ。」
かーっと頭が熱くなる。珍しく冷静な自分が頭に血が上っていることを自覚する。ダーツを傷つけられたこと以上にダーツという競技そのものを侮辱する行為に流石に怒りが収まらなかった。
「これはもう使えないな。となると透は替えのバレルを使うことになるけど、持ってる?」
「……………さすがにシャフトやチップは変えを持ってきてるけどバレルはないな…バレルは言ってもあんまり安くないやつ使ってるから………最悪今日改めて買うとしても、バレルのカットとか持った具合とかはいつものとかとはやっぱりわずかに違うわけだし、少し心配かな。」
「どうしましょう。」
「あ!でもこれさ、とりあえず解決策あるじゃん!ほらほら!」
そう言って指差したのは樹のダーツだった。
さて次回、打開に走るチームKNITの奮闘をお届けします!お楽しみに!
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